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エビネとキエビネの自然雑種
タカネ(タカネエビネ)
ラン科
Calanthe × striata
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 タカネは、エビネとキエビネの自然雑種とされる。一般にはタカネエビネと呼ばれることが多い。花の形や大きさ、花色にはかなりの幅があり、個体差が大きい。キエビネの形質を受け継いでいるせいか、大きいものだと60センチくらいになる。
 名前は「高嶺」ではなく、飴の古語「たがね」に由来するという説もある。水飴は、現代の製法では無色透明だが、昔の製法では麦芽を使うため淡褐色を呈する。「飴色」とは、この昔の水飴の色を指し、本種の花色も飴色が多いからだろう。

 某県某山の登山途中、ふと気になって道を外れて付近の林内を探索してみたことがある。林の奥へ分け入ると、数メートル先に変わった色の花を付けた植物があるのに気づいた。ん? なんだろう…近づいてみると、タカネだった。ガスに煙る山中、誰も来ない林内にひっそりと2株が花を咲かせていた。タカネとしては草丈が低い方だろう。だが、花は「絶妙な中間色」とでも表現したい飴色を呈し、引き込まれる美しさがあった。



人気のない静かな林内にひっそりと咲くタカネ。



マクロストロボで撮影した花のアップ。上写真と同個体。



  
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Nature
植物記