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山でよく見かける常連の花のひとつ
ゴゼンタチバナ

ミズキ科
Chamaepericlymenum
 canadense
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 ゴゼンタチバナは、よく山で見かけるミズキ科の多年草。亜高山の針葉樹林帯に生え、上向きの白い花が瑞々しい。花びらのように見えるものは花弁ではなく総苞で、その中心には多数の小さな4弁花が頭状に集まっている。キク科の花と同様、ひとつの花のように見えて、そうではないのだ。花が終わったあとの9〜10月には赤い果実をつけるので、まさに花は白、果実は赤。つまり紅白という、おめでたい植物なのだ。ただ、そう思っているのは私だけかも(その程度でめでたいのなら、ほかにも該当する植物はたくさんある、という反論が聞こえてきそう)。
 さて果実が終わったあとはどうかというと、冬でも存在をアピールするかのように葉をいくぶん閉じ気味にしながらも、それでも葉を落とすこともなく寒さに耐えている。実は常緑なので、冬でも枯れないのだ。花も果実もないので目につきにくいが、冬の山でよく探せば、意外と簡単に見つけられるはずだ。
 ところで北海道の北部や東部には葉が対生するエゾゴゼンタチバナが分布する。あくまで独立種であって、ゴゼンタチバナの変種や亜種というわけではない。

関連情報→本サイト植物記「エゾゴゼンタチバナ



北海道美深町・松山湿原登山道に群生するゴゼンタチバナ。


ゴゼンタチバナ。花は小さいが、個体数も多くまとまって咲いていることもよくあるので、山ではよく目に付く。北アルプス・栂池自然園(左)。果実期の姿。北アルプス・爺ケ岳(右)。


12月の北八ヶ岳・高見石付近で見かけた、じっと寒さに耐えるゴゼンタチバナ(左)。総苞が緑色のタイプも、たまに見かける。最初は緑で、次第に白くなるという話もある。秋田県・森吉山にて(右)。


  
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