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花の形から「人字草」と命名された
ジンジソウ
ユキノシタ科
Saxifraga cortusifolia
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 本州の関東地方以西、四国、九州に分布するユキノシタ科ユキノシタ属の多年草。山地の岩壁や渓流沿いなどに生育する。高さ15~35センチ。根生葉は束生し、柄があり、長さ2~15センチの腎円形または円形で7~11に中裂するが、裂け方は同じ群落内でも個体差があるようだ。9~11月に集散花序に多数の5弁花を付ける。上部の花弁は3個で小さく、基部に黄班があり、明瞭な爪がある。一方、下部の花弁は2個で長い。雄しべは10個。葯は橙黄色。その形が「人」の字を連想させるところから人字草と名付けられた。

 似たなかまにユキノシタやハルユキノシタ、ダイモンジソウ、ミヤマダイモンジソウなどがある。ユキノシタは上部の花弁に濃紅色班があるので、区別は容易。ダイモンジソウは全国の山地に生えるが、花弁が細いので、これも区別はしやすい。

 写真は愛媛県新居浜市の東赤石山山麓で偶然見かけたジンジソウ。周辺に群落を形成し、花もベストな状態だったので、1時間くらいかけて撮影した。

関連情報→本サイト植物記「ユキノシタ」「ダイモンジソウ



愛媛県新居浜市の山間地で見かけたジンジソウ。どの株も花付きがよくて立派だった。撮影は10月中旬。



付近に群生するジンジソウ。写真左下の葉を見ると、右下の葉と比べて裂け方が大きく、中裂といっても個体差があることがわかる。


橙黄色の葯が目立つ花(左)。上部の花弁3個に入る黄色班もその特徴。中裂する葉(右上)。上部の花弁を拡大すると、花弁基部は雄しべを筒状に抱いて、明瞭な爪になっていることがわかる(右下)。



  
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