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同名の昆虫もいるけど、こちらは高山植物
ミヤマクワガタ
ゴマノハグサ科
Pseudolysimachion schmidtianum 
var. senanense
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 ゴマノハグサ科ルリトラノオ属の多年草。本州中部地方以北の高山帯に分布。岩礫地や砂礫地に生える。APG分類体系では、オオバコ科ルリトラノオ属とされる。果実の形を兜の鍬形に見立てたクワガタソウのなかまで深山に生えることから「深山鍬形」。「ミヤマクワガタ」というと、同名の昆虫もいるが、本種はそれとは無関係の高山植物である。

 高さは10~20センチ。葉は長さ2~4センチの長楕円形で鋸歯がある。開花は6月中旬から7月下旬。花は直径7~10ミリほどの淡青紫色で紫色の筋が入る花冠が4裂する。花冠から2本の雄しべと1本の雌しべが長く突き出す。

 私は、基準標本産地である戸隠山のほか、北アルプス各地で見ているが、今年(2018年)、28年ぶりに燕岳に登ったところ、燕山荘手前の登山道沿いで本種が出迎えてくれた。ただ、かつては合戦尾根上部で多くの花に迎えられた記憶があるが、周辺には思ったほどの花がなくて残念だった。実際、温暖化などの影響もあるのか、減っているのは事実らしい。そういう印象があったので確かめてみようと、昔のアルバムを開いてみると、当時も記憶ほどのお花畑というわけでもなかった。記憶もいい加減だが、それでもどちらかというと昔の方が花が多かったのは間違いなさそうである。

関連情報→本サイト植物記「ヒメクワガタ」「キクバクワガタ」「クワガタソウ」・動物記「ミヤマクワガタ



北アルプス・燕岳の燕山荘直下で見かけたミヤマクワガタ。



ミヤマクワガタの花。紫色の筋が美しい。また花柱の両側に2本の雄しべがのびるのは、クワガタソウのなかまの特徴のひとつだが、これも花を「形のバランス」という視点で見ると、重要な要素になっている。北アルプス・白馬岳。



本種の南アルプス産は、花が赤紫色をしていることからアカイシミヤマクワガタと呼ぶこともある。ただ、南アルプス以外でも花色には変異があるようで、上の写真は北アルプス・針ノ木岳で撮影したものだが、アカイシミヤマクワガタと同様に赤紫色をしていた。



  
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