2023年11月10日(金)
クマ被害の実態
 このところ各地でヒグマやツキノワグマによる人身被害が相次いでおり、他人事とは思えない。先月に4日間ほど、取材で長野県に行って来たばかりだが、やはりクマ対策をこれまで以上に意識した。具体的にいうと取材対象地を歩く際にすべてクマ撃退スプレーを持参し、しかも腰に付けたスプレーホルダーの面ファスナーを外し、スプレーの安全ピンも外した状態で歩いた。安全ピンが付いたままだと、とっさの時に対応がワンテンポ遅れる可能性もあるからだ。結局、クマに遭遇せずにすんだが、今年のような異常なクマ出没年に無対策で山を歩くのは、もちろん場所にもよるが無謀と考えた方がいいかもしれない。

 クマの問題個体を駆除したところ、行政に「クマがかわいそう」といった感情的で一方的にまくしたてる批判電話が殺到しているらしいが、こういう的外れな批判をする人たちは、勝手な想像だが普段、野生のクマと対峙することもない都市生活者で、ツキノワグマやヒグマの実態を何も知らない、おそろしいほど呑気でオメデタイ、困った方々と申し上げるよりほかにない。野生のクマを、あたかもクマモンやクマのプーさんみたいな愛らしい動物とでも勘違いしているのだろう。こういう方々は、もはや社会にとっていない方がいい「有害」レベルである。

 各種学術誌に掲載された論文を閲覧できるオンラインプラットフォームのJ-STAGEで検索すると、クマ被害の実態がよくわかる関連論文がいくつも見つかった。ほかにもあるが、4例ほどリンクを貼っておく。論文を閲覧する場合は、ページの「PDFをダウンロード」をクリックする。
ただし、いずれの論文も結構、衝撃的な写真が掲載されているので、閲覧される場合はくれぐれもご注意頂きたい。こういう外傷写真を見ても、まだ「クマがかわいそう」と仰るのであれば、まあ本当のことをいって申し訳ないが、みなさんは相当に頭の方がイカレてますからね。ヒグマにしろ、ツキノワグマにしろ、決して絶滅させてはならないが、一方で地域の人たちの安全のために問題個体は駆除するしか方法はない。

 クマが人間を攻撃する際は立位になることから、顔面に被害が及ぶことが多く、失明する例もあるようだ。万一、クマに襲撃された場合は顔面を守る姿勢をとることが重要かもしれない。とはいえ、いきなり襲われた場合に、すぐにそうしたことに頭がまわるものなのか。何度もツキノワグマと間近に遭遇する経験をしている私でも自信はない。

加藤 雅康ほか:「クマ外傷の4例」日本救急医学会雑誌2011 年 22 巻 5 号 p. 229-235

鈴木 真輔ほか:「クマによる顔面外傷13症例の検討」頭頸部外科2018 年 28 巻 2 号 p. 183-190

齊藤 景ほか:「当院におけるクマ外傷9例の検討」創傷2021 年 12 巻 2 号 p. 98-105

田中 宏和ほか:「ツキノワグマに襲撃され広範囲な顔面裂創と下顎骨粉砕骨折をきたした2例」日本口腔外科学会雑誌 2014 年 60 巻 10 号 p. 581-586



2023年9月12日(火)
蘭領東印度リオ群島タンジョンバト(2)
 前回の日記に書いた「Tanjungbatu」だが、さらにグーグルマップを見ていて、シンガポール東隣に浮かぶテコン島に「Tanjongbatu」の地名を見つけた。謄本のカタカナ表記は「タンジョンバト」なので、より信憑性があるのはこちらの方かもしれない。祖母の話で、島からシンガポールまでは船で10分だったという話もあって、確かにテコン島であれば、その点は矛盾しないし、全島が個人所有の農園であったとしても違和感がない広さなのだが、一方でテコン島は、現在はシンガポールの島であり、インドネシアのリオ群島には含まない可能性がある。当時はどうだったのか不明だが、もしリオ群島に含まないとすると謄本の記載と矛盾することになる。

 結局のところ、真相は不明だ。生前、父に聞いてもわからなかったと思う。祖母に地図を見せて尋ねれば、正しい場所を教えてくれただろうが、私が中学2年生の時に亡くなっている。




ゴム農園で成功した祖父。お金持ちだった祖父は、当時、庶民には手が届かなかったライカのカメラを2台も持っていて、おそらく今残っている写真はすべて自前のカメラで撮影したものと思われる。


おそらく手前左が父。右は四男の弟? 奥の2人は農園で働く現地の人? 祖父は兄弟の中で三男の父に期待して、将来、医者にさせたいと周囲に語っていたとか。


農園内と思われる写真。ゴムの木か?


農園内と思われる写真。


ペットは虎だったようだ(笑)。この個体はマレートラか、スマトラトラか、はたまたジャワトラか。タンジョンバトの位置から考えると、どの可能性もありそうだ。



シンガポール市街地か。人力車が時代を感じさせる。

2023年9月10日(日)
蘭領東印度リオ群島タンジョンバト(1)
 このところ相続関係の手続きのために父に関わるすべての戸籍謄本を入手。実はもっと古い時期に得た青焼きの謄本もうちにあって、初めてそれらをまとめてじっくりと見たのだが、知らないことがいろいろあった。

 前回の日記で「ただ太平洋戦争が始まり、シンガポールが陥落すると、父一家の運命は暗転する」と書いたが、あとで調べると少し違っていた。謄本を見ると、祖父が亡くなったのは昭和16年。シンガポール陥落は昭和17年なので、この説明では時系列が矛盾する。おそらく正しくは、以下の通りだと思われる。

 昭和16年12月の開戦に伴って蘭印にいた邦人は弾圧され、資産凍結令が発布される。これにより祖父の農園は接収されたのだろう。しかも少し前の11月に早々に帰国した以外の邦人は、やがて拘束されて収容所送りになったようだ。この移送船内で祖父は亡くなり、祖母と父の妹たちは、おそらくジャワ島東部にあった収容所に連れて行かれ、日本との捕虜交換で開放された。交換場所はネット情報を元にした私の推測だが、謄本の祖父の欄には「昭和拾六年拾貳月参拾壱日午前参時四拾五分、ジャワ スラバヤ タンジョンゲダル沖ニ於テ死亡」とある。地理的な位置関係から考えると、シンガポールからジャワ沖を経由してジャワ島東部に向かっていたと考えるのが自然だろう。オーストラリアの収容所に送られた邦人もいたようだが、祖母からオーストラリアに行ったという話しは母も聞いていないようなので、オーストラリアではないと思う。

 祖父の農園があった場所は、シンガポール沖に連なるリオ群島(リアウ群島)のタンジョンバト。祖母からの話で「タンジョンバト」という地名は父も母もよく覚えていた。農園が島にあったというので、タンジョンバトという島があるものとばかり思って、かつて父と一緒に世界地図で探したが、見つけられなかった。ところが今回、謄本の四女の欄に「蘭領東印度リオ群島タンジョンバトニ於テ出生」と書かれているのを見つけた。父も含めてほかの大半の兄弟はシンガポールの病院で生まれているが、四女だけはおそらく自宅で生まれたのだろう。

 グーグルマップでリオ群島にタンジョンバトという地名がないか、探したところ、なんとようやく見つけることに成功した。ただし島の名前ではなくクンドゥル島にある街の名前だった。英語表記は「Tanjungbatu」。グーグルマップのカタカナ表記では「タンジュンバトゥ」になっていたが、これは同一地名と考えていいだろう。島全体を所有していたと聞いたようにも思うが、地図を見ると30キロ四方もある結構大きな島なので、全部というのは違うかもしれない。ただ祖父の農園では500人も農夫を雇っていたそうなので、その可能性も否定できない。

 また今回、母も知らない事実を謄本から見つけた。祖父一家は昭和15年に祖母の実家がある広島県呉市に戻っていた。というのもこの年に末っ子の叔母(父の一番下の妹)が生まれているのだが、その出生地が呉になっていて出生届は祖父本人が出していることがわかった。だが、ここで謎が残る。どうして祖父一家は、はるばるシンガポール沖の島から帰国したのだろうか?  開戦の前年ということは、すでに東アジアの情勢が緊迫していたはずだ。祖父は、子供たちを避難させる意味で連れ帰ったのかもしれない。そのあと農園のこともありタンジョンバトに戻ったが、予想に反して戦争が始まってしまい、苦労して開いた農園を失ってしまったのだろう。

 ところで祖母という人は、血のつながった孫である私がいうのもなんだが、前回の日記でも書いたように、本当に「ロクでもない人」。長男(父の一番上の兄)を産んだ時の祖母の年齢を謄本の記載から計算すると、なんと15才。その時、祖父の年齢は33才。つまり年の差18才の夫婦だったことが判明してビックリ仰天した。祖父が亡くなって捕虜交換で開放されたあと、そのまま帰国すれば、まだよかったと思うのだが、祖母は末のふたりの娘を連れてシンガポールで船を降りて、農園の関係者とウィスキーやブランデーを作る事業を始めたらしい。それが当たって、またまた大儲け。毎朝、店の前にお酒を買い求める人が列を作るほどだったらしい。しかし、戦後に帰国したのちは商才が発揮されることはなく、裕福ではなかったと思う。

 一方の祖父がどんな人だったのか想像するしかないが、実にワールドワイドなフロンティア・スピリットにあふれた人だったのは間違いないだろう。若くして母親からもらった500円(当時は大金)を胸に神戸で船員に頼み込んで船倉に入れてもらい、単身、シンガポールに渡ろうとは普通、思わない。同じ傾向は、ブラジルでの仕事を全身全霊で当たった父にも共通するように思うが、不思議なことに父の兄弟にはそんな傾向は微塵もない。


2023年8月17日(木)
父が亡くなりました
 8月12日の午後、父が89才で死去した。

 3年前の1月に小脳出血を起こして運動機能と認知機能が低下し、以後、母とともに介護を続ける。家の中で移動させたり、あるいは毎月病院へ連れて行ったり、そのたびに座っている父を抱え起こすことになる。この作業で腰に負担がかかって悲鳴を上げる人も多いらしいが、私の場合は長年登山で足腰を鍛えているせいか、ほとんど気にならなかった。むしろ食事の介助が大変だった。最初の頃は自分で食事ができていたのだが、次第にできなくなり、昨年くらいからは朝・昼・晩それぞれ食べ終わるのに1時間、場合によっては1時間半もかかることがあった。すべて箸やスプーンで口に持っていって食べさせるわけだが、毎日毎日3時間以上もこの作業に費やされることになる。

 今年3月に父の様子がおかしくなり救急搬送。さらに近所の総合病院に転院したが、コロナの関係から面会が制限され、午後2時以降に15分しか会えないので、母と毎日2時に面会に行っていた。12日もいつものように面会に行き、父がいる4階に着いたところで、看護士さんに呼び止められ、「実はつい先ほど、急に血圧が下がり、危険な状態になっていて、今、電話しようと思っていたところでした」といわれてビックリ。

 前日までは顔色もよく、その日も普通の面会のつもりだったが、主治医から「明朝まではもたないだろう」との説明を受け、そのまま病室にいたところ、わずか40分ほどで眠るように逝ってしまった。まるで母と私が面会に来るのを待っていたかのようなタイミングだったので、「急に夜中に病院に呼び出されるのは大変なので、可能な限り驚かさないようにしてくれたのだろう」とあとで母と話した。

