Nature

ワタスゲとヤマドリゼンマイが初々しい
大曽根湿原 おおそねしつげん
福島県只見町

 只見町にある面積6ヘクタールの湿原。町指定の天然記念物。6月下旬にはワタスゲの果穂とヤマドリゼンマイの初々しい緑が美しい。木道も敷設されているが、ほとんど知られていない。

詳しくは拙著「南とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介

池もある桃野湿原。背後は三筋山
細野湿原群
芝原湿原+中山1号湿原+中山2号湿原+桃野湿原
静岡県東伊豆町

 伊豆半島の山中にある4つの湿原を総称して、細野湿原群と呼ぶ。町の天然記念物。遊歩道も整備されている各湿原には細い道路がのびている。三筋山の中腹にあり、一帯は視界のきく草原地帯となっている。

桟道が敷かれた湿原
八雲ヶ原湿原
滋賀県志賀町

 関西を代表する湿原のひとつなので、関西圏の人にはよく知られている。琵琶湖の西側に連なる比良山系の最高峰・武奈ヶ岳にある。以前はリフトとロープウェイを乗り継げば、湿原まではすぐだったが、どちらも平成16年3月に廃止されている。夏から晩夏にかけてはさまざまな花も咲く。


桟道末端にはテラスがあり観察しやすい
おもつぼ湿原
岡山県哲多町

 哲多町の「すずらんの園」内にある湿原。すずらんの園は近くの自生地から移植したスズランを見られる場所で、見ごろは5月下旬〜6月上旬。湿原の方にもヒツジグサなどの花が見られ、短い桟道が敷設されている。

ため池が作られて規模は縮小したが、湿原景観は楽しめる
八幡湿原 やはたしつげん
広島県芸北町

 スキー場もある標高800m前後の八幡高原には所々に湿原が点在し、まとめて八幡湿原と呼ばれる。訪問しやすいのは長者原湿原と尾崎谷湿原。後者は観光用に公開されているカキツバタ園とため池の奥にあり、木道もある。


細長い池塘がのびる中屋敷の湿原
小松原湿原
新潟県中里村・津南町

 苗場山からのびる支稜線上にある湿原。下屋敷、中屋敷、上屋敷の3つの湿原があり、池塘が多く、景観的にも見事。面積は合計30ヘクタールにもなる。まさに山の中の別天地といった感じだ。ただ訪問するのは簡単ではない。

詳しくは拙著「信州 花の湿原を歩く」信濃毎日新聞社をご参考下さい。→著書の紹介

鳥海山をバックにサギスゲが群生するムラサギ湿原
ムラスギ湿原
秋田県由利本荘市

 ムラスギ湿原は鳥海山の中腹にある面積20ヘクタールの中間湿原。鳥海山をバックにワタスゲやサギスゲが群生するのでロケーションは素晴らしい。湿原までは最寄りの林道から小径が続いているが、付近には作業道も多く、正しい道は見つけるのは難しい。また鳥海山を望むポイントまではヤブコギを要する。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


北側にある遊水池と湿原
差塩湿原 さいそしつげん
福島県いわき市

 「差塩」と書いて「さいそ」と読む。市の天然記念物。1ヘクタールほどの低層湿原で、木道も整備されている。5月にはミツガシワが咲くほか、ウメバチソウやミズドクサなども見られる。いわき市には、もうひとつ内倉湿原と呼ばれる低層湿原もある。

詳しくは拙著「南とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


浮島が浮かぶ栗木ヶ原の池塘
栗木ヶ原
岩手県雫石町

 栗木ヶ原は、南八幡平・三ツ石山の西約2キロ地点に広がる10ヘクタールの高層・中間湿原。地図を見ると、湿原に続くルートは一見なさそうだが、実はある場所から明瞭な踏み跡が続いており、到達はそれほど困難ではない。湿原には池塘が多く、湿原景観のレベルは高い。ただ現在は森林生態系保護地域に指定され、原則立入禁止になっている。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


天野山にある高層・中間湿原
猿屋裏湿原
岩手県遠野市

 遠野市と川井村の境に位置する天野山にある湿原。面積は4ヘクタールで、林道の入口からヤブをこぐと湿原が見えてくる。コバイケイソウやミツガシワなどが生育する。場所はわかりにくいが、探すつもりになれば、見つけるのはそれほど難しくない。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


ミズギクが湿原を黄色に染める
空吹湿原 からふきしつげん
秋田県田沢湖町

 秘湯として人気抜群の乳頭温泉郷近くにある湿原。規模は1ヘクタールほどで、大きくはないが、ミズバショウやコバイケイソウが咲くほか、8月にはミズギクが湿原を覆う。湿原に続く登山道はブナ林を抜けるので、気持ちいい散策ができる。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


ノハナショウブが咲く。バックはため池
刈女木湿原 がりめぎしつげん
秋田県羽後町

 羽後町西部の山中にある低層湿原る面積は1.5ヘクタールほど。夏にはヒツジグサが浮かぶため池の奥に湿原があり、ノハナショウブやタチギボウシなどが見られる。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


