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西日本に多い大型のセミ
クマゼミ
Cryptotympana facialis
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 今年(2011年)の7月、広島の実家で聞き慣れないセミの鳴き声がした。昆虫の知識はほとんどないが、「あれ? これってクマゼミじゃないのかな」と思った。鳴き声を聞いたのは1回だけだったが、後日、ソメイヨシノの幹に透明な羽を持つ大きなセミの姿を発見し、クマゼミと確信。高いところに止まっていたので、ハシゴを持ち出し、近くからそっと180ミリマクロレンズで手持ち撮影した。ほかのセミよりも大きいので迫力があり、度胸があるのか鈍感なだけかは知らないが、比較的至近距離に近づいても逃げないので、撮影はしやすかった。どうもソメイヨシノが好きなようで、その後も止まっている姿を何度も見かけた。ただ、それはメスのようで、オスの鳴き声はその後は一度も聞かれなかった。
 西日本では珍しくないようだが、これまで実家およびその周辺では、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシしかいなかった。だから実家でクマゼミを見たのは初めて。ヒグラシも子供の頃はいなかったが、いつの頃からか朝夕に鳴き声がするようになり、今では完全に定着している。実家周辺の自然環境がよくなったというよりも、セミの分布の変動に原因があるのだろう。ネットで調べると、クマゼミも原因は不明だが地域により増えたり減ったりしているそうだ。
 その数日後、実家の庭の草に大きなセミの抜け殻も見つけた。おそらくクマゼミのものだろうと思い、調べてみると確かにそうだった。ということは、以前から付近に生息していたことになる。いつの間にか、わが家も生息域に入っていたようだ。

関連情報→本サイト動物記「セミ」「エゾハルゼミ」「ヒグラシ




透明な羽と緑色の脈が美しいクマゼミ。日本産のセミではヤエヤマクマゼミに次いで二番目に大きいそうだ。広島市(他2点も同様)。

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クマゼミ(右)とニイニイゼミ(左)の抜け殻。クマゼミは、腹部の中心に小さな突起(矢印)
があるのが特徴らしい


 
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