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うす紫色の花が春の野に似合う
ハルリンドウとフデリンドウ

リンドウ科
Veratrum thunbergii
Veratrum zollingeri
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 ハルリンドウとフデリンドウは、どちらも日当たりのよい野山に生える2年草で、北海道から九州まで広く分布する。春の陽光を受けて、うす紫色の花が目に鮮やかだ。ハルリンドウは花茎が数個立ち根生葉が大きいが、フデリンドウはひとつの花茎の先に数個の花がつき根生葉が小さいので両種の区別は容易だ。リンドウのなかまには、ほかにもタテヤマリンドウやコケリンドウなどのなかまがあるが、ハルリンドウとフデリンドウは生育地も開花時期も似ているので、両種の違いは覚えておくとフィールドで役に立つ。覚え方は、草姿が横に「張る」方がハルリンドウ(本当の由来は「春」だが)。一方、筆先のようにまとまった方がフデリンドウ。そんな風にして覚えるのはどう?

 フデリンドウは、春の山に点々と咲くのを見かけるくらいで、よく注意していないと見落とすこともあるが、ハルリンドウの方はまとまった数が生えていることも多い。長野県白馬村の山裾にもかなりの数が咲いていたし、栃木県の高原でも、やはり多かった。

関連情報→本サイト植物記「タテヤマリンドウ



ハルリンドウ。花茎が複数出るので、広がった草姿になる。大きな根生葉も目立つ。長野県白馬村。


 
一方のフデリンドウは、まとまった草姿になる。長野県・飯綱高原(左)。高地に生えるフデリンドウは、花茎の先に1花しかつけず、茎も短くて、花期も遅い。一見してフデリンドウには見えず別種かと思うことも…。尾瀬裏燧林道にて


  
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