<<前のページ | 次のページ>>
熟した蒴果に触れると種子が弾き飛ぶ
ナガミノツルキケマン
ケシ科
Corydalis raddeana

…………………………………………………………………………………………………

 ケシ科キケマン属の一年草または二年草。北海道、本州、九州に分布。山地の道端や林縁などに生える。漢字では「長実の蔓黄華鬘」。
 茎は、よく分枝して斜上して広がり、稜があり、長さ1〜2mになる。葉は、2~3回3出複葉。小葉はしばしば3中裂~3深裂し(時に2中裂~2深裂)、ほぼ倒卵形。
 8〜10月、葉腋から総状花序を出し、濃黄色の花弁で先が赤紫色を帯びる花を多数つける。他種よりも長い距は、先が少し湾曲するか水平にのびる。

 関東地方と中部地方に分布するツルキケマン( C. ochotensis )は、長倒卵形の蒴果で種子が2列に並ぶのに対して、本種の線状倒披針形をした細長い蒴果で種子数個が1列に並ぶ。蒴果が熟すと果皮がめくれ上がって種子を弾き飛ばす。

関連情報→本サイト動物記「ミヤマキケマン



9月下旬、群馬県草津町の林道で見かけたナガミノツルキケマン。図鑑には「茎は直立しない」とあるが、四方に這って分枝した枝は写真のように立つこともあるので、そこそこの草丈がある。



花は濃い黄色で先端が赤紫色を帯びる。



ちょっとエンドウ豆を連想させる蒴果。逆光気味に中の種子も透けて見え、なかよく並ぶ姿がおもしろいと思い、連写してみたが、モニターで確認すると蜘蛛の糸が絡まっているのに気がついた。そこで、こういう時のためにいつも持参している筆で、そっと蜘蛛の糸を取り除いたのだが、なかなか取れない糸があり、少し力を加えるとパチッと種が弾け飛んでしまった。この写真は弾き飛ぶ前に撮影したカットで、蜘蛛の糸はデータ上で消去した。撮影の際は慎重に!!



葉は2~3回3出複葉。図鑑には「小葉は3深裂する」と書いてあることが多いが、この葉もそうだが、ネット上の写真を確認しても必ず3深裂するわけではないようである。上写真で言うと右上の頂小葉と左下の側小葉は切れ方が不完全で、右上と右下の側小葉のように切れ込みがない場合もあるようだ。




Nature
植物記
  
 CONTENTS