これまで聞いた話や読んだ話の中から、特に不思議に感じる話、怖い話を選び出してみた。


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ニホンオオカミは絶滅していないのか?


 ニホンオオカミは明治38年1月23日、奈良県吉野村鷲家口というところで、地元の猟師3人が捕獲したのを最後に絶滅したとされている。だが、その以後もオオカミを捕獲したという証言や新聞記事などもあり、昭和に入ってからも、何度も目撃例やオオカミ特有の咆哮を聞いたとする証言やニホンオオカミらしき動物の写真が撮影されたりしている。
 このようにニホンオオカミの話題が、絶滅とされてから1世紀近くたった今でも出てくるということは、それが事実かそうでないかはともかく、未だに人々の中にニホンオオカミへの憧憬があるからかもしれない。


 ニホンオオカミといえば、よく掲載されるのがオランダ・ライデン自然史博物館が所蔵している剥製。かのシーボルトが提供したとされる有名な剥製だが、以前、テレビ番組でこの剥製が紹介され、台座にjamainuと書かれていたことから日本にはオオカミとは別種の「ヤマイヌ」と呼ばれるイヌ科の動物がいたのではないかといっていたが、シーボルトがjamainuと書いたのは、タイリクオオカミを知っていたためにそれより小型のニホンオオカミをオオカミとは思わずをヤマイヌと考えて出島で飼っていたからである。「本草綱目啓蒙」などで本草学者がニホンオオカミや野生化したイヌをまとめてヤマイヌと呼んでいたことがその背景にはあるらしい。その一方、ニホンオオカミの血を引く野生犬が生き残っている可能性もあるようだ。


 何年か前、埼玉県大滝村にある三峯山博物館に展示されているニホンオオカミの毛皮を見たが、テレビで見たライデン自然史博物館の剥製よりも大きく感じた。これはライデンのそれが夏毛だったのに対して、これらの毛皮は冬毛だったからかもしれない。博物館の職員の方によると、以前、この秩父地方でもニホンオオカミ探しが行われ、外国に生息するオオカミの咆哮をスピーカーで流したこともあるという。しかし残念ながら反応は返ってこなかったそうだ。
 ニホンオオカミは絶滅したとされるが、一方で次のような話しもある。紀伊半島の深山にはイエイヌ(人間が飼育している犬のこと)が恐れて近づかない少数の野生犬が生息しており、動物学者の今泉吉典先生も「ヤマイヌ(=ニホンオオカミ)か、ヤマイヌとイエイヌの雑種の可能性があり、ただの野良犬ではなさそう」とある本の中で述べておられる。


関連情報
→本サイト「日記・見狼記
→本サイト「日記・ニホンオオカミ
→本サイト「動物記・ニホンオオカミ




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