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岩壁 富山県立山町

撮影年月日:2006年8月24日

 岩壁とは、説明するまでもなく「切り立った岩の壁」のことで、フリークライマーやロッククライマーが目指す場所でもある。有名なのが、日本第二の高峰・北岳の北岳バットレスや谷川岳・一ノ倉沢岩壁、大山北壁など。ほかにも以前、マンガ家が墜落死したことでも有名になった荒船山の艫岩が挙げられる。私は、クライミングはやらない(というか、ああいうのは完全に苦手)ので岩場に近づくことはほとんどないが、それでも取材の折に見た、すごい岩壁というのはいくつか挙げられる。

 中でも印象に残っているのが、立山・称名滝下流左岸に続く高さ400mの「悪城の壁」と「恒性寺の壁」である。立山駅から称名滝探勝の基点となる称名平に向かう県道途中にあり、車窓右手に見えてくる。その大絶壁ぶりには、とにかく圧倒される。下に示した写真のように岩壁上部には雲がかかっており、その高低差がわかろうものだ。人間を寄せ付けない迫力には、誰しもたじろぐよりほかにない。

 ところで、当たり前のことだが、岩壁は、なにも標高が高い山だけにあるとは限らない。切り立った岩壁をもつ低山も存在する。その好例が山梨県大月市の岩殿山。標高634mの山だが、山頂の北西側には高さ100m以上の岩壁「稚児落とし」がある。その昔、織田信長軍に包囲された岩殿山城の小山田一族が逃亡の際、姫が抱いていた赤ん坊が大きな声で泣き始めたため、敵に見つかることを恐れた家臣が無残にも赤ん坊を投げ落としたとされる伝説が伝わる場所だ。登山道からは見下ろす視点になるが、やはりスリル感は満点である。

 ちなみに印刷物では、「岩壁」とすべきところを入力ミスと校正モレが重なって見落とされ「岸壁」となっていることが実に多い。出版関係者は要注意だ。


関連情報→本サイト山岳記「特徴的な山容」に荒船山・艫岩の写真あり。→本サイト山岳記「冬山」に北岳の写真あり



立山・称名滝下流左岸に切り立つ「悪城の壁」。この大絶壁ふりには圧倒される!



谷川岳・一ノ倉沢岩壁。



鳥取県の大山北壁。



赤ん坊を投げ落としたという伝説が残る山梨県大月市・岩殿山の稚児落とし。お〜怖っ!! しかし、宇宙規模で見れば、もっとすごい大絶壁があるとされる。確か天王星の衛星には、高さ100キロの断崖がある…という話を何かで読んだような記憶がある。ネット検索してもそれに近い情報は出てこなかったので、今のところ未確認で、曖昧な情報だが、もしそれが事実であれば、上記のような岩壁は「わずかな段差」でしかない。




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