 今にして思えば、この3年半は父との濃密な時間を与えてもらった素晴らしい時間だったと思う。この時間があったことで、父の死に対する悲しみも少し和らいだ気がする。あの時はこうすべきだったとか、細かいことではいろいろ後悔がないわけじゃない。でも自分ができる範囲のことはすべてした。父が私に対してしてくれたことの半分も恩返しはできなかったかもしれないが、すべきことはほぼやり切ったと思う。

 ところで父方の祖父は、早稲田大学を出て故郷の愛媛県で教師になったが、ある時、一念発起。単身、シンガポールに渡ってジャングルを開墾し、ゴムを栽培して大農園主として成功した人である。なので父の出生地はシンガポールだ。幼い父のめんどうを見てくれたのは自分の母ではなく、中国人の雇われ乳母。でも父は生前「その乳母がやさしかった」とも語っていた。大金持ちだった祖父は、祖母のために倉庫の香水在庫を丸々買うようなこともしていたらしい。

 ただ太平洋戦争が始まり、シンガポールが陥落すると、父一家の運命は暗転する。農園は接収され、祖父は失意の中、米軍の移送船内で重度の胃潰瘍のため死去。米軍は吹奏楽を演奏して丁重に水葬してくれたらしいが、そのため遺髪しか残っていない。

 もし戦争がなければ、父は大金持ちのお坊ちゃんのまま順風満帆の人生だったかもしれない。おそらく母と知り合うことも100%なかったのではないか。しかし戦争が父の運命を大きく変えてしまった。戦後は苦労の連続。もともと祖母も父の兄弟も「ロクでもない人」だったので、余計に父の苦労は増えることになる。

 そんな過酷な半生を生き抜いてきた父は、とにかく「努力の人」。まさに「プロジェクトX」を地で行くような人である。その「簡単に諦めない姿勢」は、圧倒的なものがあり、その精神で大企業の中で立派な結果を出した。まあ、とても私には真似できない。

 3月に入院して、食事がとれなくなり点滴で栄養を補給する状態になって、ふと元気だった頃の父の姿を見てみたくなり、改めて過去の静止画と動画を探したのだが、静止画は結構あったが、肝心の動画はわずかしか撮っていなかった。父が話しをしているところとか、もっと撮っておけばよかった。今にして思えば、残念だ。

 父には感謝しかない。ありがとう。ありがとう。

 でも永遠の別れじゃないよ。あの世で、いずれ会おう。そして来世でもまた僕を息子にしてね。

 
在りし日の父 1994年、60才の時


2023年8月6日(日)
テレビアンテナとブラジルマツ
 先日、BSが数日間に渡って映らなくなり、エラーコードE202と表示されたので、ネットで検索。テレビの設定で受信強度を見てみると、まったく電波を受信していない状態だった。おそらくアンテナに問題があるのだろう。早速、近所の量販店に電話をして業者の手配を依頼するが、今は混んでいるので最短で1週間後といわれ唖然。1週間もBSを見れないのはきついなぁ。でも仕方ないと諦めていたら、待ってる間に再び映るようになった。実は以前から数ヶ月に一度くらいの割合で、天候が悪いわけでもないのに毎回数時間程度、映らなくなることがあったので、「またか」だったのだが、今回は復旧するのに数日もかかってしまった。この際だから専門家に見てもらっておいた方がいい。キャンセルせずに予定通り来てもらった。

 業者によると、アンテナが古くなると、前方に突き出した丸い部分に雨水が浸入して映らなくなり、やがて乾燥して水がなくなると復旧することはよくあるという。うちのアンテナもおそらく同じ原因だろう。秦野で3年しか使っていないアンテナを取り外し持ち帰っていたので、それと交換してもらう。

 作業を終えたあと、「お宅の場合、BSの電波は問題ないが、地上波デジタルの電波が少し弱いですね」と指摘を受ける。おそらく樹木が生長して電波を遮っているのが原因だろうとのこと。知らなかったが、地上波のテレビアンテナって矢印みたいな形をしているので、ついつい矢頭の方向から電波が来ているように思いがちなのだが、矢頭みたいな部分は背後からの余計な電波をカットするためのもので、実はその反対側から電波が来ているのだそうだ。へぇ〜、知らなかった。うちの場合はその方向にブラジルマツとブナが並んで立っていて、確かに昔に比べるとかなり大きくなり、確実に電波に影響を与えそうな茂り方をしている。

 というわけで、昨日、ブラジルマツとブナの枝を落とす作業をしたので、今日は「ブラジルマツ」を取り上げることにした。両親がブラジルから持ち帰った種子から育ったもので、今は高さ8メートルもの立派な大木になっている。梯子から幹の様子を撮影したが、改めてよく見てみると、日本産針葉樹にはない形態がおもしろい。

 2時間ほどかけて太い枝を落として、樹形もスッキリ。あとで確認してみると、地上波の受信強度が少し上がっていた。




上部の幹にはこんな風に直接、葉が生えている

枝と葉(左)。葉は硬くて触ると痛い。樹形(右)。

2023年7月8日(土)
内閣府からお金をもらう
 実は明後日、内閣府から支払われるお金がボクちんの口座に入金される予定なのだ。えっ!? どういうこと? と思われるかもしれないけど、別に大したことじゃないんだけどね。

 先日、契約しているストックフォトサービスからの支払い明細をダウンロードしたところ、明細トップに記載されていたクライアントが、内閣府だった。珍しい。過去には国土交通省や外務省等の中央官庁、あるいは以前、本項にも書いた某政党にご使用頂いたことがあるが、内閣府は初めてだ。

 どんな写真が使われたか、興味あるでしょう。いやいや、どう考えても国家機密に該当すると思われるので、ここでは断じて明かせません。ご想像にお任せします(笑)。ひとつだけいっておくと、その明細を見たボクちんは「内閣府がどうしてそんな写真を必要としたのだろうか????」と思ってしまった。誰がどんな写真を使いたいか、その需要は想像以上のものがある。

 ちなみに今回の明細にあった、ほかのクライアントは、日本テレビ、(雑誌の)クロワッサン、JR東日本等だった。

 写真のご使用に心より感謝申し上げます。


2023年7月7日(金)
小玉スイカ+ブルーベリー

今年初の小玉スイカ収穫。昨年、初めて植えたところ、100点満点の出来だったので、今年も植えてみた。昨年よりも勢いがあって、ネットで囲っているにも関わらず、そこからはみ出してツルがどんどんのびている。実もたくさん成長中で、食べきれないくらいできそう。


ブルーベリーも初収穫。500グラムほどあった。毎年キロ単位でできるのだが、今年は例年以上に花が付いていたので、収穫も期待できそうである。奥のトマトとピーマンもうちの菜園でとれたもの。


2023年7月6日(木)
ネットにつながらないトラブルが2度連続する
 先月はネット関連のトラブルに2度も見舞われ、その対応に時間をとられてしまった。本サイトでもあちこちにリンクを貼っているトレナビに使うbmpファイル数千点を転送した時のことだ。一旦は転送を開始したものの、すでに夜遅かったので、「時間がかかりそうだから、やっぱ明日にしよう」と途中で中断。ところが転送ソフトが終了しなくなり、仕方なく強制終了させたのだが、以後、インターネットにつながらなくなる。しかもうちは光電話なので、固定電話も使えないことになってしまった。

 翌日、光回線のサポートにスマホから電話したところ、いろいろ設定等を確認されてルーターなどの機器の問題ではなく、パソコンの問題ではないかと指摘される。そこで続いてパソコンメーカーのサポートに電話。ここでも指定された画面を開いて設定をいろいろ確認。ところが、パソコン上の問題ではない可能性が高いとの判断だった。

 再度、光回線のサポートに電話。調べてもらったところ、NTT側設備に問題がある可能性があり、その機器をリモートでリセットしてもらったところ、あっさり復旧した。

 あーよかった。これでファイル転送も問題なくできるだろうと、中断したままだった作業を再開したところ、やっぱりなんかおかしい。途中で転送スピードがガクンと落ちて進まなくなり、転送ソフトを中断したところ、またネットにつながらなくなった。

 またまたサポートに電話して、おかしくなった時の状況を再度説明した。まったく同じ障害が二度も続いたので、向こうもおかしいと思われたようで、結局、NTT側の機器を交換するという判断になった。サポート担当者と電話で話した際、「私が重いファイルを大量に転送したことが原因の可能性と、機器自体のトラブルの可能性と、おそらくどちらもありますよね? 」と聞くと「仰る通りです」とのことだった。これまで同程度の転送でも問題はなかったので、やはりNTT側機器のトラブルの可能性の方が高いんじゃないかと思うけど、本当のところはわからない。

 その後、また障害が発生するのではないかと、なかなかファイル転送を再開できずにいたのだが、昨日、おそるおそるやってみると、うまく転送できた。ただ今回はbmpファイルをサイズダウンしてリスクを減らした。さらに分割して、少しずつ転送することにした。一度だけ、転送が途中で止まってしまって肝を冷やしたが、分割して送り直すと今度は問題なく転送できた。 

 現時点でのトレナビの総ファイル数は約3万件もあって、ちょっとした修正でも、時に転送件数が数千件に及ぶことがあるので、今後も転送するのが正直、怖い。とにかくなるべく分割してやってみようと思う。ちなみに総ファイル数約3万件といっても、ファイルひとつひとつを膨大な時間をかけて黙々と作ったわけじゃないけどね。


2023年7月1日(土)
最近のニュースで感じたこと
マイナンバーカードは危険?(3)

 ひつこいけど、もう1回、行きますよ〜。今朝の朝日新聞に今回の騒動によりマイナンバーカード返納が45万枚だったとする記事が載っていた。なんだかね〜。ほとんど無意味なマイナンバーカード狂騒曲だね。

 マスコミ情報って、そのまま受け取るものじゃなくて、世の中にあふれかえる情報の中にある、タダのいち情報に過ぎない。だから、それぞれ吟味する必要があるのだが、ほとんどの一般人はそれを神の声のようにすべてを正しいものだと思い込んでいる。そもそも、そこが大間違い。もちろん正しい場合もあれば、正しいけど条件付きだったりとか、あるいはまったく間違いということも割とあったりする。一般人よりも記者は情報探索能力に優れているとはいえ、所詮、記者も一人の人間という生物個体でしかないので、「生物個体という視点でしか世の中を見れない」という枠から出ることはできない。つまり、そういうしくみの中の存在である以上、絶対にバイアスという罠からも逃れることができないのだ。

 今回の件は、おそらく技術系の人、特にシステム関係の技術者であれば、みんな同じことを思っているはずだ。つまり、これほど巨大なシステムを新たに作るのに一発で完璧なものを作れるわけがないと。ボクちんは最初からそう感じていたが、先日、やはりシステムエンジニアの人が、今回の件に関して同じようなことをおっしゃっている記事に接した。ネット上のシステム関係のサイトでもこうある。

