山の歌 いつかある日 −
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若い頃はバリバリの山ヤだった両親から教えられた「いつかある日」は、私が最も好きな山の歌である。そのメロディと歌詞を聴くとヨーロッパアルプスを思い浮かべる人もいそうだが、作曲は高校の英語教師でダウラギリ4峰登山隊の登攀隊長などを務めた登山家・西前四郎氏、作詞は日本百名山で有名な作家の深田久弥氏(原詩はフランスの登山家らしい)である。
母が若かりし頃、父も含めた山仲間たちと後立山連峰を縦走した際、確か針ノ木小屋だったと思うが、小屋番の青年が蒔を割りながら、朗々と「いつかある日」を歌う姿が大変印象的で、この歌を好きになるきっかけだったと語っていた。そんな古き良き時代の山に似合うメロディと歌詞が、その時代をほんのわずかしか知らない私の心の琴線にも触れるのである。
人が山に惹かれる裏側には、単に景観が美しいということだけでなく、どこかで死に結びつく危険性が常にあって、そこにドラマがあるからだと思う。この歌詞の主人公も山で遭難死した時のために山の友に遺言を託しているわけだ。誰しもそんな状況に陥りたくはないし、また頻繁に死者が出ているわけでもないのだが、一方であり得ないともいえないだけに、どうしてもそんな悲しいドラマを自分に重ねてしまって感情移入してしまうのかもしれない。
いつかある日(作曲:西前四郎 作詞:深田久弥)
1 いつかある日 山で死んだら
古い山の友よ 伝えてくれ
2 母親には 安らかだったと
男らしく死んだと 父親には
3 伝えてくれ いとしい妻に
俺が帰らなくとも 生きて行けと
4 息子達に 俺の踏みあとが
故郷(ふるさと)の岩山に 残っていると
5 友よ山に 小さなケルンを
積んで墓にしてくれ ピッケル立てて
6 俺のケルン 美しいフェイスに
朝の陽が輝く 広いテラス
7 友に贈る 俺のハンマー
ピトンの歌声を 聞かせてくれ
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