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名前は多摩川ではなく玉川…
タマガワホトトギス

ユリ科
Tricyrtis latifolia
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 ユリ科ホトトギス属の多年草。漢字では「玉川杜鵑」。タマガワは山梨県や東京都を流れる多摩川ではなく、京都府綴喜郡井出町を流れる玉川に由来。本種の花色をヤマブキに見立て、ヤマブキの名所である玉川の名前を冠したもの。
 日本固有種。本州、四国、九州に分布。山地の湿った林内に生え、直立または斜上し、高さは40〜80センチ。花茎以外の茎や葉は無毛。葉は互生し、広楕円形で先はとがり、基部は心形で茎を強く抱く。

 7〜9月に茎の先や上部の葉腋に散房花序を付け、数個の花を開く。6個の花被片内側には紫褐色の斑点があり、うち3個の外花被片の基部には丸い突起がある。また腺状突起が密生した花柱は3裂し、裂片はさらに2裂し、雄しべ6個のうち3個は、その下に配置される。多雪地の方が、やや花色が濃い印象である。



長野県須坂市で見かけた登山道沿いに群生するタマガワホトトギス



ここの株はほとんどが斜上していた。茎は少しジグザグに曲がり、葉の基部は強く茎を抱くのがわかる。花茎だけは白い微毛が多い。



この花は、地の黄色が少し薄く、斑点も少ない。



地の黄色が濃くて、斑点も多い花。その一方、花柱に斑点はほとんどない。長野県松本市・島々谷。



花柱にも紫褐色の斑点が入るが、これも個体差があり、ほとんど入らない花も見かける。ビーズのような腺状突起が特徴だ。長野県須坂市



腺状突起の拡大。長野県須坂市



  
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植物記