 
IT業界やゲーム開発では、トライ&エラーを繰り返してシステムを構築し、機能性を高めていきます。

 IT関係の商品開発では、発売前に徹底的な確認がされていると思うが、マイナンバーカード制度のような国家レベルの巨大システムの構築では、事前に確認するにしても限度がある。おそらくマイナンバーカード制度に関わっているシステムエンジニアの人はみんな、この程度の問題が発生するだろうことは予想していたと思う。問題は出てくるだろうが、とりあえず大枠でシステムを作って、あとはそれぞれ個別に修正していけばいいと。

 今回の件も、本サイトでずっと指摘している「文系の人はほぼ共通して定量的な視点がない」ということが根底にある。実はたまに理系でも定性と定量の違いを理解していない人もいるし、逆に文系でも理解している人がいるので、文系の人全員がそうだというわけでもないのだが、他国はどうか知らないが、少なくとも日本国の現在と将来を考える上で、このことは極めて重大な問題だと思っている。

 要は「単純」ということに尽きるのだが、定量的な視点が欠落する人は、すべてを「ある」か「ない」かでしか考えない。つまり、今回の件でいえば「問題がある」か「問題がない」の二択しか、頭の中にない。なのでマスコミが「マイナンバーカードにこんな問題があった」と報道しようものなら「問題がある制度なんて怖くて使えない。返納しよう」という反応になってしまう。

 一方、定量的な発想ができる人であれば、すでに本項で指摘したように、全体の交付件数と問題件数の割合を計算して、それが極めて低いことに気づき、冷静な判断ができるわけだ。

 今回の件も、結局は上記のような定量的な視点もなければ技術リテラシーもない人どうしによる実に意味のない騒ぎとしかいえない。定量的な視点もなければ技術リテラシーもないマスコミがマイナンバーカードの問題を把握して報道→やはり定量的な視点もなければ技術リテラシーもない大部分の国民も大問題のようにとらえる→それを見ていた、やはり定量的な視点もなければ技術リテラシーもない政府や地方行政は、的確な反論さえもできずに制度存続に危機感を募らせる…というアホ過ぎる構図というわけだ。

 おそらくこの背景には、技術リテラシーがない政治家が政治的な都合により一方的に無理なスケジュールでシステム開発を急がせたようなことがあるのではないかと想像する。受ける側の会社も巨額の受注なので、無理なスケジュールでも飲むしかなかったみたいな。なので巨大なシステムにはどうしてもあとで問題が出てくるとはいえ、やや不備が目立つ結果になってしまったのではないか。

 マイナンバーカードが危険と考えている、アホ過ぎるみなさん。危険なものを避けたい気持ちはすごーく理解できますよ。でもマイナンバーカードを危険なものとして避けるのであれば、どうして運が悪ければ事故で死ぬ可能がある自動車には平気で乗ってるんですかね????????? 自動車事故で死ぬということは、マイナンバーカードから個人情報が流出するどころの騒ぎじゃないですよね。

 ネットで調べると令和4年度における自動車運転免許の保有件数は8184万549件、交通事故死者数は2610人らしい。当然、年により変動していくものだが、日本国の自動車免許保有者が常時約8千万人いると仮定する。交通事故死者数には歩行者側の死者も含まれると思われるので除きたいが、ざっと見た限り、これらを分けた統計は見当たらなかった。ただ自動車事故による死者のうち、自動車に乗車していた人の割合は約85%という情報もあった。ということは自動車に乗っていて事故で亡くなった人は年間約2200人になる。一方、自動車の平均乗車人数は1台あたり1.3人とのことである。つまり運転免許保有者が8千万人といっても、同乗者を含めれば、その1.3倍の約1億639万人が車に乗っていることになる。厳密な検証をするには自動車の乗車時間とか、いろいろ配慮しなければならない項目も増えていくことに違いはないが、ここではあくまで概算で計算してみたい。

 免許保有者のほとんどが20才から80才までの60年間、免許を保有して自動車を運転したとし、国民一人あたり、一生のうちに自動車乗車中に事故死する確率を計算すると0.19%という数字が出た。あれれ???? マイナンバーカードの問題発生率よりもはるかに高いんですけど。どうして、こっちの方は危険なものとして避けないの???????

 今、この記事を読んでいる、ほとんどの人は文系だろうと思うので、とっても言いにくいが、敢えて指摘したい。文系分野の学問はもちろん社会に必要なものとも認識しているが、日本の文系教育には根本的な問題があって、そのひとつが定量的な発想ができる人を育ててこなかった点だ。もっといえば論理的な考え方さえも教えてこなかった。

 例えば中学や高校の国語では作者の心象を推し量ることに主軸が据えられ、試験でも「点線部分は作者のどのような思いがあるか」みたいな問題ばかりだったりする。そんなことよりも論理的な文章はどうすれば書けるか、みたいなことの方がはるかに重要だと思う。こうした教育の結果は、現在、ネット上に一般人が書き込む内容を読めば、一目瞭然である、ボクちんの読解力がないせいかもしれないけど、割と高い確率で何がいいたいのかさえよくわからない文章ということもよくある。

 一方、今はどうか知らないが、理系教育もそれほど立派ではなくて、定性と定量の用語は大学で習ったが、あくまで化学分野における定性と定量について学んだに過ぎない。実は世の中では、この違いを理解することが重要ということに気づいたのは、大学教育とは無関係のところだった。科学的な考え方にしても、大学で専門の講座があったわけではなく、今にして感謝したいのは生物化学の先生。先生は、授業中にある本を取り上げて勧めてくれた。この本を読んだお陰で科学的な考え方の基礎を学べて、その後につなげることができた思う。

 結局、理系では、科学的論理的な考え方を学ぶ専門の講座があるわけでなくても、専門分野を極めていく過程で自然と身についていくものだが、文系ではそれがまったくない。暗記ばかりが重視され、論理的な考え方を磨く機会がなければ、そりゃ、定量的な視点がない人間しかできてこないわな。あるいは文系大学でもマジメに勉強すれば身につくのかもしれないが、授業に出なくても代返とノートコピーで単位がとれるので、あとはアルバイト三昧する人も多いわけで、その結果はもういうまでもないだろう。理系大学の場合、アルバイトができるのはせいぜい2年生までじゃないかな。あとはとても不可能。ボクちんの場合、2年生の後期から始まった有機化学実験では終わるのが夜の9時、10時ということもよくあった。こんなんじゃ、アルバイトなんて夢のまた夢の話しだ。

 中国やインドのIT技術者は、日本のこの騒動を見て、たぶん失笑していると思う。まあ、だからといって中国やインドの大部分の国民も日本国民と似たようなものなんだけどね。



2023年6月28日(水)
最近のニュースで感じたこと

マイナンバーカードは危険?(2)

 先日に引き続き、この話題、もう1回行きます。前回指摘したようにマイナンバーカード全体の交付件数9700万件に対して、問題が発生した件数が、今のところ相当に低い割合でしかないのに、あたかもマスコミが大問題であるかのように騒ぎ、しかも国民の方もそれに簡単に乗ってしまっていること自体、日本人はどこまで盲目なのだろうか、とボクちんなんかは思ってしまうんだけどね。

 マイナンバーカードを批判しているマスコミ関係者の技術リテラシーが極めてお粗末なのか、もしくはわかってはいるけど別の理由で大問題として取り上げたいだけなのか、そのどちらかであることが、より明白になっただけでしょう。みなさん、いくら文系大学とはいえ、偏差値の高いご立派な大学を出られているんでしょ。それなのにそんな単純なことに1ミリも気づいていないの? それとも政権批判をするのが目的なので触れたくないだけなのかな。報道しない自由ってわけ? あくまで是々非々で判断するマトモなマスコミ関係者であれば、次のような言い方をするはず。


 マイナンバーカードに別人情報の誤登録が確認されました。今のところ確認されているのは7300件で、全体の交付件数9700万件から見れば、わずか0.0075%に過ぎません。ですから制度の根幹を揺るがす大問題とまではいえませんが、問題の件数がさらに増えるようであれば、国民に不信感を与えるのは間違いないでしょう。


 まあ、これくらいの言い方であれば納得なのだが、「マイナンバーカードは危険」とわーわー騒ぐのもどうなんでしょうねぇ。それって、ただ単に政権批判を目的にしているからでは? 国民の方もそれを見抜く能力さえもないどころか、一緒になって騒いでいる。24日の記事で書いたように暗記一辺倒で生きてきた人は、そもそも知りもしないか、知っていても理解はしていないので、政権批判が目的のマスコミの論調に簡単に騙されるわけだ。この程度のことで騙されるということは、逆にいえば悪意ある政治家や官僚の恣意的な発言にも当然、騙されることと表裏一体なんだからね。

 もうひとつ。マイナンバーカードを紛失したら個人情報が漏れるのではないかと不安視する意見もどうかと思うよ。マイナンバーカードが不安という人は、まさかキャッシュカードやクレジットカードは持ってないはずだよね。もしこれらのカードを持っていて、普段から平気で持ち歩いているにも関わらず、マイナンバーカードを持ち歩くのは不安というのは、明らかに矛盾してる。どちらも4桁の暗証番号がないと機能しないという意味では同じようなものだろう。むしろクレジットカードは、精算時に暗証番号の入力が求められないこともあり、悪用された場合はカード会社が保証してくれるとはいえ、実質的な被害を受ける確率はマイナンバーカードよりも高いともいえる。

 ボクちんの場合。普段、持ち歩く財布にはクレジットカードのほかに銀行のキャッシュカードが何枚も入っているが、銀行のキャッシュカードの場合は暗証番号で防御されており、仮に悪意ある人の手に渡っても暗証番号を知らなければATMからお金を下ろされるリスクはゼロ。マイナンバーカードも完全に同じといえる。結局、新しいことなので、「なんとなく」不安なだけだろう。理解はしておらず、知っているだけでいっぱしを気取っている、暗記一辺倒で生きてきた日本人はすべてにおいて「なんとなく」がお得意である。そこに理(ことわり)は1ミリもないのだ。実に困ったことである。

 言い過ぎかもしれないが、戦後、あたかも暗記することが学ぶ上で最も重要であるかのような教育が行われて、知識ばっかりで「理」を考える訓練を受けていないバカが大量生産された結果が今のニッポン。そんな国に国際的な競争力を維持できるわけがない。


2023年6月25日(日)
ヒメヒガサヒトヨタケ?
 今日、差し替えたタイトル写真は少し説明が必要かもしれない。ヒメヒガサヒトヨタケと思われるキノコの傘を拡大したもの。まるで菊の御紋章のようだ。庭にポツポツと出ているのを見つけて接写したのだが、同定はあまり自信がない。キノコ図鑑をめくってもよくわからず、画像検索で出てきた写真と比較したものの、完全に同一種といっていいかどうか、迷う部分もあるからだ。また、よく似たなかまにコツブヒメヒガサヒトヨタケという別種もあって、これは顕微鏡で胞子を観察しないと区別できないそうだから、見た目での判断は無理。なので、ひょっとすると同定違いの可能性もあるという前提でご覧頂ければと思う。

 傘の直径は1.2センチほど。よく見ると、実に繊細なことがわかる。さらに拡大すると、まるで和紙のような繊維質をしていた(写真下)。






2023年6月24日(土)
最近のニュースで感じたこと
前川喜平氏の「しんかい6500」投稿

 それにしても驚いたなぁ。元文部科学省事務次官の前川喜平氏がツイッターに次のような投稿をされたらしい。「タイタニック探索潜水艇の事故。日本政府も『しんかい6500』で協力したらどうなのかな?」。

