Nature
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と
おきの
自然

有名な場所ではなく、あまり知られていない穴場的な自然景観地やトレッキングコースなどを紹介します。いづれもお勧めのスポットばかりです。新規情報は上ではなく下に追加していきます。   最新情報トップへ

         


ミズバショウが咲く夢見平
夢見平
新潟県妙高市

 火打山の登山口としても知られる笹ヶ峰の対岸に位置する夢見平には、地元の有志が管理整備する「夢見平遊歩道」があり、中でもミズバショウが群生する夢見平は、バックに妙高外輪山を望む美しい湿原。遊歩道には5月下旬ころならカタクリが咲き、少し時期が過ぎるとニリンソウも群生する。ほとんど知られていない穴場的な存在であるが、私が本や雑誌で紹介記事を書いたので、訪問者は増えている。


詳しくは拙著「信州・花の湿原を歩く」信濃毎日新聞社をご参照下さい。著書の紹介


比婆山の見事なブナ林
比婆山 ひばやま
広島県庄原市

 広島県北東部にある比婆山連峰は、標高1200m前後の山々で、ブナが覆い、新緑や紅葉の頃は素晴らしい登山を楽しめる。最近は県内外からの登山者が訪れるようになってきている。古事記には伊邪那美命を埋葬した山として登場し、山頂にはその墓とされる御稜があり、ガスがかかったときは実に神秘的な雰囲気が漂う。また5月上旬にはダイセンキスミレが咲き、続いてダイセンミツバツツジが山を鮮やかに染める。ブナ林は山頂北側にもあるが、山頂の南側分岐から県民の森に下りはじめるあたりのブナ林が特に見事。


高原には立派なブナ林もある
安比高原 あっぴこうげん
岩手県安代町

 八幡平の北東側中腹に広がる高原台地・安比高原には、快適なブナ林にのびる遊歩道がある。安比高原ぶなの駅を起点にY字状に道が整備され、2時間ほどで散策できる。アップダウンはほとんどなく、草原に咲くレンゲツツジも楽しめるが、特にお勧めなのは、白いブナ林一帯。木漏れ日が差し込む実に気持ちいい森なのだ。


詳しくは拙著「森林浴の森・とうほくガイド」無明舎出版をご参照下さい。→著書の紹介


アカバナヒメイワカガミの大群生
箱根・冠ヶ岳 
かんむりがたけ
神奈川県箱根町

 箱根を代表する登山コース、冠ヶ岳の中腹には、アカバナヒメイワカガミの群生地がある。花つきの善し悪しは年によってもかなり違いがあるが、多い年にはこの写真のようにピンク色の絨毯のように群生する。大涌谷からの登山道は、現在火山ガスの影響から通行禁止となっているので、大涌谷から直接登れないので注意。見ごろは例年5月中旬〜下旬ころ。


ニッコウキスゲが満開に。背後の山は岩木山
ベンセ湿原
青森県木造町


 ベンセ湿原は津軽半島の日本海側にある。海岸にも近く、雰囲気はまるで北海道の原生花園だ。ここの見どころは6月上旬〜中旬に見ごろを迎えるニッコウキスゲ。快晴の日なら、背後にそびえる岩木山とともに美しい景観を作り出してくれる。また下旬になると、今度はノハナショウブが咲き、湿原を紫色に彩る。写真で見ると確かに素晴らしいが、昔はもっと高い密度で咲いていたという。近くにも自然の花の群生地があり、お勧めのエリアである。

詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参照下さい。→著書の紹介

ミズバショウの密度はかなりのもの
大場谷地 おおばやち
秋田県鹿角市

 八幡平の大場谷地は鹿角市と田沢湖町を結ぶ国道341号線沿いにある湿原だが、同じ八幡平の大沼に比べれば、全然知られていない穴場の湿原だ。5月上旬には湿原を覆うほどにミズバショウが群生するほか、7月上旬になるとニッコウキスゲも多い。以前は入口がわかりにくかったが、近年駐車場などが整備され、訪問はしやすくなった。


詳しくは拙著「北とうほく花の湿原」無明舎出版をご参照下さい。→著書の紹介


砂浜をびっしりと覆うハマヒルガオ
房総・平砂浦 へいさうら
千葉県館山市

 房総半島の末端、館山市の平砂浦と呼ばれる砂浜では、5月中旬〜下旬にハマヒルガオが群生する。砂浜はかなり長い距離に続いており、そのあちこちで、桃色の群生が見られる。場所によっては踏み場もないほどに咲いていることもあり、なかなか見事な光景である。房総半島では太東崎や南無谷海岸にもハマヒルガオが見られるが、規模は平砂浦の方が上だ。



湿原を白くするほどのミツガシワの大群生だ
親海湿原 およみしつげん
長野県白馬村

 白馬村の佐野坂峠にある湿原。ここでは5月中旬〜下旬になるとミツガシワが大群生する。それは見事な景観で、白一色の中を木道で散策すれば、まさに夢心地だ。ミツガシワが終わると、サワオグルマとカキツバタが群生し、コオニユリ、サワギキョウと続く。湿原の面積は3ヘクタールほどだが、美しい湿原である。隣接する姫川源流もフクジュソウやニリンソウ、バイカモなどが咲く花の名所。併せて訪問したい。


