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春の山肌を白く飾る木
コブシ
モクレン科
Magnolia kobus
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  モクレン科モクレン属の落葉高木で、北海道・本州・九州の山地に分布。高さ15m以上に生長する。3〜4月、葉が展開する前に直径8〜10センチの白色花を開く。花は、よい香りを放ち、花被片は6個あり、外側の3個は細いが、内側の3個は幅が広い。雄しべは黄色で多数。漢字では「辛夷」と書く。
 葉は長さ7〜15センチの倒卵形で全縁。夏に袋果の集合果となり、秋になると裂開し、赤い種子がぶら下がる。

 日本海側には変種のキタコブシ(var. borealis)が分布し、本種よりも花や葉が大きい。また、よく似たなかまにタムシバ( M. salicifolia)があるが、本種は花の下に葉が出るので、これがないタムシバと区別できる。
 さらに1948年(昭和23年)に徳島県の旧・相生町(現・那賀町)で発見されたコブシモドキ(M. pseudokobus)は、本種より花が大きく、花被片の幅も広く、花期も遅いなどの違いがあるが、最初の1株以外、ほかでは見つかっていない。徳島県立博物館サイトのコブシモドキ標本ページには、「コブシに近縁といわれているが、徳島県には野生のコブシはなく、このコブシモドキは3倍体であり、謎である」と書かれている。

【訂正】 
NEW
以前、本ページに掲載していた三原市・大峰山のコブシ遠望写真は、タムシバの間違いだったようです。サイト閲覧者から指摘があったわけではありませんが、あることを調べていて偶然気づきました。実はその写真を撮影した際、近くの別の場所に以下に撮影したコブシが何本かあったため、大峰山のものもコブシだろうと推測してしまったこと。もうひとつは、タムシバは日本海側に分布すると思い込んでいたのも原因でした。訂正してお詫び申し上げます。コブシとタムシバは、近くから花だけ見ても区別は難しく、遠望となると余計に無理ということもありますが、それにしても確認が不十分でした。そのため該当写真はタムシバのページへ移動しました。


関連情報→本サイト植物記「タムシバ



コブシの花。内側の花被片の方が外側のそれよりも細い。広島県三原市



蕾を横から見る。このようにコブシには小さな葉がある。よく似たタムシバには葉がないので区別可。



樹皮は灰白色で平滑。



  
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