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鶴が舞う姿にたとえた
マイヅルソウ

ユリ科
Maianthemum
 dilatatum
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 ユリ科マイヅルソウ属の多年草で、北海道〜屋久島の山地から亜高山帯の林内に生える。山ではよく見かける花のひとつで、登山道沿いで葉が覆うほどに群生している姿に出会うことも多い。ところで「舞鶴草」の由来には2説あるらしい。ひとつは「葉脈の曲がり方を広げた鶴の羽根に見立てた」説。もうひとつは「葉を2枚広げた草姿を鶴が舞う姿に見立てた」説だ。私はずっと前者の方だと思っていたので、後者の説が書かれた図鑑を見たとき「えっ、その説もあるんだ」と感じたが、本当のところ、どちらが正しいのだろうか。ただ、どちらにしても鶴に由来することを考えれば、たまに見かける「マイズルソウ」の表記は間違いといえそうだ。

 5〜7月、茎頂に小さな白色の花を多数つける。3数性のユリ科の中にあって、花被片、雄しべともに4個というのは個性的だ。秋になると径5〜7ミリの球形の液果となる。初めはまだらだが、熟すと赤くなる。
 なお本州中部地方以北には、茎の上部や花序などに毛があり、葉がやや細長いヒメマイヅルソウ(M. bifolium)が分布する。



長野県・群馬県県境の湯ノ丸山で見かけたマイヅルソウ。葉脈の曲線は、確かに鶴の羽根のようだし、草姿もまた鶴に見える。



マイヅルソウの群生。長野県小諸市・浅間山 湯ノ平高原。



まだら模様の果実。さらに時間がたてば真っ赤になる。



  
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植物記