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しばし大群生する高山植物
ハクサンイチゲ

キンポウゲ科
Anemone 
narcissiflora 
var. nipponica
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 北アルプスなど本州中部地方以北の高山で、しばし大群生を作っているのを見かけるキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。例えば乗鞍岳の畳平や白馬岳、立山などでは、7〜8月に見事な群生を見かける。白い花弁のように見えるのは萼片で、花弁はない。中心には多数の雄しべと雌しべが集まり、花後には扁平な楕円形をしたそう果となる。萼片が緑色になるものをミドリハクサンイチゲ(f.viridis)、草丈が10センチほどで、花がひとつしかつかないものをヒメハクサンイチゲ(f. gracilliformis)という。母種はヨーロッパなどユーラシア北部や北アメリカ北西部に広く分布するが、ハクサンイチゲは日本固有種。
 一方、北海道や東北地方には、小葉の終裂片が幅広くてとがらないエゾノハクサンイチゲ(A. narcissiflora var. sachalinensis )がある。そのうち草丈が約10センチで、花がひとつしかつかない品種をイチリンハクサンイチゲ(f. japonomonantha)という。

 ところで2005年夏の乗鞍岳・畳平のハクサンイチゲは見事だった。以前にも何度も訪れているが、今まで見た中で最高レベル。畳平すぐ下にある「お花畑周回コース」一帯を真っ白くするほどハクサンイチゲが埋め尽くしていた。特に情報を得て出かけたわけでもなく、写真を更新するためにたまたま訪れただけだったが、朝早く行ってみると、すごかったので内心大喜び。歩いている人も少なく、最高の群生をほとんどひとり占めにした。



谷川連峰・平標山で見かけたハクサンイチゲ群生。同じ日に併せて訪れた隣の仙ノ倉山山頂付近もハクサンイチゲがびっしりと咲いていた。



ハクサンイチゲの花。北アルプス・立山。


ヒメハクサンイチゲ。志賀・岩菅山(左)。ハクサンイチゲのそう果。北アルプス・乗鞍岳(右)。


●ちょっと変わったハクサンイチゲ
帯化したハクサンイチゲ。雄しべと雌しべが帯状に広がっている(左)。萼片が完全に緑色したものは、上でも説明したようにミドリハクサンイチゲと呼ばれるが、これは部分的に緑色になったもの(右)。とぢらも北アルプス・乗鞍岳にて。



  
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