Nature

一種一種、植物を取り上げて、その植物にまつわる話題を写真とともに紹介します。

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植物記
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まるで薄く積もった雪のよう
ウスユキソウのなかま

キク科
Leontopodium 
japonicum
 (ウスユキソウの学名)
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 ウスユキソウのなかまといえば、しばしば「日本のエーデルワイス」と形容される。しかし外国の花の名前をありがたがって使わなくてもと思うのは私だけだろうか。そもそもエーデルワイスはヨーロッパアルプスに分布するウスユキソウ属だが、このなかまは1種3変種のみ。一方、日本には6種1変種3品種もあり、その中には日本固有種も多い。実はウスユキソウ属の分布の中心は東アジアで、大半がここに集中している。つまりエーデルワイスの方を「ヨーロッパのウスユキソウ」と呼ぶ方が実態に合っているのだ。ヨーロッパアルプスのシンボル的存在であるエーデルワイスにあやかりたい気持ちもわからなくはないが―。

 さてウスユキソウはキク科ウスユキソウ属の多年草で本州〜九州の山地草原などに生え、信州の高原ではよく目にする。花弁のように見える白い部分は総苞葉で、本当の花はその中心に並ぶ黄色い部分。キク科なので、当然、頭状花序だ。名前は「薄雪草」で、白い綿毛に覆われた総苞葉を薄く雪が積もった様にたとえたもの。
 ほかのなかまとしては、北海道の礼文島などに分布するエゾウスユキソウ(別名レブンウスユキソウ。L. discolor)、北海道の大平山や崕山のオオヒラウスユキソウ(L. miyabeanum)、岩手県・早池峰山の固有種、ハヤチネウスユキソウ(L. hayachinense)、秋田駒ヶ岳や鳥海山、月山、朝日連峰などに分布するミヤマウスユキソウ(別名ヒナウスユキソウ。L. fauriei)、至仏山や谷川岳のホソバヒナウスユキソウ(L. fauriei var. angustifolium)、北・中央・南アルプス、八ヶ岳に分布するミネウスユキソウ(L. japonicum f. shiroumense)、北アルプス・八方尾根のみに生えるハッポウウスユキソウ(L. japonicum f. happoense)、南アルプス北部のカワラウスユキソウ(L. japonicum f. perniveum)、奈良県と四国のコバノウスユキソウ(別名コウスユキソウ。L. japonicum f. spathulatum)、中央アルプス・木曽駒ヶ岳〜仙崖嶺のコマウスユキソウ(別名ヒメウスユキソウ。L. shinanense)がある。いずれも似ているが、特徴を知らなくても生育地でおおむね同定できる。もちろん2種類が混生している場所もあるので注意は必要だ。例えば谷川岳では、ミネウスユキソウとホソバヒナウスユキソウが自生している。ただホソバヒナウスユキソウは、名前の通り葉が細いから区別は容易だ。

 ちなみにウスユキソウ属の中で、私が一番好きなのは花が最も大きくて見栄えがあるハヤチネウスユキソウ。一方、まだ見たことがないのはオオヒラウスユキソウとコバノウスユキソウの2種。後者の方は何とかなりそうだが、前者の方はいつになることやら。でも諦めずに日本産ウスユキソウ属全種制覇を目指したい。
 どの種類にしても風の強い場所に生えていることが多く、撮影には苦労する。カメラをセットして風が止まる瞬間を待つわけだが、風の神がイジワルしてるんじゃないかと思いたくなるほど、まったく止まらないこともある。しかも2時間近くも待ち続けて、何とかフィルム1本分撮影したら、うまく撮れているのはわずか2〜3カットだけということもあった。



日本産ウスユキソウの女王とでも呼びたいハヤチネウスユキソウ。

@            A              B             C

@ウスユキソウ/長野県・美ヶ原。Aエゾウスユキソウ/北海道・礼文島。Bハヤチネウスユキソウ/岩手県・早池峰山。Cミヤマウスユキソウ/山形県・月山。

D             E             F             G

Dホソバヒナウスユキソウ/群馬県・谷川岳。Eミネウスユキソウ/北アルプス・蓮華岳。Fハッポウウスユキソウ/北アルプス・八方尾根。Gコマウスユキソウ/中央アルプス/木曽駒ヶ岳。

H             I            J              K
 
Hヤマウスユキソウ/広島県庄原市。Iウスユキソウの花/長野県・霧ヶ峰。Jハヤチネウスユキソウの花/岩手県・早池峰山。Kエーデルワイス/新潟県・植栽。


  
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