近年、分布域を拡大している
タシロラン
ラン科
Epipogium roseum
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ラン科トラキチラン属の多年草。葉緑素を持たない腐生植物で、土中の担子菌類に栄養のすべてを依存。国内では群馬県以南の本州、四国、九州、沖縄に分布するが、分布の中心は熱帯地方。かつては稀だったそうだが、近年、分布域を拡大しているという。名前は、発見者の田代善太郎に因む。
湿度が高く薄暗い照葉樹林下を好み、通常は高さ10〜30センチほどだが、時に50〜60センチに達するものもあるようだ。6〜7月頃に全体が少し黄色がかった白色の茎を立ち上げて、茎頂に多数の白色花を総状に付ける。苞、萼片、唇弁、側花弁はそれぞれ長さ8〜10ミリで、唇弁には紅紫色の斑点がある。子房は楕円状で表面に脈がある。
関東地方の自生地としては、神奈川県横須賀市・観音崎が有名。私も十数年前にここで初めて本種を見た。花期としては少し早かったようだが、海辺の照葉樹林内に直立する白い姿が印象的だった。以下の写真は、最近、房総半島で撮影したもの。
関連情報→本サイト植物記「寄生植物」
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房総半島の照葉樹林下で見かけたタシロラン(上・下とも)
唇弁には紅紫色の斑点が入る
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