 うわわわわわわ〜。マジかよ。元文部科学省事務次官の地頭力って、こんなもんなの?????????? まさに衝撃である。まあねぇ。科学技術行政を一時期でも仕切っていた官僚がこんな状態だから、そりゃ、日本は中国やインドに技術立国で追い越されるわな。

 常々、ボクちんは日本の根本的な問題は、かつての暗記中心の教育にあると思っている。中学生や高校生の頃から、すでに暗記だけで乗り切る受験勉強の問題点を指摘する声があったように記憶しているが、当時は具体的にどういう問題があるのかまるでピンと来なかった。しかし、ようやくこの年になって「そういうことか!」と理解できるようになった。

 前川氏は、私よりもひとまわり上の方のようだが、まさにそんな暗記中心の教育を受けて来た世代だろう。現在の教育がどうかは知らないが、ある意味不思議でもなんでもない。結局、暗記だけの勉強方法しか経験していない人は、ある分野のことを「知っている」だけなのにわかった気になってしまう人が多いように感じる。「知っている」と「理解している」はまるで違う。「知っている」状態とは、頭の中にひとつひとつの知識が独立して点在しているような状態。一方、「理解している」とは、その複数の知識が関連付けられていて、相互にひも付いているような状態だと思う。

 要は前川氏のように「知っている」だけの人は、タイタン号の事故報道に接して、自分の頭にある「しんかい6500」の知識が浮かんで、それを口にしているだけなのだ。一方、「理解している人」は、高圧下にある深海でタイタン号から乗員を救出するには、タイタン号の脱出用ハッチに「しんかい6500」を安全にドッキングさせる必要があるが、科学調査が目的の「しんかい6500」には、そのようなしくみがないので、タイタン号の探索はできても救出はできない、ということにすぐに頭が回るはずだ。これこそ「知っている」だけの人と「理解している」人との違いだろう。

 前川氏は「しんかい6500」で救出することは想定しておらず、あくまで「探索に協力しては?」という意味合いで投稿されたのかもしれないが、アメリカ東海岸沖の遭難現場まで「しんかい6500」の母船「よこすか」を派遣するほどの時間的余裕はないということには1ミリも気づいておられないといえ、どっちにしてもお粗末極まりないというしかない。

 歌舞伎町のガールズバーに出入りしていたと新聞や週刊誌に報じられ、それに対して「貧困調査だ」と言い訳したことでも有名な方なので、まあ、実態はどうせこんなもんだろうけどね。

 前川氏のように暗記だけで人生を乗り切ってきた、知ってはいるけど理解はしていない人たちが、社会の中心にいることによる弊害は決して小さくないと思う。日本が国際的な競争力を失った理由のひとつではないか。


2023年6月22日(木)
最近のニュースで感じたこと
マイナンバーカードは危険?(1)

 マイナンバーカード制度にいろいろな問題があることが判明しているが、システムユーザーが1億2000万人もいるような、国家レベルの巨大なシステムを構築する際に一発で完璧なものを作れるなんて、そもそも幻想じゃないかと思うけどな。

 確かに問題が次々に出てくるのは気になるが、新しいシテスムにしろ、新しい制度にしろ、いろいろやってみて初めて顕在化してくる問題というのはどうしても出てくるものだ。あらかじめ想定されるすべての問題を解決しておけば、もちろん理想ではあるが、どんなに優秀なシステムエンジニアを多く揃えても無理な話だ。問題が判明→解決策を模索→問題解決→別の問題が発生→解決策を模索→問題解決。これを繰り返すことで制度も技術も少しずつ進歩して安定する。

 また登録情報を手入力している事実に「どこがデジタルなの」と呆れている人にも大いに呆れるのだが、いくらシステム自体はデジタルでも、元データがデジタルデータになっていなければ手入力するしかない。仮にデジタルデータがあっても、そのまますぐに自動的に流用できるとは限らない。こんな低レベルなことをいっている人は、要はIT技術に関して何もわかっていない人としか思えない。

 正直、ボクちんの感覚でいわせてもらえば、マイナンバーカードにいろいろな問題があるといっても、巨大システムの駆け出しとしては、「まあ、これくらいの問題は当然出るだろうよ」くらいにしか思えない割合である。例えば「別人情報の誤登録」は、2021年10月以降に少なくとも7300件以上とのことである。この報道に接した人は、たぶんこう思っている。「えー、7300件以上も誤登録があるなんて、恐ろしい。マイナンバーカードはヤバイんじゃないか」と。でもマイナンバーカード全体の交付件数は約9700万件である。この割合を計算すると、わずか0.0075%に過ぎない。ほかの問題も計算してみよう。

@ 本人ではない家族名義とみられる口座で登録された事例およそ13万件
 → 0.13%

A マイナポイントが別人に付与された事例172件
 → 0.00018%

B マイナ保険証で他人の情報にひも付けられていた事例114件
 → 0.00012%

C 同姓同名の別人にカードを誤交付する事例2件
 → 0.000002%


 @を除けば、確かにこの事例に該当してしまった人にとっては大問題に違いない。しかし、残り99.9%以上の人の場合、ほぼノープロブレムだろう。この程度の割合に対して、「マイナンバーカードは危険」と騒ぐほどのことかとボクちんなんかは思うけどね。この件数もあくまで現時点で判明している件数で、実際はもっと多いかもしれないし、ほかにも新しい問題が出てくるかもしれないけど、すべての問題を適切に解決していけばいいだけのこと。マイナンバーカード制度がうまく機能するようになれば、国民にとってもメリットは大きい。もう少し落ち着いて見守ったらどうだろうか。


2023年6月10日(土)
今日の一枚(19)

 菜園に出たツマミタケというキノコ。まるで麩菓子のような柄。さらに成長すると、グレバと呼ばれる先端は指のような「腕」に分かれ、それが物をつまんだ指のように見えることからツマミタケと命名されたらしい。この写真では、断面は四角形であるような感じに写っているが、腕と同数の稜になっている。グレバは粘液状で悪臭がある。それにしても個性的なキノコだなぁ。


2023年6月7日(水)
粘菌?
 2年前の2021年9月。玄関アプローチにある木の幹に、ある日突然、真っ黄色の粘菌らしきものが現れ、翌日には茶色く変色していたことがあった。今日、写真フォルダに入れてあった、その時の写真に目がとまったので、アップすることにした。

 以前、三瓶山で撮影した粘菌の写真を本サイトのタイトル写真に掲載したことがあるが、こちらは粘菌であると断定はできない。ただネット上には似た写真が粘菌として紹介されていた。

 どちらにしてもこの鮮やか過ぎる黄色! 生命の神秘というしかない。









2023年5月29日(月)
最近のニュースで感じたこと

岸田さん長男秘書官の忘年会写真流出

 この件に関して橋下さんの意見。


僕は許せる派。というのは、私的スペースでもあるし、公的なスペースっていうんですけど、例えばですけどね、知事室、市長室に僕も子供が来た時には、そこで知事の椅子に座らせて写真撮ってますよ。自分がやってるから許せる派になってしまうんですけど。例えばですけど、首相公邸というと凄い特別な場所に感じますが、国会も僕らからしたら特別な場所。国会議員は自分の支援者を国会に呼んできていろんな場所で写真撮ってます。だから公的なスペースで自分の関係者の写真を撮るってことが、もし国民の皆さんが全部だめだって言うんなら僕も悪いことをやってたし、今国会議員がワーワー騒いでる国会内の写真も全部やめにしないといけません。あとは態度が悪いというのだったら、態度なんて分かんないから公的スペースで関係者の写真撮るなってするんだったら僕も謝らないといけないし、国会議員も以後やめないといけない。それが許されている現状だったら僕は許されると。


 ボクちんは「岸田さんの政治家としての能力(特に外交)は評価するが、長男秘書官はバカだな」と思っていた方だ。しかし橋下さんの意見を読んで、完璧ではないが、これはこれである程度の説得力があると思った。この橋下さんの意見に対する反応も読んでみたが、どれもこれも「結論ありき」なものばかりで、感心するものはひとつもなかった。

 例えば「首相公邸は忘年会をする場所ではない」という意見があるが、首相公邸の私的スペースで忘年会をしただけであれば、誰も問題にしなかったと思う。ちなみにホワイトハウスでは、館内で私的なパーティも開かれているようだが、その経費はファーストファミリーの自己負担だそうだ。首相公邸でも忘年会費用を岸田家が負担しているのであれば、ホワイトハウスと同じく忘年会をするくらいは問題ない。

 問題なのは公邸の公的スペースで、あんまり感心しない写真を撮ったりしたことで、それに対して「同じ公的な場である国会でも国会議員は自分の支援者を呼んできていろんな場所で写真を撮ってますよね。それとどう違うんですか」というのが橋下さんの意見。反論するのなら、そこじゃなくて、むしろ「公邸の公的スペースで記念写真を撮影するくらいなら許されるが、寝っ転がるような、ふざけた写真を撮ったところが問題だ」というべきだろうな。

 また、忘年会写真報道自体に関するネット上の批判意見もいろいろ読んでみたが、首相官邸と公邸の区別がついていない人もいたり、長男があんなにバカなのだから岸田さんの政治家としての能力もダメと決めつけている人も多いのだが、それもどうなんでしょうねぇ。長男秘書官があんまり賢くないのは認めるが、そのことと親である岸田さんの政治家としての能力は必ずしも関連性はない。

 親子でも親は立派なのに子はバカとか、その逆とか、普通にあるではないか。中野市の事件でも父親は市議会議長を務める一方、事業も広げて、かなりのやり手という印象だが、その息子は近所の女性2名と警察官2名を殺した凶悪犯というわけだ。親子なので似ることもあれば、真逆ということもある。岸田さんの場合、長男と岸田さん本人とを能力で関連づけるのであれば、その根拠が必要だが、そんなもんがあるはずもなく、自分の印象や都合だけで勝手に結びつけているだけだろう。

 とはいえ、仮に橋下さんの意見が正しいとしても、首相の長男が政務秘書官という、ただでさえ批判されやすい立場。変なところで突っ込まれないように細心の注意を払うべきで、脇が甘いとはいえるのではないか。せっかく岸田さんががんばって広島サミットで成果を出して支持率も上昇したのに、それをチャラにしてしまいかねないことを息子がしてはダメだろ。

 それにしても親族だけで行った忘年会の写真がどうして流出したのか、不思議だよね。つい自慢したくて写真を誰かに送ったり、SNSに投稿したりしたのか。あるいは週刊誌に直接売り込んだ可能性もあるかも。親族といっても味方とは限らない。

 サミットのあとにタイミングよく出てきたということは、それを狙った可能性も十分にありそうだ。週刊誌編集部が写真の存在を知ったのはもっと以前、ひょっとすると年明けくらいだったかもしれないが、故意にサミットが終わるのを待って報道した可能性もあるかもね。そうだとしたら、週刊誌も相当あくどいなぁ。まあ、どうせそんなもんでしょうけどね。


