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深山にふさわしい地衣類
サルオガセ

サルオガセ科
Usnea 
sp.
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 サルオガセ科サルオガセ属の地衣類で、漢字で書くと「猿尾枷」。霧藻とも呼ばれるようにガスがかかる深山によく似合う。亜高山帯に生える針葉樹の枝から垂れ下がるので、ヤドリギのように寄生しているようにも見えるが、あくまで着生であり、サルオガセによって木が枯れることはない。また生きている枝よりも枯れた枝を好むとも聞く。日本にはナガサルオガセやヨコワサルオガセなど、40種ほど知られているようだが、似ている種類が多く、地衣類の詳しい図鑑でもない限りも同定は難しい。
 サルオガセ科ヤマヒコノリ属のヤマヒコノリ( Evernia esorediosa )もサルオガセにちょっと似ているが、こちらは垂れ下がらずに幹上で樹枝状に分岐する。



コメツガの枝に着生するサルオガセ(上・下とも)/山梨県・櫛形山






サルオガセだらけになってしまったカラマツ/長野県富士見町・入笠山


登山道に枝付きのサルオガセが落ちていた。拾い上げてみると、細かく分岐しながら長い糸状になっているのがわかる。同行者に持ってもらって撮影/北アルプス・乗鞍高原(左)。カラマツの枝から垂れ下がるサルオガセ。遠目に見ると、まるでとろろ昆布のようだ/長野県富士見町・入笠山(右)



同じサルオガセ科に属するヤマヒコノリは樹枝状に分枝して垂れ下がらない/栃木県日光市・奥日光



  
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