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水中の姿をタヌキの尻尾に見立てた
コタヌキモ

タヌキモ科
Utricularia intermedia

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 北海道と本州、九州の浅い湖沼に生えるタヌキモ科タヌキモ属の多年生食虫植物。水中に浮遊する沈水植物で根はないが、茎が地中に埋もれることもあるらしい。茎は長さ10〜20センチ程度で、捕虫嚢があり、これで水中にいる微少動物を捕らえる。
 6〜9月に水面から花茎をのばし、1〜5個の黄色い花を咲かせるが、なぜか国内で果実形成の記録はないそうだ。茎端に球状の殖芽(しょくが。栄養分を貯蔵した芽のこと)を作り越冬する。

 コタヌキモは、尾瀬ヶ原で何度か目にしているが、数は少ない印象だ。今年(2012年)7月下旬に尾瀬ヶ原を訪問した折も牛首分岐付近で、たった1株、花を咲かせていただけで、それ以外の場所ではまったく見かけなかった。花がなければ、本種の存在に気づくのは難しいし、仮に水中の姿に気づいてもそれだけではタヌキモ類のどれに該当するのか調べるのは容易ではない。
 なお6月に戦場ヶ原に行った時、木道のそばの浅い水の中にタヌキモ類と思われる植物を見かけた。『とちぎの植物T』(栃木県/2003年)によると、戦場ヶ原でコタヌキモの文献情報があるようなので、おそらくそうではないかと想像するが、あくまで推測の域を出ない。

関連情報→本サイト植物記「食虫植物



尾瀬ヶ原の低層湿原内で2花を咲かせたコタヌキモ



戦場ヶ原で見かけたコタヌキモと思われる植物。水草の根のようにも見えるが、よく見ると確かに捕虫嚢が点々とある。また茎端には形成途中の殖芽(?)らしき球状のものがあるのもわかる。



  
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