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中央アルプスの固有種
コマウスユキソウ(ヒメウスユキソウ)
キク科
Leontopodium shinanense
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 キク科ウスユキソウ属の多年草。中央アルプスの将棊頭山~仙涯嶺の高山帯のみに分布し、中央アルプスの固有種。花崗岩の岩場や岩礫地に生える。
 基準標本産地の木曽駒ヶ岳に因んで「コマ~」と付けられたが、有花茎の高さが4~7センチとウスユキソウのなかまでは最も小型であることから「ヒメ~」とも呼ばれる。図鑑によっては、「ヒメ~」を正式名とし、「コマ~」を別名にしているものも多いが、本項では『長野県植物誌』(信濃毎日新聞社)の記載に従った。
 花弁に見える白い部分は総苞葉。その中心に並ぶ黄色い部分が頭花で、本種の場合、これが2~3個と少ない。花期は7月中旬~8月下旬。
 種小名の「shinanense」は、信濃に由来する。長野県のレッドデータでは、絶滅危惧IA類に指定されている。

 本種の自生地は、木曽駒ヶ岳周辺に点々とあるが、多いのは木曽駒ヶ岳山頂から馬ノ背に向けて少し下った付近。ほかに八丁坂上部や頂上山荘付近、極楽平などにもある。

 本種を初めて見たのは、今から30年近く前のこと。木曽駒ヶ岳山頂に立ったあと、帰路、頂上山荘あたりで本種を見つけた。午後のガスが広がって風も強かったが、その日は頂上山荘で一泊の予定だったので、あまり時間も気にせずに撮影できた。ただ、お盆休みだったので、頭花は少し進み過ぎて一部が茶色くなっていたが。
 掲載した写真は、今年(2018年)、馬ノ背で撮影したもの。写真では、白い総苞葉がくるっと巻いているが、これは本種の特徴ではない。

関連情報→本サイト植物記「ウスユキソウのなかま



全体に軟毛を被る。木曽駒ヶ岳・馬ノ背で。


  
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