詳しくは拙著「信州・花の湿原を歩く」信濃毎日新聞社をご参照下さい。著書の紹介


秋山郷奥にある渓谷
魚野川渓谷
長野県栄村

 群馬県の野反湖から長野県の秋山郷へ向けて流れ出す魚野川が刻む魚野川渓谷は、渓谷沿いに平坦な遊歩道が続く。その途中には素掘りのトンネルがあったり、吊り橋などがある。険しい渓谷につけられた道は、ちょっとばかり黒部渓谷の下ノ廊下のような雰囲気がある。スタートは切明温泉・雄山閣で、渋沢ダムで折り返す。その間は静かな渓谷の道がずっと続く。時にはカモシカが姿を現すことも。


独特の姿をしたアガリコの森
中島台
レクリエーションの森
秋田県象潟町

 鳥海山中腹にあるアガリコの森。アガリコとは幹から何本もの枝が上がった特有の形をした奇形樹のこと。かつて薪や炭焼きにするために繰り返し伐採されることで、このような独特の姿になったもの。中島台レクリエーションの森は、こうしたアガリコが多く、「あがりこ大王」と呼ばれるアガリコの巨樹もあり、さらに珍しい苔が生育する獅子ヶ原湿原もあり、とてもユニークな森だ。

詳しくは拙著「森林浴の森・とうほくガイド」無明舎出版をご参照下さい。→著書の紹介



コバルトブルー色を呈する熊池
万座熊池歩道
群馬県嬬恋村

 万座温泉にある万座熊池歩道はあまり知られていない遊歩道。スタートは万座空吹きから温泉街の方に少し戻って左手に折れる。奥万座川を渡ると、やがてコバルトブルーの水面が美しい熊池が現れる。続いて昭和32年に発見されたという鮒池へ。池の畔に敷設された木道をたどり、さらに二子池や丸池を見る。一巡3時間10分。



山の斜面をピンク色に染めるカタクリ
飯盛山 いいもりやま
愛知県足助町


 紅葉の名所として知られる香嵐渓のすぐ側にある飯盛山はカタクリの群生地として知られ、例年3月下旬には見ごろを迎える。面積は広い方ではないが、山の斜面をびっしりと覆うほどに咲き、それは見事な群生だ。群生地の遊歩道はそのまま山頂に続いている。ちょっとしたハイキングにも適した山である。


ニリンソウの大群生地
飯綱東高原・
にりんそう園
長野県牟礼村

 飯綱東高原のむれ水芭蕉苑近くにあるニリンソウの群生地。入口から林に入っていくと、予想以上の大群生が迎えてくれる。私も思わず「うわ〜、すごい」と口に出たほど。ニリンソウの群生地としてはよく知られる上高地に比べれば規模は小さいが、見ごたえは充分。しかも、手軽に訪れることができるのがいい。見ごろは例年5月上旬〜中旬。

 
新緑の森に続く遊歩道(左)。苔むす清流もある(右)
若杉原生林
岡山県西粟倉村

 岡山県東部、鳥取県との県境に接するように広がる吉井川源流域の若杉原生林は、若杉天然林とも呼ばれる。県下では珍しいブナ自然林で、林野庁選定「森林浴の森100選」にも選ばれている。ここを訪れるのなら5月上旬の新緑のころがいい。頭上から降り注ぐ木漏れ日のもと、気持ちいい森の中を散策できる。苔むした清流もあり、芽生えたばかりのブナの若葉やサンインシロカネソウなどの小さな野草も見られる。歩くだけでワクワクするような魅力に満ちている。私がこれまで歩いた森の中でも、特に好きな森のひとつ。


クリスタルラインから望む美しい岩峰
クリスタルライン
山梨県北杜市

 クリスタルラインは山梨県の三富村から甲府市を経て北杜市に抜ける山岳地帯に続く複数の林道からなる道。その入口には乙女高原もあるが、紅葉の時期にすばらしいのは、その先の荒川林道から望む無名の岩峰。山肌につけられた展望のいい林道を走らせると、岩と紅葉が織りなす姿が現れる。多くの人が車を停めてカメラを向けるほどの美しさなのだ。クリスタルラインは、この先、木賊峠を経由して増富温泉へ抜けられる。紅葉の見ごろは例年10月下旬。


健全とはいえないまでも確かに見る分には
素晴らしい

奥日光・千手ケ浜
栃木県日光市

 中禅寺湖の西側にある静かな湖畔、千手ケ浜。ここでは6月中旬〜下旬にクリンソウが大群生する。あちこちで群生は見られ、それは見事な光景だ。すぐ近くには、さらにびっしりと群生する場所もある。ただそちらは白花や絞りの品種なども混ざり、自生というにはどうも怪しい。もちろん人工的に植えたわけではないのだが、昔、ロックガーデンのようなものがあったらしいから、そこに植えられていた園芸品種のクリンソウが拡大したのではないかと私は想像している。クリンソウが広がっている背景にはシカの増加があると思われる。つまりシカが食べられる植物が減り、その分そうでない植物が増えているというわけなのだ。決して健全な風景とはいえないのである。

清流がさらさらと流れる
水木沢天然林
太古の森と原始の森
長野県木祖村

 木祖村西部のやぶはら高原の一角にあるヒノキやブナなどの原生林。入口には駐車場や管理棟があり、遊歩道が森の中を巡っている。巨木も見られ、清流も流れている。さわやかな空気で満たされた森を気持ちよく散策できる。
 今夏、訪問した時のこと。遊歩道を一巡して入口に戻ってくると、ここの名物おじさんと呼ばれている人から「お茶でも飲んで行け」といわれ、お茶をごちそうになり、この森や村のことなどをお聞きできた。楽しいひとときだった。
 お茶をごちそうになったからいうわけではないが、まさに穴場の、お勧めの森だ。おじさんによると、秋が最高だそうだ。
 
 

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