8月満開になったミズギク
大清水湿原
秋田県由利本荘市

 鳥海山の百宅コース登山口にある湿原。ミズバショウやキンコウカ、ミズギクなどが生育している。登山口までは未舗装の林道が延々と続く。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介


自分だけの湿原景観を楽しみたい
千町ヶ原 せんちょうがはら
岐阜県高根村・朝日町

 千町ヶ原は乗鞍岳から西にのびる千町尾根にある高層湿原。池塘があり、7月にはワタスゲの果穂が見られるが、子ノ原高原からの最短登山コースは、現在通行止めになっている。

詳しくは拙著「信州 花の湿原を歩く」信濃毎日新聞社をご参考下さい。→著書の紹介


無名湿原を覆うリュウキンカの大群生
飯綱東高原の無名湿原
長野県牟礼村

 牟礼村・むれ水芭蕉苑と道路を挟んで反対側にある「にりんそう苑」からさらに奥へと進むと無名の湿原がある。春には飯綱高原の大谷地に負けず劣らずリュウキンカの群生が見事。木道もある。

北側から湿原全体を望む
樫原湿原 かしばるしつげん
佐賀県七山村

 標高590mの丘陵地にある湿原で、「佐賀県自然環境保全地域」に指定されている。遊歩道と木道が整備され、20〜30分ほどで一巡が可能。ヒツジグサやイヌタヌキモ、コバギボウシなどの花やハッチョウトンボを目にすることができる。九州の貴重な湿原のひとつ。私の場合はほんの小1時間ほど散策して帰るつもりにしていたのだが、思った以上に花が多くて結局4時間もいた。



ハンノキ林にのびる木道
赤名湿地
島根県飯南町

 広島県との県境に近い旧・赤来町にある。長尾池と呼ばれる溜め池を中心に県下最大のハンノキ林が広がり、ミツガシワやリュウキンカなどの植物が生育している。入口の駐車場から広い道を少しばかり入ると三叉路があり、左に行けば湿地だが、右に行くと「福田・山野草の森」がある。湿地には木道も整備されており、一巡できる。



大小の湿原が点在するが、そのうち最も広い湿原
唐川湿原
鳥取県岩美町

 鳥取県東部に位置する岩美町の山中にひっそりとある湿原だが、「唐川のカキツバタ群落」として国の天然記念物にも指定されている。最寄りの車道から緩い遊歩道を奥に入ると、ほどなく湿原が現れる。カキツバタが群生するのは、例年6月上旬。湿原のまわりに遊歩道と林道があり、一部、湿原を横断する木道もある。


鏡池の畔にのびる木道
ニセコ高原・鏡池
北海道倶知安町

 ニセコ高原といえば、神仙沼湿原が有名だが、ほかにも湿原はいろいろある。例えばニセコ高原から倶知安へ下る途中にある鏡池もそのひとつ。道道から小径を30分ほど下ると、美しい鏡池に出る。池の周囲は湿原となっており、木道も敷設されている。ひと気のない静かな湿原をひとりじめにできる。



池の水面を覆うように咲くカキツバタ
箱館山・平池
はこだてやま・たいらいけ
滋賀県高島市

 琵琶湖の北西側にある箱館山にある平池は、カキツバタ群生地として知られ、6月上旬〜中旬には池を紫色に彩る。すぐ近くまで車で入れるので、訪問は至って容易。



乾燥化が進む小さな湿地

氷ノ山・古生沼
ひょうのせん・こせいぬま
兵庫県養父市

 鳥取県と兵庫県にまたがる氷ノ山。この山頂の兵庫県側には、古生沼と呼ばれる高層湿原がある。登山道から少し入った場所にあり、看板が立っている。



ガスにけむる松山湿原

松山湿原
北海道美深町

 北見山地にある面積15ヘクタールほどの中間・高層湿原。登山口からわずか20分ほどで湿原に着く。湿原には一巡する木道がのび、えぞまつ沼、つつじ沼、はいまつ沼の3つの沼がある。



湿原とそれに沿って続く道

鯉ヶ窪湿原こいがくぼしつげん
岡山県新見市

 岡山県新見市(旧・哲西町)にある湿原。国の天然記念物。春にはリュウキンカが群生し、夏には水辺にヒツジグサが浮かぶ。駐車場や管理棟がある入口から入ると溜め池があり、その畔に沿って奥に進むと湿原が点在している。



紺碧の池塘の奥に南暑寒岳を望む
雨竜沼湿原うりゅうぬましつげん
北海道雨竜町

 北海道でも特に人気が高い湿原。暑寒別岳の東側台地に広がる102ヘクタールの高層湿原。雨竜町市街から暑寒ダムを経由して約26キロ。登山口は駐車場や南暑寒荘があるゲートパークとして整備されている。ここで協力金を支払い(強制ではないが、なるべく協力したい)、登山道を約1時間半登ると湿原に着く。吸い込まれそうな池塘、蛇行するペンケペタン川。本州の山地湿原とは少し趣が異なる原始的景観が今も残っている。ただ、最近は訪問者も増えて、さまざまな問題も生じるようになっているという。残念なことだ。


