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日本在来のナメクジ
フタスジナメクジ
Meghimatium bilineatum
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  外来種のチャコウラナメクジに対して、在来種に当たるのがフタスジナメクジである。単にナメクジとも呼ぶ。我が家の庭には、十数年前から徐々に庭の木の幹などでチャコウラナメクジが目につくようになり、簡単に退治するため木酢液や竹酢液を希釈したナメクジ撃退スプレーを考案した。見かけるたびにスプレーでやっつけているうちに近年では、ほぼチャコウラナメクジは見かけなくなった。一方、在来のフタスジナメクジは、庭ではほぼ見かけず、排水升の中などで種を継続しているのを稀に見かけるくらいだった。

 昨日、菜園近くで伐採した木の枝を少し移動させた際に、枝の下にフタスジナメクジが丸まっているのに気づく。あれれ? 在来のフタスジナメクジがこんなところにいるのを見たのは初めてだ。しかも、結構大きな個体だ。ひょっとすると、付近の木立やヤブの中で繁殖している可能性があるかも。

 せっかくなのでカメラを持ち出してきて連写する。位置を調整しようと、小枝で移動させると、すぐに眼(触角)をひっこめていたが、それを繰り返すと、慣れてしまったのか、あまりひっこめなくなった。

 子供の頃、母方の祖父祖母の家に行くと、石垣に大きなナメクジ(おそらく本種)が時々いて、祖父が塩をかけて退治するのをおそるおそるそばで見た記憶がある。ちなみにアース製薬サイトには、「ナメクジに塩をかけると、溶けていなくなると思っている方も、もしかしたらいるかもしれません。けれど、それは間違いです」とある。ナメクジの場合は約85%が水分で、塩をかけると、どんどん水分や粘液がなくなって縮んでしまうが、水をかけるとある程度のサイズまでは戻るそうだ。ただ、塩を多くかければ、完全に退治するのも可能のようだ。おそらく塩で縮んでしまったあとの時間が長くなれば、復活するのは難しくなるのではないか。

関連情報→本サイト動物記「ヤマナメクジ



身体の側面に2本の褐色のスジがあるのが特徴だ。ただ中心にもスジがあることも多く、「3本のスジがある」とするサイトも見かけた。中心のスジの明瞭さは個体差があるみたいで、この個体の場合はかなり不明瞭だ。写真の個体は、体長約7センチ。ちなみに眼が付いている長い方は大触角、その下にある短い方は小触角と呼ばれる。大触角と小触角は機能的に分業しており、大〜の方は遠方から来る匂い物質の検出と進行方向の決定などを行い、小〜の方は目の前の食べ物や化学物質、さらには他個体が残した粘液の検出などを行うとされているそうだ。「ちなみに」以降の出典/松尾亮太:ナメクジの脳が持つしたたかさ ―再生能力,頑健性,そして柔軟性―,比較生理生化学Vol. 28, No. 3 (2011) 。



大触覚を拡大してみた。太陽光の下では、やや黒みがかった紺色のように見えるが、マクロストロボで接写すると、青に近い色で写っていた。先端の黒い点が眼だろうが、網目状模様の組織も見える。



 
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