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葉に隠れるように咲く恥ずかしがり屋
ハガクレツリフネ
ツリフネソウ科
Impatiens hypophylla
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 初秋のころ山野の渓流沿いや湿地などで鮮やかな紅紫色の花を咲かせるツリフネソウのなかまに、ハガクレツリフネがある。名前の通り花が葉の下につき、まるで葉に隠れているよう。本来、花が鮮やかで目立つのも訪花昆虫へのアピールのはずだが、ハガクレツリフネの花は、なぜか自己アピールよりもはずかしさが先に立つらしい(笑)。
 だが、それにしても進化の過程で、どうしてわざわざ目に付きにくい形態を選んだのだろうか。ひとついえるのは、花は人間の目線で上から見下ろすと隠れるが、昆虫の目線では必ずしも隠れないということか。それならハガクレツリフネが、偶然こうした形態を選択しても、絶滅せずに種として存続してきた理由もわかる。

 紀伊半島、四国、九州に分布するソハヤキ要素の植物。なお、岐阜県西部〜長野県南部〜愛知県東部〜静岡県西部一帯では、本種の変種・エンシュウツリフネを産す。やはり花は葉の下に隠れるようにつくが、花が小さく、花弁に斑点が少ない違いがある。

関連情報→本サイト植物記「ツリフネソウ



愛媛県・石鎚山で見たハガクレツリフネ



花のアップ。濃い斑点がある。花の上に左右に開いているのは萼片。愛媛県東温市・皿ヶ嶺。



花を横から見た写真。距は内側に曲がるが、ツリフネソウのように巻き込まない。愛媛県東温市・皿ヶ嶺。



  
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