2023年5月23日(火)
G7広島サミット
 G7広島サミットが無事に終わった。期間中、一度も市中心部に行かなかったので警備の物々しさはテレビで見ただけだが、宇品のプリンスホテルからも平和公園からもそこそこ離れているにも関わらず、町内上空にヘリがやって来ることも異常に多かった。すべてサミット関連のヘリだろうな。

 それにしてもゼレンスキー大統領が当初いわれていたオンライン参加ではなく、実際に広島に来られたというのは、まさに大サプライズ。世界中の注目を集めたのは間違いない。しかもG7広島サミット公式サイトからダウンロードできるG7広島首脳コミュニケには、「我々は、核軍縮に特に焦点を当てたこの初のG7首脳文書において、全ての者にとっての安全が損なわれない形での核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認する」とあり、アメリカ、フランス、イギリスの核保有国3ヶ国が含まれるG7として「核軍縮」を目指す文言にまとめることができたのは、大きな成果といえるのではないか。

 オバマ元大統領の広島訪問も感動的だったが、再び現職アメリカ大統領が平和記念資料館に来て、「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう」と、その芳名録に書いてくれるとは。ほかの世界のリーダーも揃って平和記念資料館を見学された意味はものすごく大きいと思う。広島サミットを取りまとめられた岸田さんの手腕も大したものである。

 実際問題、核軍縮がそんなに簡単に進むとはとても思えないけど、一歩前進だろうな。ちなみに私は核兵器を世界からなくす方がベストであることに違いはないが、その一方で日本が核武装するのも選択肢のひとつとも考えている。日本は、ロシア、中国、北朝鮮というゴロツキ国家に囲まれており、核武装すれば、こうした国々からの侵略や攻撃のリスクを確実に抑えられるだろう。つまり将来的には核兵器ゼロが望ましいが、それが近未来に達成できるとはとても思えないので、それまでは核武装もアリということ。ウクライナが旧ソ連の核兵器を放棄していなければ、ロシアに侵攻されることもなかった可能性があると思う。

 国内には、困ったことに頭の中がお花畑な人がたくさんいて、彼らは決まってこういう。「戦争反対! 外交努力で解決するべきだ」と。しかしウクライナの例を見れば、すでに明白なように外交努力で戦争を回避できるのは、あくまで相手国も話し合いで解決しようという意志がある場合だけだ。その意志がなく、問答無用で日本国を侵略しようとする国家がもしあった場合。戦うという選択を避けるのなら、もはや結果はひとつしかない。日米安保条約があるので、その可能性はない? でも、ロシアがウクライナに侵攻する以前、一体誰がそれが現実に起こることを予想しただろうか。予想外のことが起こりうるのであれば、万が一のことも考えておくべきだと思うけどね。

 ちなみにG7広島サミット関連の報道で唯一不愉快だったのは、最終日の記者会見で、会見を終えて退席しようとした岸田さんに「逃げるのですか」と男性がひつこく質問を投げかけたとの報道。何これ。スケジュールぎっしりの岸田さんに、予定時間が過ぎても自分の質問に付き合えってこと? 何様のつもりだよ。ネットで検索すると、元朝日新聞記者の尾形聡彦という人物であると特定されていた。なんでも今は朝日新聞を退社してArc Timesというデジタルメディアの編集長をされているそうな。しかもこのメディア。例の東京新聞の望月衣塑子記者も関わっているというので、あーなるほど納得。まさに「類は友を呼ぶ」と評価するにピッタリの言動ではないか。

 まあ、望月記者のような人物を名物記者と持ち上げるメディアも程度が知れるとずっと思っていたが、今回も早速、馬脚を現し、実は日本が保有していないF16戦闘機について「まさか、日本が保有するF16戦闘機を米国は出させるつもりではないだろうか 殺傷能力を持つ武器の貸与・供与を憲法九条を持つ日本は絶対にやるべきではない」とツイートして失笑されているそうな。ネットでちょっと確認すれば、すぐにわかるようなことも調べもせずに適当に記事を書いているのが、完全にバレちゃった。もはや記者としての素養に疑問符が付くのは明白。望月記者は真実よりも自分の主義主張の方が大事なんだろう。そんな価値観をもつ人物が新聞記者とは、お笑いである。



2023年5月12日(金)
今日の一枚(18)

 数日前から菜園の一角でクロヤマアリが巣作りを開始。中で掘り進めた際に出た土くれを大アゴで挟んで、巣穴からせっせせっせと運び出している。しばらく観察すると、あることに気づいた。土くれを捨てるポイントは、アリによってバラバラ。巣穴近くで捨てる個体もあれば、30センチほど離れた場所で捨てる個体もいるのだが、やや離れた場所で捨てる個体の方が多いようであった。もし前者ばかりであれば、巣穴のまわりに土の山ができてしまい、出入りの際に邪魔だし、何かのきっかけで崩れて巣穴を塞いでしまう可能性がある。なので、後者を選択する個体の割合が多い方が巣作りには好都合なのは間違いない。人間であれば、当然そういうことも見越して作業するだろうが、アリのような小昆虫が理に叶った作業方法を実行しているのは、思わずうなってしまう。

 1匹1匹のアリたちが、土くれは少し離れた場所で捨てた方がいいということをどのようにして選択したのか。学習ではなく種としての本能だろうが、こうした本能が次世代に継承されるしくみが、遺伝子だけで説明できるものなのだろうか。


2023年5月7日(日)
現代科学の限界
 少し前に読んだ本である。原子力工学の専門家が書いた『死は存在しない』(光文社新書)は、これまで人類が勝手に抱いていた、さまざまな死生観をいい意味で根底から覆してくれる、壮大な内容である。

 著者は、アメリカの講演会で、講演後に会場からの質問を受けた際に「死とはなんでしょう?」と聞かれ、「その問いに答えるためには、もうひとつの問いを、問う必要があります。私とは何か?」。質問者は、瞬時に意味を理解して爽やかな微笑みとともに「Thank you」と返されたという。本書を読めば、なるほどそういうことかと納得できるが、ここでは触れない。

 むしろ本書の主要テーマである「死」についてではなく、本書でも触れられている別の内容について書きたいと思う。もちろん本書の核心は「死とは何か」ではあるが、一応、ひと通りの科学教育を受けてきた私でもずっと感じていた「科学の限界」について、明解に説明してくれているところにも注目したからである。

 著者自身、自らの人生において、説明がつかない「不思議な体験」を数多くしてきたそうだが、これは自分に超能力や霊的能力があるからではないと説く。以心伝心、予感、予知、シンクロニシティといった「不思議な体験」は、誤解されることを恐れて、あまり公には語られないが、世の中の誰もが日常的に体験していると。

 その中のひとつとして挙げられているのが「視線感応」だ。視線感応とは、何かの瞬間に、ふと視線を感じて、その方を見ると、確かに誰かが自分を見ていたという体験のことだが、これは日常的な体験であるにも関わらず、科学的に説明できない事象だとずっと私も思っていた。既知の五感だけでなく、別の何らかの感覚が人間には備わっているとしか思えない。視野の端の方で誰かの視線を気づく場合は、確かに視覚情報を元にしているといえるわけだが、確実に視野から外れた背後からの視線に気づくことがあり、この場合は視覚情報を元にしていないのは明白である。それなのになぜ視線に気づくのだろうか、ということだ。科学的に説明できないではないか。

 著者は語る。現代の科学は唯物論的科学や物質還元主義的科学と呼ばれるものであり、すでに何年も前から限界に直面していると。そして現代の科学は「説明できないものは存在しない」とする頑迷な立場をとるため、視線感応といった「不思議な体験」をすべて「単なる偶然」「ただの錯覚」「脳神経の誤作用」といった理由で説明しようとする。しかし、そうしたものを除外しても、なお明確で鮮明な「不思議な現象」があることも事実だとする。そして現代の科学では説明できないことは数多くあるとして、5つの事例を挙げられている。  

 例えば、「量子の絡み合いと非局在性」。これは近年、よくいわれている「量子もつれ」を指すと思うが、一度、絡み合った量子同士は、宇宙の遠くにどんなに引き離されても、一方がある状態を示すと、もう一方は瞬時に、その反対の状態を示す現象のこと。光よりも速く情報が伝達されることになり、相対性理論にも反するが、現代の科学ではその理由を説明できない。またサケの稚魚は自分が孵化した河川から遠く離れた外洋で成長して、やがて生まれ故郷の河川に戻ってくるが、こうした「生物の帰巣能力」も、やはり説明できないという。もっと身近な例もある。プロ野球では、投手が投げた速球を打者が打ち返しているが、時速160キロの球を打者の視神経がとられ、脳神経に伝え、筋肉を動かすというプロセスを考えると、神経の伝達速度では理論的にはとても間に合わないのだそうだ。

 話しが変わるが、かつて岐阜県のアパートで起こったポルターガイスト現象騒動。あのとき、テレビ局の取材で同行した「日本で有名な物理学者」が、アパートの住民に対して、次のように仰っていたそうだ。「私はテレビではああいうキャラクターとしてやっているが、こういうことは世の中にはある」と、なんとあっさりポルターガイスト現象をあり得ることとして認められたというのだ。このことは、のちに別のテレビ番組で件のアパートの住民が証言されていたことだが、霊現象やUFOのようなオカルト否定派の急先鋒だと思っていたら、ホンネは違っていたということだろう。もちろん、この事実はオカルト的なものすべてを肯定されているわけではないのは注意する必要がある。本当に怪しいものも多いが、その中には真実もあり得る、ということを仰っていたのだろうと思う。

 科学リテラシーがまるでない一般人の中には、不思議な体験や現象というのは、見た目、なんとも怪しげで科学的ではないように感じて、それを否定している自分がいかにも見識があるように錯覚しがちな人もよくいるものだが、実はその人が漠然と認識している科学自体に限界があるというのが、紛れもない真実だろうな。我々人類はまだ本当のことはほとんど何も知らない。知っているのはごくわずかな「井の中の蛙」なのだ。今後、これまでの物質還元主義的な姿勢から「意識の科学」を取り入れた新しい姿勢に転換されて、さらに科学が進歩することに期待したい。



2023年4月29日(土)
今日の一枚(17)

我が家には樹齢60年を越えるオオムラサキツツジの古木が2本あり、数年おきに当たり年が来て、今年はそれに当たっていたようだ。おびただしい花がつき、ハチが周囲を何匹も飛び、近づくと強い香りがムンムン。ちなみに今年はカリンとブルーベリーも花がすごく多かったほか、まだ開花していないが、夏みかんや大実ユズなどもびっしり蕾がついている。

2023年4月16日(日)
白内障手術
 今年1〜2月は運転免許の更新期間だった。適正試験(視力検査)にやや不安があったため、昨年末にメガネ屋に行って度の強いレンズに変えてもらうことにした。視力検査をしたところ、16段階度数を上げても免許で求められる両眼視力0.7ギリギリという結果で、これ以上はレンズでどうこうできないといわれる。検査機械でも低い判定が出て眼科検診を勧められ、いろいろ悪い方向に想像すると気が重くなった。

 とりあえず最大限に度数を上げてもらったメガネで免許更新は無事にクリア。そのあと眼科を受診したところ、白内障がかなり進行していて水晶体を人工レンズに替える手術を勧められる。しかも眼底検査の際、両眼の網膜の縁に穴が開いているのが見つかった(計2ヶ所の網膜裂孔)。ほっとくと網膜剥離→失明にもつながりかねないので、早い方がいいといわれ、翌週レーザーで網膜を固定する手術も受けて、とりあえずはひと安心。この穴が網膜剥離につながるか、それがいつかというのは誰にもわからないが、結構危うかったともいえる。穴が開いた時期も不明だが(最近ではないかも)、それにしても、うわ〜、怖っ!!