池塘が点在する湿原とニトヌプリ

神仙沼湿原しんせんぬましつげん
北海道岩内町

 先に紹介した鏡池と同じくニセコ高原にある中間・高層湿原。美しい神仙沼の西側に発達し、広さは2.5ヘクタールほどだが、池塘も多く湿原景観は見事。ニセコパノラマラインに駐車場と休憩所があり、そこから徒歩で15分。湿原内は木道で一巡できる。



斜面に発達した小規模な湿原

三国山湿原
滋賀県高島市

 琵琶湖の北西側、滋賀県と福井県にまたがる三国山には、小規模な湿原がある。それが三国山登山道の途中にある三国山湿原で、キンコウカやモウセンゴケなどが生え、丸木を並べた木道で横断できる。すぐ先の大芦谷源頭も湿地帯となっている。



訪れる人は少ないが、木道もある

滝ノ倉湿原
茨城県高萩市

 茨城県の湿原といってもあまり思い浮かばないが、実は県内にも少ないながらもポツポツとある。中でも一番湿原らしい湿原が、この滝ノ倉湿原。高萩市の山中にあり、案内板などほぼ皆無なので、極めてわかりにくい。サワギキョウ、サワシロギク、コオニユリなどの湿性植物が咲く。



ヒツジグサも浮かぶ湿原

大満原北方湿原
だいまんばらほっぽうしつげん
山形県立川町

 月山山麓にある低層湿原。車道から少し山の中へ入った場所にある。面積は3ヘクタールほど。車道近くにも別の湿原がある。

詳しくは拙著「南とうほく花の湿原」無明舎出版をご参考下さい。→著書の紹介



安房湿原とも呼ばれる

安房原湿原
岐阜県高山市

 高山市の山中にある湿原。車道から未舗装の道を少し入ると終点となり、小径をたどると湿原が見えてくる。私が訪れたのは2001年の秋。その後訪ねていないが、今度は初夏の時期にでも訪ねてみたいと思っている。



20〜30分ほどで一巡できる


利尻島・南浜湿原
北海道利尻富士町

 利尻島の南浜にある湿原。道道から入るとメヌショロ沼があり、その奥に湿原が広がっている。ミツガシワやイソツツジなどが生育し、木道で散策できる。利尻島には、ほかに2湿原がある。



南側の展望台から山門湿原の南部湿原を一望する


山門湿原やまかどしつげん
滋賀県西浅井町

 琵琶湖北部、西浅井町の山中にある高層湿原。一帯は県が所有する「山門水源の森」として整備され遊歩道や展望台などが作られている。また熱心な市民団体によって保護活動が行われ、水源の森を紹介するカラー印刷の小冊子まで制作する力の入れよう(入口近くにある森の学び舎で販売)。水源の森入口から山道を徒歩で約30分ほどで湿原に着く。4月にはミツガシワも群生する。



ミツガシワとタニウツギが咲く妻平湿原。背後の山は経ヶ岳


妻平湿原つまだいらしつげん
福井県大野市

 六呂師高原にある面積0.5ヘクタールほどの小さな湿原。一帯は自然観察の森として遊歩道や福井県自然保護センターが整備され、湿原はその一角にある。初夏にはミツガシワやサワオグルマが咲き、桟道で散策できる。車で数分走ったところには、もうひとつ池ヶ原湿原という湿原もある。



桟道を一巡してもわずか10分程度。入口には解説板も立つ


伊勢神湿原
愛知県豊田市

 寧比曽岳(1121m)の西側にある面積3.5ヘクタールの小さな湿原。大多賀峠と伊勢神峠を結ぶ東海自然歩道の途中から道標に従い少し入ると桟道がのびる湿原が見えてくる。以前はもっと湿原らしかったようだが、現在はかなり灌木が生長して乾燥化が進みつつあり、かろうじて湿原であることがわかる状況。



桟道が整備された湿地園


根の上湖畔湿地園
岐阜県中津川市

 根の上湖畔に広がる面積約0.5ヘクタールほどの中間湿原。ミズバショウ、カキツバタ、ミカワシオガマ、マツムシソウなどが生育する。駐車場からキャンプ場を抜けて往復20分程度。なお隣接する保古ノ湖畔にも1ヘクタールほどの中間湿原がある。以前に比べて木が茂ったせいか道路から見つけにくくなった。


 







                       





全国には、数多くの湿原が点在しています。私がこれまでに取材した湿原の中から、あまり知られていない湿原をほんの一部紹介します。なお景観的に素晴らしく、特にお勧めの場所については、「とっておきの自然」に掲載しました。そちらをご覧下さい。


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