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今年は「縁の年」だったのかも…
オノエラン

ラン科
Orchis fauriei
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 ラン科ハクサンチドリ属の多年草。オノエラン属とする見解があるほか、最新のAPG分類体系では、カモメラン属とされる。本州中部地方以北と紀伊半島に分布。漢字では「尾上蘭」で、尾の上(山や山頂を示す古語)に生えるランの意味。その名前の通り、亜高山帯〜高山帯の日当たりのよい草地に生える。日本固有種。葉は長楕円形で2個付き、長さ6〜10cm。高さ10〜15cmの花茎を立ち上げ、7〜8月に茎頂に白色の花を数個開く。唇弁にW字型の黄褐色斑紋が入るのが特徴だ。

 ところで各地の山を歩いていると、不思議なことがある。特にそれを目指しているわけでもないのに、これまでほとんど見たことがない植物にまったく別々の離れた山で、なぜかシーズン中に連続して出会う。しかし、翌年以降は再びぱったりと出会わなくなる。そういう植物がこれまでいくつもあった。
 人間と植物の出会いにも縁があって、いつもはその運命の波長が合わないが、稀に何かのきっかけでピッタリ合うみたいな。そんな気さえしていた。

 本種については、過去に見かけて撮影したことが1、2度ある程度で、それ以外はなかった。東北地方の山には結構多く咲く場所があり、機会があれば本種目的で行ってみようとさえ思っていた。ところが、その計画を実行に移す前に私とオノエランとの「縁の年」が巡って来たようだ。
 今年(2017年)、戸隠山で出会ったのに続いて、その10日後には裏岩菅山でも発見。どちらも数は少ないが、登山道沿いにあり、撮影も容易だった。



志賀高原・裏岩菅山の稜線で見かけたオノエラン。ちなみに裏岩菅山は志賀高原の最高峰。次が横手山で、日本二百名山にも選ばれている岩菅山は三番目である。



唇弁に入るW字型の斑紋。これがオノエランの特徴。長野県長野市・戸隠山。



  
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植物記