 白内障手術は、先週と今週の二度に分けて受けたのだが、最初の右目手術の翌朝、病院へ行って眼帯を外してもらった瞬間はまさに驚きだった。

 えーーーーっ、裸眼なのに、おそろしいほどにクリアに、なおかつ明るく見えるではないか。昨日までの濁った視界は一体なんだったの? 子供の頃は、おそらく同様に見えていたのだろうけど、数十年かけて徐々に水晶体が硬くなって、なおかつ濁っていくので、自分ではどれほど劣化が進んでいるのかまるで気づかなかったということだろう。特に右目手術のあとは、術後の右目と術前の左目を同時に、もしくは交互に見れるので、余計にその落差を実感できるというわけだ。

 
私の場合、普段の視界が霞むほどではなかったが、夜に天井の照明を見上げると、その周囲に靄がかかったようになっていたし、視力低下も自覚していたので白内障が進行していることは認識していたが、水晶体の透明度が低下して、いつの間にかこんなにもくすんだ見え方になっていたとは想像を越えている。

 いくら手術でよく見えるようになったとはいえ、約45年におよぶメガネ人生を送ってきたので、裸眼のままというのはちょっと怖い。徐々に慣れるかもしれないが、目の前にレンズというプロテクターがないと落ち着かない。しかも私の場合は30センチより近いところはボケてしまう。逆にいえば、それ以上の距離ではよく見えるのだが、本や新聞を読む際などはもう少し近い位置でピントが合う方がいい。いずれデスクワーク用や取材用のメガネもそれぞれ新調しようと思う。

 手術はちょっと怖かったが、片目それぞれ20分ほどで終了。人工レンズの焦点距離は一定で、水晶体のように毛様体と連動しているわけではないのでピント調整はできないが、今のところ上記以外のことではさして支障はない。なにより劇的によく見えるようになって、感動するばかりだ。歩いて行けるところに白内障手術対応の、いい眼科があって、ホントに助かった。

 ちなみに白内障は80代では罹患率100%といわれる。メガネ屋によると、最近は20代、30代でも白内障が増えているそうだ。つまり、ほとんどの人にとって白内障は一生のうちに無縁ではいられないということになる。


2023年2月20日(月)
オミクロン株は人工的に生じたもの?
 筑波大学が運営するサイト「TSUKUBA JOURNAL」に「オミクロン株の変異プロセスを数理モデルで評価」との記事が掲載されていた。掲載されたのは昨年11月16日。

 オミクロン株のスパイクタンパク質に含まれる、アミノ酸を変化させない変異とアミノ酸を変化させる変異の比率に着目し、変異の平衡を仮定した数理モデルを用いて、オミクロン株のスパイクタンパク質に見られる変異の偏りが自然に生じる確率を計算したところ、わずか0.2%だったという。つまり、オミクロン株のスパイクタンパク質の変異は、自然に生じたものではなくて人の手によって生み出された可能性があるというのである。研究室で新型コロナウィルスを人工的に変異させた株が、市井へ流出したことになり、もしこれが事実であれば、かなり恐ろしいことである。

 プレスリリースも出ているが、今のところ、この研究を取り上げたメディアは皆無のようだ。ただ別の分子生物学者も、自然界では当たり前のアミノ酸を変化させない変異が無数のトライ&エラーを繰り返して、その結果が遺伝子に蓄積されているはずなのにオミクロン株ではひとつしかないことから同じことを仰られているらしい。念のためにいっておくと、「人工的に作られたウィルス説」はあくまでオミクロン株であり、当初いろいろいわれた武漢株ではないところはしっかりと押さえておく必要があるかもしれない。おそらく武漢株自体が人工ウィルスという説は事実ではないと思う。


2023年2月18日(土)
最近のニュースで感じたこと
H3ロケット初号機は中止だったのか失敗だったのか

 日本の宇宙開発の命運を握るH3ロケット初号機は、直前に補助ブースターロケットに点火せずに打ち上げることができなかった。その後のJAXAが開いた会見で共同通信の記者が「中止ではなく失敗だったのではないか」とひつこく食い下がるような質問をしたことで批判続出だったらしい。

 工学系ではないボクちんとしても、この状況に「失敗」という言葉を使うのは違和感がある。これって、まあよくある話ではあるが、文系の人って言葉に詳しいはずなのに共通してある特徴があると思うんだよね。それは自分が知っている言葉を「この言葉はこういう意味」と勝手に、しかも徹底的に決めつけていて、それ以外の定義の幅に対してまったく無関心ということ。つまり言葉の定義次第では認識も変わるということに1ミリも配慮しない。

 「失敗」の意味をネット検索すると、「ものごとをやり損うこと」「何かをやろうとして、方法や目的を誤ったために望んだ結果が得られないこと」などの説明が出てきた。確かに予定の軌道にだいち3号を投入することが打ち上げの最大の目的であるのだから、そういう意味では「少なくとも今回は目的をやり損ねた」のは事実だ。ただ、ロケットを打ち上げる前か、あるいは上昇中に爆発炎上したとか、予定の軌道に衛星を投入できなかったとかの場合は「失敗」という表現でいいと思うのだが、今回の事象はそこまで深刻じゃない。ロケットも衛星も無傷ですんでいる。

 おそらく何らかの異常があったのは事実だろう。でもその異常をきちんと検知して最悪の事態を避けられたわけで、そのシステムはうまく機能していたことになる。つまり、今回の事象は技術に対する評価としても1勝1敗みたいな話なのだ。爆発炎上であれば、もうこれは完全に全敗決定で、イコール「失敗」という表現でまったく問題はないと思うけど、1勝1敗なのだから、それを「失敗」とするのは明らかに言い過ぎだろうな。

 JAXAの人が「ある種の異常を検知したら止まるようなシステムの中で、安全、健全に止まっているのが今の状況です」と説明したのに対して、共同通信の記者は「わかりました。それは一般に失敗といいます」と仰られたらしい。まあねぇ。ホントに困るよね〜。この場合の「一般」って、正確に言うと「文系一般」だろうな。工学系では工学系の定義があるんだよ。自分は工学系のド素人のくせに何を偉そうなことをいっているんだか。

 結局、この共同通信の記者もそうなんだけど、とにかく徹底的に定性的な視点しか頭の中に存在しない。すべてがそう。だからわずかなことでも予定通りにいかなかったことでもあれば、すべてを「失敗」という言葉で平気で切り捨てる。でも、予定通りにいかないことにもいろいろな状況があり得る。つまりロケットに起こり得る、すべての事象は失敗か成功かで単純に分けられるような話ではなく、想定されるすべての事象は、実は連続している。事象が連続しているということは、その中でどこからどこまでが失敗で、どこからどこまでが成功かは定義次第ということになる。徹底的に定量的な視点か欠落する文系の人にそういう発想はまず無理だろうけど、結局はそういう話なんだよね。


2023年2月12日(日)
画像位置情報取得ツール
 ニコンの画像閲覧ソフトViewNX-iや最近のNX Studioには、撮影時に記録された位置情報を含む写真ファイルを選択すると、グーグルマップ上に表示させることができたが、その後、グーグルが収益化を計るためにGoogle Maps APIを導入したことで、事情が大きく変わってしまった。NX Studioも同様で、最新のバージョンではマップボタン自体が消えてしまっている。

 本サイトでもグーグルマップを地図枠で表示させるためにAPIキーを取得し利用していたが、何かのきっかけでAPIキーが無効になることがあり、それがイヤで直のリンク式に最近すべて変更してしまった。

 とにかく、そんなことから以前のようなViewNX-iやNX Studioの使い方がしたくてもできない。いや、位置情報付きの写真ファイルを地図上で表示させる方法はいくつもあることはある。ただ、いずれもちょっとめんどうだ。グーグルのPicasaは、あれはあれで便利だったが、やや安定性に欠け、私の場合、現在ではソフトを立ち上げるだけで随分時間がかかる、もしくは立ち上げることもできなくなった。解決方法があるかもしれないが、最新バージョンをダウンロードしようにも、グーグルはPicasaの提供自体をやめてしまってグーグルフォトに世代交代させている。グーグルフォトでも位置情報を地図表示できるが、今イチ使いやすいとは言い難い。

 ところが調べてみると、簡単な方法があることが判明。「画像位置情報取得ツール」というフリーソフトを利用すれば、一気に解決するとは知らなかった。あーこんな便利なソフトがあったとは。このソフトを作った人に感謝!!

 ただ、このソフトでもグーグルマップで表示させるためには、APIキーを取得する必要がある。まずはグーグルのアカウント設定に始まり、クレジットカード番号の入力も求められる。私の場合は本サイトの地図枠でのグーグルマップ掲載のためにカード番号も入力した上でAPIキーを取得したが、これはアクセスが多い場合は有料になるというだけの話しで、本サイトの、特にアクセスが多いわけでもないページに掲載したからといって、料金が発生したことは過去に一度もない。しかも上限金額の設定も可能だ。従ってこのソフトで個人的に閲覧する程度であれば、まったく心配することはないが、ただAPIキーの取得や設定とか、ややめんどうなのも事実だ。

 APIキーを取得した場合は、このソフトの「設定」でAPIキーを入力すれば、それで正常にグーグルマップを表示できるようになるが、APIキーを無理に取得しなくても、一覧で目的の画像ファイルを選んで右クリックして、さらに「Googleマップで開く」の選択によっても新しいウィンドウで表示させることができるので、APIキーは絶対必要というわけでもない



画像位置情報取得ツールの画面。左側で画像ファイルが入っているフォルダーを選択するだけ。右上に画像ファイル一覧が示され、位置情報付きのファイルは青字になるので、すぐにわかる(表示までわずかなタイムラグあり)。地図上の撮影位置を示したいファイルを選べば、グーグルマップ上に赤ピンマーカーで表示される。



地理院地図に変更も可能だ。



オープンストリートマップでの表示もできる。



画像位置情報取得ツールダウンロード


2023年1月11日(水)
訂正+α
 すでにお気づきの方もいると思うが、昨年12月12日付け日記で、新型コロナワクチンについて「3回目と4回目も従来の1価ワクチンしか用意できなかったわけで…」と書いたが、4回目は2価ワクチンということに遅ればせながら気がついた。訂正します。

 今日、近所の鍼灸院に行った際にその話題になって、先生から「確か4回目はオミクロン対応だったと思う」といわれ、帰宅して自身の接種券を取り出して確認すると、その通りだった。

