御坂山地で見かけた地衣類
ハナゴケ
ハナゴケ科
Cladonia rangiferina
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地衣類とは、菌類と藻類が共生する特殊な生態を持つ植物群である。コケ類と混同されやすいが、まったく異なる。コケは自ら葉緑素を持ち光合成をして栄養を作れるが、地衣類を構成する菌類は光合成ができず、菌糸内に共生する藻類が光合成をすることで栄養を生み出している。それぞれの菌類と藻類を別々に培養すると生き続けられる場合もあれば、そうでない場合もあるが、どちらにしても密接な相利(互いに利益がある)共生の関係にある。また外見的な形態を作っているのはあくまで菌類の方であることから、地衣類の学名は菌類に対して与えられたものだ。
地衣類やコケ類、シダ類は同定が難しいことが多く、しかも見た目が地味なのに加えて、写真の需要もほとんどないので、あまり撮影していないが、1998年に御坂山地の釈迦ヶ岳に登った時、たまたまハナゴケを見かけた。掲載した写真はその時のもの。本項・植物記では、地衣類としては過去にサルオガセを扱ったくらいだが、改めてよく見ると実に不思議な形態。しかも独特な存在感。生物として地衣類もなかなかおもしろい。
今回、いろいろ調べると「北極圏のトナカイはハナゴケを餌にしている」とする資料もあった。こんな貧相なものを食べているのに、クリスマスになるとサンタさんを乗せたソリを引っ張ってるんだぜ。トナカイ恐るべし(笑)。

灰白色の地衣体が樹状に分岐して広がっていた。こんなものが地面にあるのだから目立つ。
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