奇岩2 パッカリ編 山梨県山中湖村・石割山
撮影年月日:2001年10月14日
山中湖北側の石割山は、山頂直下に鎮座する断ち割れた巨岩に由来し、岩を御神体とする石割神社が祀られている。岩の割れ目を3回まわると、ご利益があるが、不浄の者の場合は岩に見抜かれて、割れ目が閉まって抜けられないとの言い伝えがあるらしい。自分が不浄かそうでないか、試してみる価値はあるかも。
それにしても巨岩が、これほどまでにあっさり割れているのも、ちょっと不思議な印象を受けるが、同じ山梨県下、日本百名山のひとつ、瑞牆山(みずがきやま)にも割れた巨岩がある。登山口から徒歩で1時間20分。天鳥川を渡ったところにどっしりと腰を下ろす桃太郎岩は、高さ約7m、幅約10mもの楕円体で、やはり真っ二つに割れている。その様子から桃太郎が生まれた桃に見立てられたのだろう。
もちろん岩だから当然、割れることもある。しかし、もしこの巨岩が地震や土石流等により、高い場所から現在地に落下した際の衝撃で割れたと仮定した場合。それほど大きな力が、一度にかかれば、通常はほかにも複数の大きな割れ目が生じ、もっとバラバラになるものだ。小石ならともかく、桃太郎岩ほどの巨岩が、こんなにあっさり真っ二つになるということは、別の成因を考えた方がよさそうだ。
桃太郎岩は花崗岩なので、元々規則正しく割れやすい性質を持つ。そんな岩のわずかな隙間に雨が溜まって冬期に凍結すると、体積が膨張する。すると、わずかながらも割れ目が発生。さらにそこに雨がしみ込んで凍結…ということを繰り返すうちについに限界を越えて、全体が二つに割れてしまった…のではないか。
なお山岳地ではないが、岩手県盛岡市の石割桜も有名。同様に岩を割って生えたように見える樹齢約350年のエドヒガンである。
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石割山の名前の由来になった巨岩。カーブを描いてふたつに割れているが、上部にも亀裂が生じていることがわかる。石割神社のすごく長〜い参道の石段を越えて、実物を見に行こう。

瑞牆山の桃太郎岩。まさにパッカリという感じで割れている姿がおもしろい。撮影は2018年。

これも山梨県。甲州市(撮影時は大和村)・竜門峡の「木賊の石割ケヤキ」も、実にパッカリである。これだけ見ると、ケヤキが石を割ったようにも見えるが、さすがに岩が割れた後に成長したのだろう。ただ切断面に沿う幹の形状が不自然なことから、割れた後に今よりも隙間が狭い段階で幹や根が成長して、割れ目を押し広げた可能性はあるかも。ちなみに木賊は地区名。撮影は1999年。

中央アルプスの登山口、駒ヶ根高原にある切石。まるで刃物で断ち切ったかのように真っ二つになった岩で、武蔵坊弁慶が切ったとも坂上田村麻呂が切ったとも伝わる。9万年前に氷河によって千畳敷カールからしらび平まで運び出され、その後、土石流によって現在の地に達したと考えられており、こうした石を迷い子石と呼び、ヨーロッパにはよくあるが、日本ではここだけだそうだ。この岩も花崗岩なので規則正しく割れる性質があり、現在も隣り合っているということは、千畳敷からの移動の途中ではなく、ここで二つに割れたのだろう。撮影は2018年。
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