 先生との会話で、「現在の死者は、ワクチン接種をしているのに基礎疾患があって亡くなっているのか、それとも基礎疾患はないけどワクチン接種をしていないせいで亡くなっているのか、その割合がまったくわからないですよね」という話しになった。先生曰く、「無症状の人はそもそも医療機関を受診しないし、保健所にわざわざ申告することもないので実際の感染者数はもっと多いのではないか」とも。確かに現在の私は健康そのものなので、新型コロナに感染しているという認識はまったくないが、PCR検査をした上での認識できないので、実は検査してみると陽性で、タダ単に運良く無症状なだけという可能性もあり得るし、これは私だけに留まらず直前に検査して結果が判明している人以外は、全員、本当のところはわからないともいえる。

 鳥インフルエンザの流行もスゴイことになっているが、もしかすると人類と感染症との戦いが新たなフェーズに入っているのかもしれない。つまり新型コロナウィルスの感染流行が、いずれ落ち着いたとしても、次の感染症がまた流行する…ということがこの先も続くかもしれないということだ。


2023年1月1日(日)
謹賀新年
新年あけましておめでとうございます

 それにしても昨年は、コロナの感染拡大だけに留まらずウクライナ侵攻もあって先が見えない不確実で不安な一年だった。いや、ついついそう思ってしまうが、確実で安心の時代なんて過去に一度でもあったのか、と考えるとそれも疑問だ。常にどこかで何かがあるのが、この世かもしれない。

 大晦日の夜。興味もない紅白歌合戦はチラッと見た程度で、あとは11月にNHKで放映され録画だけしてあった「土曜ドラマ・17才の帝国」を途中まで視聴した。
 近未来の日本が舞台。凋落した日本「サンセットジャパン」で、3台のAIに補佐された17才の高校生が総理大臣を務める都市を作って改革を試してみるという壮大な社会実験がテーマのドラマだった。
 市民にはウェアラブル端末が配られ、市民の意見も一瞬で集められ答えが出る。AIがそれを即、分析して、あるべき方向を17才の総理大臣にアドバイスする。経験がない高校生に総理大臣ができるのか、という批判に彼は「経験はAIに蓄積されている」と断言し、最初に市議会の廃止を決定する。

 決してこのドラマを見たからいうわけではないが、私も同じようなことを考えていた。「遠くない未来にAIによって多くの人間の仕事が奪われるだろう」と近年、よくいわれているが、おそらくそれは政治家や官僚、公務員にもいえるのではないかと。ほとんどの人は、人間が判断することがベストだと思い込んでいるが、人間は例外なく100%全員にバイアスがかかる存在である。どんなに優秀な人だろうと、みんなどこかになんらかのバイアスがかかるもの。どんなに気を付けても、悪意でないとしても判断ミスをゼロにはできないのだ。しかも公共的な立場であっても人間である以上、自らの利益を前にすると判断が歪んでしまうこともある。これぞ人間の限界であり、実に人間的で個人的な「欲」とは、おそらく無縁でいられる上に人間よりも格段に情報処理能力や分析能力が高いAIの方がバランスを保った正しい判断ができるはずだ(まあ、これも要注意ではあるが)。

 今すぐというのはもちろん無理だが、最初はあくまで参考情報として利用するところから始まるとしても、AIのレベルを高めることを繰り返し、何か問題が起きても折々にAIのアルゴリズムを改良していくなどしていくうちに、それが数年か、数十年かはわからないが、やがてはかなり精度の高い正解を出せる日がくるのではないか。そうなると、今のような数の政治家も官僚も公務員も不要となり、その浮いた予算を、ほかのもっと重要なことに使えるようになり、それが諸問題の解決につながっていくとも想像される。

 このドラマの録画すべてを見ていないので結果は知らないが、そんなことを考えながら迎えた新年だった。



2022年12月12日(月)
ワクチン接種で死亡者数増加?
 『PRESIDENT2022年12月16日号』に衝撃的な記事が掲載されていた。「エビデンスに騙されないための医療統計入門」と題し、厚労省の人口動態統計から新型コロナワクチン3回目接種数と死亡者増加数を対比させたグラフが載っているのだが、両者のデータに明らかに相関関係があるようにしか見えないのだ。

 ただ、この手の指摘はかなり慎重に評価する必要がある。そこで私も人口動態統計のエクセルファイルをダウンロードして、あくまでざっとではあるが、可能な範囲で確認してみた。統計学や免疫学の専門家がご覧になると、別の視点があったりするかもしれないが、少なくとも私は、記事内容の問題点は見い出せなかった。もちろん、この指摘がそのままワクチン接種と死亡者数増加の間に因果関係があるという証明になっているわけではない。しかし、確かに両者の関係が「強く疑われる」とはいえるのではないか。

 こんなことをいおうものなら、Qアノンの陰謀論を信じる反ワクチン派から「そーらみろ。やっぱりワクチンは危険だ。打たない方がいい」と言い出す人が確実に出てくるだろう。でも彼らの主張とは、そもそもワクチンを打てば5年で死ぬんじゃなかったっけ?  接種した5年後に死亡者か急増しているわけではなく、グラフがほぼ重なるということは、ワクチン接種からあまり間を置かずに多くの人が亡くなっていることになる。この事実は逆にQアノンの主張が正しくなかった証拠ともいえる。しかもこの記事の指摘はデータを基にしており、根拠もない陰謀論はまったく似て非なるものである。

 記事を書いたのは、東京大学大学院修了(理系)の元厚労省キャリア官僚。「官僚や政治家は、自分たちにとって都合が悪い統計・データを隠そうとします」とか、「22年3月時点でワクチンの確保や接種に4兆7000億円もの税金を投入しているので、国民を見殺しにしても、後には引けないのでしょう」との指摘もあった。まあ、その可能性は十分にあるかもしれない。

 当然、現時点では厚労省はこの記事を把握しているはずで、念のため何らかの反論をしていないか厚労省サイトを閲覧してみたが、今のところ見当たらない。ひとつ。新型コロナワクチンQ&Aで、「新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっているというのは本当ですか」というQがあり、その回答として「現時点で、新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなったということはありません」とあり、ページ内には専門家が作成したと思われる「2021年の全死亡超過死亡の発生と新型コロナワクチン接種数の関係」というPDFも用意されているのだが、この資料で触れられているのは2021年時点での話。2021年のワクチン1回目と2回目接種によって、死亡者が増加しているかどうかの検討がされているのだが、死亡者増加のあとにワクチン接種が増えており、つまり原因と結果の時系列が逆であることから因果関係は認められないと結論付けている。

 一方、PRESIDETの記事が問題にしているのは、あくまで2022年の3回目と4回目のワクチン接種であり、つまり、1回目と2回目は問題なかったのに3回目の時から一部の人が亡くなる何らかの要因が生じたことになる。それはワクチン側かもしれないし、接種者側かもしれない。あるいは両方の可能性もあり得る。結局のところ、ワクチン接種はするべきなのか否か悩ましい限りだが、5回目接種をするかしないかと聞かれれば、私は迷うことなく「YES」を選択する。

 ワクチンに関しては、感染を防ぐ効果が以前ほど見られないことからネット上には否定的な意見も散見されるが、少なくとも1回目と2回目のワクチンに関しては効果があったといえるのではないか。ワクチン開発がコロナウィルスの変異に追いつけないので、3回目と4回目も従来の1価ワクチンしか用意できなかったわけで、BA.4やBA.5を含むオミクロン株が感染の主流になってくると効果が薄れてくるのは当たり前の話。1価ワクチンであっても感染を防ぐ効果が低くても重症化を防ぐ効果はあるとされているので、たとえ一部に死者が出ていたとしてもワクチンを接種する価値はある、と私は考える。しかも次回はオミクロンにも対応した2価ワクチンなので、1回目と2回目同様に再び感染を防ぐ効果が期待できるのではないか。ただ、ひょっとすると2価ワクチンの場合も3回目、4回目…と続くと同じように死亡者数が増える可能性は否定できない。

 多くの人は、この情報に接してきっとワクチン接種に対してマイナスのイメージを強く抱くに違いない。コロナワクチンは安全か危険か。接種によって死者が出ているのだから危険じゃないか。ならば打たない方がいいに決まっていると。でもそれはあまりに単純すぎる考え方だと思う。

 仮にこの記事が指摘する通り、ワクチン接種と死亡者増加に因果関係があったとしよう。そうすると記事でも触れているように22年2月の3回目接種による死亡者数は約1万7000人(別の要因での死亡者数を仮に2000人として引いた数字)であり、人口動態統計によると22年3月は約1万4000人(同)、4回目接種の22年8月は約1万6000人(同)、9月は9000人(同)なので、合計約5万6000人以上になる。

 前述したように1回目と2回目では相関関係が認められていないので、3回目接種で亡くなった3万1000人以上の人は1回目と2回目では問題なかったことになり、4回目接種で亡くなった2万5000人の人も1〜3回目では問題なかったことになる。ということは、国内のワクチン総接種者数に対しての死亡者増加数ではなく、ワクチン総接種回数と対比させる方がいいと思う。現時点での国内ワクチン総接種回数は約3億7300万回となり、死亡者増加数約5万6000人の割合を計算すると0.015%という数字が出る。

 0.015%の確率で亡くなる人がいるからという理由でワクチン接種をしない選択をしたとしても、人によってはコロナ感染によって重症化するなどして、それですまない可能性もあり、無症状であったとしても他人に感染させてしまう可能性、また感染させてしまった人に基礎疾患があって重症化、もしくは死亡させてしまう可能性、さらには感染拡大が続くことで感染力が強い新たな変異株が生まれてくる可能性にもつながることを考慮すると、ワクチンを接種しない選択もどうなのか、という話にもなってくる。ただ、ワクチン効果によって以前ほどのリスクはなくなってきたともいえ、いつまでワクチン接種やマスクなどの感染防止対策を続けるのか、という議論はあってもいい。

 以前にも触れたが、多かれ少なかれ何でもリスクはつきもので、ワクチンを危険とみなして接種しないのは、自動車事故で亡くなる人がいる理由で危険とみなして自動車に乗らないようなもので過剰反応だろうな。たぶん、何らかの体質に起因して亡くなっている人がいて、それは予想以上に多いのは事実かもしれない。厚労省としては、因果関係を調べるにしても時間もお金もかかるし、もし本当に関係があるという結論が出て、それを公表すれば、ほぼ確実にワクチン接種率が低下して、感染拡大や新たな変異株の出現など、さらなるやっかいな問題につながるのを恐れているのだろう。物事を情緒的にしか考えられない日本国民を相手にしていては、厚労省の対応もわからんでもないけどね。


2022年11月9日(水)
皆既月食+天王星食
 昨夜の皆既月食+天王星食は、直前まで写真を撮るつもりはなかったのだが(皆既月食は珍しくないし、何度も見ているし写真にも撮っているので)、天王星食とセットになった極めて珍しい天体ショーだから「やっぱ撮ろう」と方針転換。

 2階の東側窓際に三脚をセット。ただ、肉眼はもちろんカメラのファインダー越しでも天王星は暗くて見えない。撮影したファイルをモニターで見ると、周囲の明るい星も含めて位置を確認できるが、どれが天王星なのかはわからない。検索して月のどちら側から天王星が近づいてくるのか、また広島の天王星食の潜入と出現開始時刻を調べてみた。

 国立天文台の公式サイトには、日本各地における天王星の潜入位置と出現位置が図示されてはいるが、月自体が天の北極を上にした図なので、観測者の天地方向とは異なる。天の北極とは、つまり北極星方向。ということは観測者から見ると天王星は月の左下方向から近づいてくることになる。

