Nature
山岳記
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林道1 林道走行のリスク 青森県・浜名岳など

撮影年月日:2008年6月17日など

 登山を趣味にしていると、林道にお世話になることは多いはずだ。林道の奥に登山口がある山では、アプローチを大幅に省略して登山口まで乗り付けられるので、ありがたい存在といえる。だが、未舗装だけに路面状況はいろいろ。雪解けや豪雨の直後は、荒れていることも多いし、最初のうちは安定していても、奥に行くに従い悪化することもよくある。また整備が不十分なので路肩の崩落、落石、倒木など、林道走行には、さまざまなリスクがつきまとう。万一、車が走行不能に陥れば、かなりめんどうなことになるのは間違いなく、過去には、夜間の林道走行中に道がカーブしていることに気づかず谷底へ落ちて運転者が亡くなられる最悪の事故もあった。それだけに林道走行は、より慎重な運転が求められる。

 ところで林道というのは、狭義には森林管理署が整備した道だが、中には「一般通行禁止」の看板が立てられていることがある。これは看板を無視して通行すると咎められることもあるということなのだろうか。この看板の意味を「一般車が通行するには許可が必要で、もし無断通行したら罰せられる」と思っている人もいるようだが、森林管理署の姿勢は「一般車が無許可通行しても黙認するが、その代わり事故があった時に一切責任はとらない」ということ。つまり「林道走行はあくまで自己責任ですよ」ということを明確に示すためなのだ。林道は管理・整備が容易でないことを考えれば、森林管理署のこうした対応は当然だろう。本当に通行が困難な林道では、入口にゲートが設けられ進入できないようにしてあることも多い。登山者の車が普通に通行している林道にも、「一般通行禁止」の看板が立てられているのは、そういうことが背景にあるからだ。つまり利用者が多い林道でも、ある程度のリスクがあることを意味している。

関連情報→本サイト「山岳記 山で困ったこと4



車に覆い被さるオオイタドリ。まさに「林道版ヤブコギ」状態だ。青森県・浜名岳

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「林道版ヤブコギ」は時々ある。ここの林道は舗装されており路面はまったく問題ないのだが、両側から繁茂したオオイタドリが覆い被さってきた。草に隠れて木の枝が張り出している可能性もないとはいえないので、そろそろと通過。新潟県妙高市。


台風の豪雨により崩落した舗装林道の路肩。秋田県・森吉山(左)。路肩が崩れたために通行止にされた林道。秋田県・姫ヶ岳(右)



この石は、私が過去に遭遇した「林道上の落石」の中で最大。「石」というよりも、もう立派な「岩」である。直前に落ちたわけではないようだったが、手前に「落石のため通行止」等の標識はなかった。地元の人が稀に通るだけの林道だったからかもしれない。新潟県妙高市。


林道上に落ちていた落石。場合によっては、車から降りて手で石を移動されるなどの処置も必要だが、さらに落石が発生する恐れもあるので手早く行う。白神山地・真瀬岳(左)。大きな落石のわきをすり抜ける林道。青森県・燧岳(右)


これくらいの石であれば、手や足で除去できる。新潟県村上市(左)。路面上に落ちているのは、石とは限らない。こんな丸太が落ちていることも。長野県栄村(右)



林道を塞ぐ倒木。手前の駐車スペースに車を置き、3時間ほどして戻ってくると林道巡視の人が、この倒木の除去作業中だった。少し立ち話をした際に「ここにはよく来ますか」「いつからこの倒木があったか知りませんか」と聞かれた。実は知人からこの倒木情報を教えてもらっていたので、「少なくとも1週間くらい前には、すでに倒れてたみたいですよ」と答えておいた。林道巡視の際にたまたま倒木を見つけたので、チェーンソーもなく、ノコギリを使った手作業で随分苦労されているようだった。林道巡視といっても状況によっては結構大変なのだ。広島県廿日市市。



一見すると、容易に除去できそうな落枝に遭遇。しかし、さらに太い倒木につながっていてビクともしなかった。新潟県佐渡市。


Uターンも難しい狭い林道を延々走った先で、よりによって林道を塞ぐ倒木。下をくぐることもできないので、いざという時のために車に積んでおいたノコギリで切断して、倒木を排除。ことなきを得たが、もっと太い木だったら、お手上げだったろう。船形連峰・船形山(左)。豪雨で橋が跡形もなく押し流され、通行不能となった林道。岩手県・箱ヶ森(右)



北海道新冠町・日高連峰 イドンナップ岳登山口に続く札内右股作業道の河床路。河床路とは、このように道路の路面上を川が流れている道のこと。ちなみに作業道とは、国有林内における林道より格下の未舗装道のことだ。この作業道では途中、3ヶ所もこのような河床路がある。



青森県蓬田村・袴腰岳に続く未舗装林道の河床路。


ここの河床路は路面を安定させるべくコンクリートで作られていた。青森県・清水股岳(左)。林道の路面いっぱいにできた巨大水たまり。深いことはないだろうが、念のためゆっくり進入したい。船形連峰・船形山(右)


林道に設置された「一般通行禁止」の看板2例。通行禁止とあるのは「自己責任」という立場を明確にするためのものだ




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