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山のチップ制トイレ 新潟県佐渡市・大佐渡石名天然杉入口など

撮影年月日:2016年10月2日など

 かつて山のトイレは、汚いところも多かったが、各地で整備が進み、かなり改善したように思う。それでも海外と比較すると貧弱という意見もあるらしい。ただ、どこも維持管理は大変なのだろう。おそらく尾瀬が最初ではないかと想像するが、少しでも経費の足しにしようとチップ制トイレも増えてきた。

 チップ制トイレは、利用する際に100円程度のチップをトイレ備え付けの箱に入れるというもので、強制ではなく利用者の善意に委ねた協力金である。しかし、実際はトイレの建設費用どころか、維持管理費にも達しないそうだ。

 有料制にすると、それに異を唱える利用者が必ずいるためにチップ制という位置付けなのだろうが、健全な自然環境を維持するには、利用者もある程度の負担をするべきであり、有料トイレは、まるで金儲けでやっているかのような短絡的な批判は、慎むべきである。そもそも100円程度のチップさえもケチる人に山岳環境の素晴らしさを享受する資格があるのか、私は疑問に思っている。

 とはいえ、チップ制トイレでお金を入れずに利用する人すべてがそうとは限らない。入るときではなく出るときにお金を入れようと思った人(あるいはその逆)。家族全員で利用することになり、ほかの家族がまとめて人数分のお金を入れた人。協力したいと思ったが、たまたま財布に小銭がなかった人。前回、利用した時にうっかり500円玉を入れてしまったので、今回は勘弁してもらおうと思った人…そういう場合もあるからケースバイケースだけだね。

 ただ、やはり自然環境に多少なりとも負荷をかけている登山者は、トイレのチップくらいは積極的に協力すべきである。

 以前、北海道の山小屋でトイレを利用させてもらった時のこと。山小屋前にザックを置いてトイレに入ると、そこにチップを求める貼り紙と料金箱。知っていれば財布を持ってきたが、今はザックの中だ。トイレを利用したあと、「チップどうしようかな」と思いながら外に出たところ、たまたま山小屋の管理人がニコニコして話しかけてきて立ち話になったので、その際にトイレのチップを申し出て受け取ってもらったこともある。
 行政が作ったトイレにしろ山小屋のトイレにしろ、その維持管理には経費も労力もかかっていることを理解して「トイレをありがたく利用させてもらっている」という姿勢でありたいものだ。

関連情報→本サイト山岳記「山のトイレ」「山の携帯トイレ



新潟県佐渡市・大佐渡石名天然杉遊歩道入口のエチケットトイレ料金箱。協力金1回100円。

以下、全国各地の登山口や登山コース上のトイレにあったチップ入れである。
秋田県仙北市・秋田駒ヶ岳八合目(左)。山形県遊佐町・鳥海山 大平園地(中)。岩手県花巻市・早池峰山 河原坊(右)。


秋田県鹿角市・八幡平 蒸の湯休憩所(左)。岩手県一関市・栗駒山 須川高原(中)。福島県北塩原村・雄国沼休憩舎(右)。


新潟県阿賀町・たきがしら湿原(左)。福島県檜枝岐村・尾瀬ヶ原 温泉地区(中)。福島県檜枝岐村・尾瀬沼 (右)。


群馬県片品村・尾瀬ヶ原 山の鼻(左)。群馬県片品村・大清水(中)。新潟県湯沢町・平標山登山口(右)。


新潟県湯沢町・苗場山 祓川コース登山口(左)。長野県木島平村・カヤノ平(中)。長野県東御市・湯ノ丸高原キャンプ場(右)。



富山県立山町・北アルプス 立山一ノ越公衆トイレ。


富山県立山町・北アルプス 立山天狗平山荘(左)。岐阜県高山市・北アルプス 乗鞍畳平(中)。山梨県南アルプス市 南アルプス広河原(右)。



静岡県静岡市清水区・浜石岳登山口手前。



岐阜県白川村・白水湖畔。


山梨県韮崎市・青木鉱泉の私設トイレ(左)。岐阜県郡上市・白山 石徹白登山口(中)。福井県大野市・白山 刈込池入口(右)。


奈良県上北山村・大台ヶ原駐車場(左)。大阪府千早赤阪村・金剛山登山口(中)。鹿児島県屋久島町・千尋滝入口(右)。





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