 今回、何件か、関連したサイトを閲覧してみると、東の空で月食が進行していく様子をイラストで解説した図に、この国立天文台サイトの天王星食潜入・出現図を元にした図を重ねて掲載しているサイトもあった。うーん。わかってねぇなぁ。観測者目線での月食進行図に天王星食図を合わせて掲載するのであれば、天の北極を上にした月の図をそのまま載せちゃダメじゃん。月の図を天の北極方向に傾けなきゃね。

 皆既月食と天王星食をどちらも見届けたが、あとで撮影ファイルを確認すると、畳の上に三脚をセットしたので、ややブレが目立った。といってもそのままシャッターを押したわけではなくて、バルブ+手動シャッター方式だったので、そんなに失敗はなかったのだが。そういう意味で、やや不満が残る結果になったが、一応昨夜の成果を掲載しておく。

 国立天文台サイトには、報道関係者向けに「2022年11月8日 皆既月食・天王星食 解説資料」というPDFがアップされていて、それを読むと「日本で前回皆既食中に惑星食が起こったのは、1580年7月26日の土星食で、次回は2344年7月26日の土星食」とある。ちなみにスポニチサイトでは、「天皇星食も同時に見られるのは442年ぶり」と書いていて、天王星を天皇星とするのは論外だが、さらに土星食と天王星食を勘違いまでしていた。

 また同資料には記述はないが、今日の毎日新聞サイトでは、「皆既月食中の天王星食は、記録をたどれる4000年間では一度もなかった」とあった(読売新聞は「過去5000年一度もない」と報道)。毎日新聞の「記録をたどれる」というのも誤解を生みそうな記述だが、昨夜はそれほど極めて稀有な天体ショーが上空で展開されていたことになる。

 上記、皆既月食+惑星食の履歴は、すでに各報道機関でもこの資料を元に触れられている通りだが、一方で初見のことも書かれていた。皆既月食中に天王星食が見られたのは、日本全国ではなくて、山形〜栃木〜千葉県東部を結んだ線より東側では、皆既月食が終わった後に天王星食の潜入が始まるという。北日本のみなさんは、皆既月食と天王星食を同時に見れなかったのか。知らなかった。



20h21m49s 左下の小さな点が天王星だ

20h26m20s 皆既月食中の月に隠れる寸前の天王星(左)。21h20m12s 再び月から現れた天王星(右)


2022年11月1日(火)
カブトムシの幼虫大発生!!
 先月中旬のことだが、菜園にある腐葉土プール(落ち葉などを貯めて腐葉土を作るために波板を円形に組んで地面を少し掘って設置したもの)のひとつから腐葉土を回収する作業をした際のことだ。

 プールには折々に庭で集めた落ち葉や収穫が終わって抜いた野菜などを少しずつ上から追加していくが、すでに設置してから10ヶ月くらい経過している。おそらく下の方はもう腐葉土になっているはずだ。すべての落ち葉が腐葉土になるのを待っていると、かなり時間がかかる(おそらく2年)ので、隣にも新しい同型のプールを新設して、上の方の腐葉土になっていない部分を移して、下の腐葉土を先に取り出すことにした。

 徐々に移していくと、下半分はもう十分に腐葉土になっていた。その腐葉土をスコップで掘っていくと、ゴロゴロと白いものが出てきた。どう見てもカブトムシの幼虫だ。こんなに大きな幼虫はカブトムシくらいのはず。念のため検索して確認すると、確かにカブトムシの幼虫だった。しかし出てきたのは一匹や二匹ではない。驚くほどたくさんいた。プールは直径1.4m、高さ90cmくらいだが、その腐葉土部分に大小合わせて50匹以上はいた。

 それにしてもカブトムシの幼虫がいたことは、結構驚きだ。子供の頃は、よく夜に我が家にやってきて喜んで捕獲したことがあった。オスはあまり記憶にないが、メスやノコギリクワガタのオスは、よく来ていた、ところが最近は近所の雑木林がことごとく宅地に変貌して、見かけることがなくなっていた。それなのに我が家の腐葉土プール内にカブトムシが卵を産んでいたことになる。つまり近所にまだ生息しているとしか思えない。

 近所といってもその環境を知っているようで知らないことも多々あるかもしれない。かつてカブトムシやクワガタムシを探しに行った雑木林はもうないが、行ったことがない場所にコナラなどがまだまだ残っているのだろう。そうした林下の腐葉土で繁殖を続けていたが、夜飛んでくることがなかっただけなのかもしれない。

 とりあえず腐葉土プールのそばの、常に木蔭になる場所に腐葉土を山のように積んで幼虫をすべてそこに埋めて、さらにその上から落ち葉をたっぷりとかけておいた。来年初夏には蛹になって、夏には羽化するだろう。

 それにしても腐葉土プールとはいえ、円筒状の人工物体である上に表面にはマルチを敷いて重しを載せているので、外見上は腐葉土があるようには見えない。でもカブトムシのメスは、私が知らないうちに我が家の腐葉土プールに目を付けて卵を産んでいたことになる。遠くから腐葉土の匂いを識別したとしか思えないが、我が家に隣接する森は照葉樹が多くてコナラはないと思うのだが、そんなところに腐葉土があるのを「よく見つけたな」と思わずにいられない。

 とにかく我が家でカブトムシが繁殖していたのは大変喜ばしいことだ。タマムシだけでなくカブトムシもいたとはね。

 実は今日も幼虫を移したあとの腐葉土をすくっていると、まだ残っていたようで何匹も出てきた。






2022年10月2日(日)
「食と農」の博物館の企画展に写真を提供しました
 8月に母校の東京農業大学からメールで写真提供の依頼を受ける。まさか出身大学からそんなメールを頂くとは想像もしていなかったので、ちょっと驚いた。しかし、母校からのご依頼とあれば、喜んで協力したい。

 大学の付属施設「食と農」の博物館で10月14日〜来年3月4日まで開催される企画展 「荒川 弘〈百姓貴族〉× TOKYO NODAI 2022」に当サイト「動物記47」で掲載している動物注意標識の写真5点ご使用頂くことになった。オープニングセレモニーにもお誘い頂いたが、残念ながら私は見に行けない。代わりにお近くの方はぜひ。

 「食と農」の博物館ができたのは知っていたが、卒業後のことなので、見学したことはなかった。いつか機会があれば訪問してみたい。
 今回の件があって、ふと懐かしくなり、大学キャンパス内や、当時住んでいた世田谷の上町や豪徳寺をグーグルのストリートビューや投稿写真で見てみたのだが、もう当時の面影はほとんどなかった。そりゃそうだ。もう30年以上の時間がたってるんだもん。大学も見違えるように近代的になっていて、母校であるにも関わらず、いつの間にか「知らない大学」と化していた。でもそれだけに、今回のご依頼は、久しぶりに母校とつながった感じがして、うれしかった。

「食と農」の博物館公式サイト→こちら

東京農業大学公式サイト→こちら


2022年9月6日(火)
円安
  円相場が1ドル=140円台前半まで下落し、これは24年ぶりの円安水準とのことだ。円安は、輸入業者にとっては頭が痛いだろうが、うちにとっては大変好都合な事態である。父には毎月海外から送金があるのだが、その際の為替レートで円換算されて口座に振り込まれるので、円安の方が受け取る金額も増えることになる。輸入品の値段上昇を考えると、少し微妙な面があるのも事実だが、それでもプラスの方が大きいだろう。

 先月には、広島の移動領事館に父を連れて行って、その関連手続きをしたが、そこで受け取った書類を直接、送付しなければならないことが判明。もうしばらく前から国際郵便はコロナの影響で止まっているので、EMSでは送れない。そこでいろいろ調べてヤマト運輸の国際宅急便で送ることにした。といっても成田空港から先はUPSという物流業者に委託されるようだが、書類2枚の送料は営業店持ち込みで1600円。要する時間は2週間とのことだった。しかし先月末に発送したところ、ネット上の追跡ページを確認すると、アメリカのアンカレッジやマイアミを経由して、わずか4日で現地に到着していた。意外に迅速で驚いた。

 それにしても領事館の登録・予約システムが、ブラウザの自動翻訳機能で日本語表示になるとはいえ、翻訳されない箇所があったりして、登録するだけでも四苦八苦。ただ、認証は一発で成功し、予約自体は簡単にすんだ。名古屋の領事館など、あちこちに問い合わせたり、父の会社OBの人に教えてもらったりしながら、なんとか対応。あーやれやれ。


2022年8月14日(日)
マルチ
 うちの菜園では、今年からマルチを使ってみたのだが、どうもこれが野菜の生育にプラスに働いているような印象である。知らない人のためにフォローしておくと、農林水産省のサイトには、次のように説明されている。

     
    「マルチ」とは、畑のうねをビニールシートやポリエチレンフィルム、ワラなどで覆(おお)うことで、英語の「マルチング」を略(りゃく)したことばです。
 マルチングを行うことにより、
  1.地温の(ちおん)の調節ができる
  2.土の乾燥(かんそう)を防(ふせ)いでくれる
  3雑草(ざっそう)を生えにくくする
  4雨などで肥料(ひりょう)が流れることを防ぐ
  5病気の伝染(でんせん)を防ぐ
  などの効果(こうか)があります。
 
     

 黒や透明、シルバーがあるが、うちの場合は黒マルチで畝を覆ってみた。その作業は確かにそこそこ手間がかかることは間違いないが、慣れればそれほどでもないし、あとあとのことを考えるとメリットの方が大きい。マルチをすると、水やりの頻度が少なくてすむようになり、しかも生育もすこぶるいい。例えばカボチャ。初めてマルチをして苗を植えたところ、これまでないほど立派に生育し、今年は40個ほどが収穫できそうな勢い(収穫したのは32個。あと8個ほどが未収穫)である。トマトも、すべてというわけにはいかないが、出荷できそうなほどにきれいにできて、値段が高い品種の苗でもないのに、今までで一番おいしいのだ。おそらく、マルチだけの効果ではなく、腐葉土を積極的に使っていることも大きいと想像するが、とにかく今年の夏は収穫増につながっている。

 実はこれまで野菜の収穫量はまったく記録をとっていなかったので、ひと株が生産する総量なんて想像したこともなかった。日をおいてパラパラとナスやピーマンがとれていても、総量はまったく知らなかったわけだ。そこで今年から毎日記録をとってみたのだが、わずか5本とか10本程度のナスやピーマンの株からでも、ひとシーズンの総量となるとかなりの量になっていることが、遅ればせながら判明した。昨日時点での我が家菜園の総収穫量は次のとおりである。

ナス(長ナス+中ナス 10株) 168
ピーマン(肉厚+普通 5株) 137
トマト(大+中 5株) 124
ミニトマト(赤+黄 5株) 740
キュウリ(5株) 66
ゴーヤ(5株) 23
カボチャ 32
小玉スイカ (3株) 9
トウガン(1株) 8
オクラ(15株) 182
トウモロコシ 47
ブルーベリー 7キロ
ジャガイモ(3品種) 40キロ


一昨日の収穫はこんな感じ。毎日、結構な量で、食べきれないくらいだ。






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