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クロロフィルの欠乏によって生じる
白化

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 白化(はくか)とは、クロロシス(chlorosis)ともいい、植物体のクロロフィルが欠けた状態を指し、具体例を挙げるとしたら「もやし」が一番わかりやすい。「もやし」の場合は、故意に光を遮ってクロロフィルが生じないように育てるわけだが、ほかに白化が起きる原因としては、クロロフィル生成に必要な鉄やマンガンの欠乏、あるいはウィルス感染などもある。
 クロロフィルが欠けるため、外見はカロチノイドの黄色い色調となり、黄色が目立つ場合は黄化、目立たない場合を白化と呼ぶ。またウィルス病による白化や黄化は、「退緑」とも呼ばれ、植物組織に部分的に発生した場合は「斑入り」という。

 葉に斑入りが生じた個体はたまに見かけるが、先日(2017年7月)、火打山登山道で枝先に数枚の白化した葉を見つけて驚いた。遠目に見ると、まるで白い花のようだ。最初、目に入った段階では、白い花が下向きに咲いているかのように見え、これほど大きな花で該当する種類が思い浮かばず不思議に思って近づいたら、白化した葉だった。
 同じ木の別の枝に付く葉は、すべて正常だったので、鉄やマンガンの欠乏が原因ではなく、おそらくウィルス感染によるものだろう。それにしても濁りひとつない純白の葉は、なんとも奇妙だった。

関連情報→本サイト植物記「斑入り



新潟県妙高市・火打山登山道で見かけた白化した葉。枝先のちょうど4枚が揃って白化していたので、余計に花のように見えた。それにしても、これほど完全な白化は初めて見た。



部分的に白化したヤグルマソウの葉。長野県須坂市。



  
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植物記