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環水平アーク 福島県檜枝岐村・尾瀬沼

撮影年月日:2005年7月20日

 耳慣れないが、環水平アークとは気象用語である。上空にある氷の結晶がプリズムのような役目を果たして太陽光を屈折させ、ほぼ水平な虹が現れる大気光学現象を指す。水平弧とか、水平環とも呼ばれるが、「水平」といっても若干上に反った形になり、各色の線が横に並び、太陽側が赤になる。
 また太陽に近い方位の太陽よりも低い高度に現れるため(通常の虹は太陽とは反対側に現れる)、環水平アークが現れる期間は太陽高度が高くなる夏至を中心とした半年くらいに限られる。
 また薄雲に重なって現れることが多いことから、彩雲と誤解されやすいが、回折による彩雲とは異なる現象である。上記の特徴があれば彩雲ではなく環水平アークと考えた方がよさそうだ。一方、天頂の太陽側に現れる虹を環天頂アークと呼ぶ。

 2005年はニッコウキスゲの当たり年で、霧ヶ峰など各地の名所はどこも素晴らしかったが、7月20日に尾瀬沼畔の大江湿原を訪れてみると、ここも例外ではなく黄色い絨毯を敷き詰めたかのようだった。その群生美を夢中でカメラに収めている最中、ふと見上げると尾瀬沼の上空に美しい虹があった。彩雲とはちょっと違うなと感じて、よく調べてみると環水平アークであることが判明した。
 Wikipediaの環水平アークの項目でも、同じ日に栗駒国定公園で観測された旨の記述がある。広い範囲で見られたことが伺える。

関連情報→本サイト山岳記「山の虹



尾瀬沼で見た環水平アーク。少しわかりにくいが、虹は左側の薄雲がない部分にものびており、全体としてやや上に反った形になっていることがわかる。




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