Nature

一種一種、植物を取り上げて、その植物にまつわる話題を写真とともに紹介します。

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植物記
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虫を捕らえて養分を吸収する
食虫植物

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 食虫植物といえば、ハエトリソウやウツボカズラなどの外国産の方がよく知られているかもしれないが、日本にも何種類もの食虫植物が自生している。目にする機会が多いのはモウセンゴケ。湿原や湿地だけでなく、湿っぽい草地や登山道などで見ることもある。

 モウセンゴケ科に属するなかまには、北海道と尾瀬にしかないナガバノモウセンゴケ、ひとまわり小型のコモウセンゴケ、モウセンゴケとナガバノモウセンゴケの雑種・サジバモウセンゴケ、また見る機会はごく少ないが、イシモチソウ、ナガバノイシモチソウがある。いづれのなかまにも葉には粘液を分泌する腺毛が多数あり、それで虫を捕らえる。またムジナモもモウセンゴケ科だが、日本ではすでに野生絶滅しており、埼玉県で自生地復元が試みられているが、どちらにしても自生品は見ることができない。

 続いてタヌキモ科。このなかまには、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、タヌキモ、ノタヌキモ、イヌタヌキモ、コタヌキモ、フサタヌキモ、ヒメタヌキモ、イトタヌキモなどがある。ミミカキグサやホザキノミミカキグサは、たまに見かける程度で多くはない。そもそも小さな花なので、注意していないと見落としてしまう。いづれも捕虫嚢をもち、これでとらえる。

 ところで、北海道や尾瀬にはコタヌキモと類似したヤチコタヌキモがある。下の写真Kはとりあえずコタヌキモとしたが、もしかするとヤチコタヌキモの可能性もある。両種の違いは水中の葉や捕虫嚢について見なければわからないので、この写真から判定はできない。ただ『日本水草図鑑』(文一総合出版)によると、変異型をとらえて別種に同定している可能性もあるとしている。

 もうひとつ。タヌキモ科にはミミカキグサなどが属するタヌキモ属とは別のムシトリスミレ属があり、日本では中部地方以北の高山帯などに分布するムシトリスミレと、庚申山や男体山、袈裟丸山など日光・足尾山塊のごく限られた場所のみに分布するコウシンソウの2種が知られる。葉の表面に粘液を出して、それで虫をとらえる。コウシンソウの自生地としては、庚申山が一番見つけやすい。またある本によると、男体山では割とわかりやすい場所に自生しているという。私は以前、袈裟丸山の自生地を捜しに登ってみたことがあるが、見つけることはできなかった。

関連情報→本サイト植物記「コウシンソウ」「コタヌキモ」「ムシトリスミレ



粘液を分泌するモウセンゴケの葉。長野県山ノ内町・志賀高原

@            A             B             C

@モウセンゴケの花/長野県・北志賀高原。Aナガバノモウセンゴケ/群馬県・尾瀬ヶ原。Bコモウセンゴケ/千葉県成東町。Cナガバノイシモチソウ/千葉県成東町。

D             E

Dイシモツソウ/千葉県成東町。Eムジナモ/埼玉県羽生市(植栽)。

F             G            H            I

Fミミカキグサ/千葉県成東町。Gホザキノミミカキグサ/愛知県作手村。Hイヌタヌキモの花/佐賀県七山村。Iタヌキモ・水中の茎と捕虫嚢/千葉県成東町(植栽)。

J             K            L            M

Jコタヌキモ/群馬県・尾瀬ヶ原。Kムシトリスミレ/北アルプス・八方尾根。L虫をとらえたムシトリスミレの葉。Mコウシンソウ/栃木県・庚申山。

  
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