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花だけでなく果実も個性的
いろいろな果実

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 草本植物には、当然のことながら芽生えに始まり、花、そして果実をつけて、一連の生活史を終えるまでに、さまざまな姿があるわけだが、花に注目する人はいても、そのあとにできる果実にまで注目する人はあまりいない。唯一例外なのは花よりも果実の方が見栄えがするワタスゲくらいだろう。
 果実だけでは同定が難しいことも多いが、果実も花に負けず個性的で、中には花の形からは想像もできない、ユニークな形をしているものもある。いずれにしても種子散布が目的というところは一致しているが、その手段は違いがある。動物に食べてもらうのを手段として選んだ果実は熟すと色が変わることでメッセージを送っている。散布を手段にしているものは、綿毛を開いて風で飛んだり、はじけて種子を飛ばしたり、その方法もいろいろ。だが、結局のところ「なかまを増やす」ためにエネルギーを費やし、苦労して果実を作っているのである。そんな風に思うと、たかが野草の実とぞんざいに扱うのもためらわれる。





ゴゼンタチバナ(ミズキ科)の果実。撮影したのは北アルプス・柏原新道だが、登山道沿いにいっぱい見られ、鮮やかな赤い実が愛らしかった。

 @  A  B  C
@ツルリンドウ(リンドウ科)。Aミツガシワ(ミツガシワ科)。Bエゾカンゾウ(ユリ科)。Cツチアケビ(ラン科)。

 D  E  F  G
Dマムシグサのなかま(サトイモ科)。Eフデリンドウ(リンドウ科)。Fフクジュソウ(キンポウゲ科)。Gノビネチドリ(ラン科)。

 H  I  J  K
Hショウジョウバカマ(ユリ科)。Iコウゾリナ(キク科)。Jカタバミ(カタバミ科)。Kウツボグサ(シソ科)。

 L  M  N
Lエゾノリュウキンカ(キンポウゲ科・中に見えるのは種子)。Mヤマネコノメソウ(ユキノシタ科・中に見えるのは種子)。Nタチイヌノフグリ(ゴマノハグサ科)。

 O  P  Q
Oウワバミソウ(イラクサ科)。Pイヌホオズキ(ナス科)。Qアズマイチゲ(キンポウゲ科)。


  
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Nature
植物記