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ギンリョウソウに似ているが…
シャクジョウソウ

イチヤクソウ科
Monotropa hypopithys
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 植物に興味を持つようになって、もう何十年も経つ私にとっては、ひと昔前の新エングラー体系に乗っ取って「イチヤクソウ科シャクジョウソウ属の多年草」と説明するのが一番すんなりくる。最新のAPG分類体系では、なんとツツジ科に分類されるそうだが、正直、受け入れがたい。新エングラー体系で科や属をやっと覚えたと思ったら、すぐにクロンキストに変わり、またまたAPGに変わるなんて、そりゃないだろ。予想はしていたが、いかんせん記憶力が付いていかない(笑)。

 それはさておき、本種は葉緑素を持たない腐生植物で、ギンリョウソウに似ているが、花期が遅く、全体がやや黄色っぽいのが特徴。名前は、修験者などが持つ錫杖という杖に見立てたもの。北海道〜九州に分布し、山地の林内に生える。
 高さは10〜15センチほどで、茎には鱗片葉が多数あり、6〜8月に茎頂に数個の花を下向きに付ける。花柱は黄色で、雄しべ8個が子房のまわりを取り囲む。花は次第に上向きになり、刮ハとなる頃は完全に真上を向く。

 かつて山梨県の三ツ峠山で見かけて以来、ご無沙汰だったが、今年は長野県内の2ヶ所で偶然遭遇。特に御嶽山では十数株が群生していて、しばらく時間が経つのも忘れて撮影に没頭した。

関連情報→本サイト植物記「寄生植物」「ギンリョウソウ



8月、登山道沿いに生えたシャクジョウソウ。長野県木曽町・御嶽山中腹で。



長野県高山村・七味温泉で見かけたシャクジョウソウ。林道路肩に生えていた。通常のシャクジョウソウは、もう少し黄色っぽいが、この株は白に近かった。



シャクジョウソウの雌しべ柱頭は、黄色。花冠裂片には毛が密生する。ちなみにギンリョウソウの場合は、柱頭が紫色をしている。長野県高山村・七味温泉。



  
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