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奇岩3 真っ平ら編 広島県庄原市・葦嶽山

撮影年月日:1993年10月10日

 「奇岩1 穴開き編」「奇岩2 パッカリ編」に引き続き、全国の山に人知れず鎮座する奇岩をもう少し紹介しよう。さて、奇岩にもいろいろあるわけだが、一面だけ異様に真っ平らになっている岩も奇岩のうちに入ると思う。あまりに真っ平ら過ぎるので、人為的に加工されたようにも感じる。

 最も顕著なのが、広島県庄原市にある葦嶽山の鏡岩だろうか。戦前に「葦嶽山こそ、世界最古のピラミッド」とする説が唱えられ、全国的に知られるようになった山だが、世界最古のピラミッドかどうかはともかく、確かに山中には人為的に加工されたとしか思えない岩があって、なんらかの遺跡であることに間違いないのではないか。葦嶽山の鏡岩は写真のようにかなり巨大で、少なくとも私はこれほど大きな岩の一面が、これほど真っ平らになっている岩をほかではほとんど見た記憶がない。ここの場合は神武岩と呼ばれる四角柱状の岩の上部に、やはり人為的に加工したとしか思えない丸いくぼみがあったりするので、鏡岩も人の手によって平らに加工された可能性が十分あるように感じる。

 また茨城県日立市(撮影時は十王町)の竪破山(たつわれやま)にある太刀割石(たちわれいし)も、かなりの真っ平らぶりである。山名自体もこの奇岩に因み、別名・太刀割山(たちわれやま)とも呼ばれる。太刀割石は、直径7m、周囲20mもある巨岩で、真ん中で割れたように見える二つの岩が対になっている。伝説では源義家が太刀で割ったとされるが、立っている岩は、横たわっている岩に比べて直径が小さいようにも見えるので、元々はひとつの丸い岩が真っ二つに割れたわけではないと想像する。

 最後は山梨県甲州市(撮影時は大和村)と大月市の境にある大蔵高丸(大倉高丸)山頂付近にある天下石。表面は滑かな曲面を描き、真っ平らとまではいえないが、一見するとちょっと奇妙に見える岩である。撮影時は、下の割れ目から岩の破片が落ちていたが、なぜかそれだけ色が白っぽくなっていた。割れ目は一致しそうなので天下石から割れ落ちたのは間違いないと思うけど、どうしてここまで変色するのだろうか。ひとつ考えられるのは、落ちたことで雨に当たりやすくなり、雨に洗われ汚れが落ちた…とか? 天下石の裏にまわると、普通に凹凸がある岩で不思議でもなんでもないのだが。

 こうした真っ平らな岩の成因を考えると、もちろん人為的に加工された可能性もあるが、以前取り上げた「」のように川底にあった岩が上流から流れている小石等によって削られ、次第に凹凸がなくり、ついには平坦になってしまい、豪雨による土石流で下流へ流れ出て人目にふれるようになったとか。あるいは玄武岩の節理のように一定の方向に割れやすい性質の岩だったりするかもしれないが、どちらにしてもあまりに真っ平らな岩は、見る者に不思議な印象を与える。




葦嶽山の鏡石。写真に写っている解説板には「神武岩の上の穴と真南を結ぶ線は45度の角度でこの岩に届く。かつては、穴に光る玉がはめこまれ、光が鏡岩に反射していたとも伝えられ、一種の光通信装置だったのではないかと推論されている」と書かれていた(撮影当時。現在は不明)。神武岩上部のくぼみは、山岳奇譚「山にある不思議な岩」に掲載してある。



同じく葦嶽山の鏡岩。上写真の反対側から見たところ。



竪破山の太刀割石。当然、源義家が太刀で割ったわけではないだろうが、見るだけでは、すごく不思議に見えるし、おもしろい。だが成因は案外なんてことはないのではないか。撮影は1997年。



小金沢連嶺・大蔵高丸(大倉高丸)の稜線上に鎮座する天下石。近くにはハマイバ丸(破魔射場丸)という山もあり、昔は古い太陽を射落として新しい太陽を迎える神事が行われていたそうである。もしかすると、この岩を射落とした太陽に見立てて、表面が磨かれた…とか? 撮影は1992年。



同じく天下石。本文でも書いた割れ落ちた岩の破片。本体の天下石は黒っぽいのに、なぜか破片の方は白くなっているのが、奇妙といえば奇妙だった。



天下石の裏側を見るだけでは普通の岩である。表と裏が両極端。





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