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注意していると、おもしろい形を見つけることも
植物の奇形
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  植物には、何らかの原因で、本来の形とは異なる奇形が生じることがあるが、よく注意していれば、フィールドでも時々見つかるものである。その一例を以下に紹介するが、本来ふたつの花になるはずだったものが合体したようなもの。あるいは雄しべが弁化したりする例もある。そんな奇形を見つけたら、なかなか目にできないものを見られたということで得したような気になる。



1本の茎からふたつの花が出たシナノタンポポの奇形。長野県飯山市


植物の奇形の一例。普通は6枚だが、花びらが12枚もあるニッコウキスゲ。福島県雄国沼(左)。普通は3枚だが、花びらが6枚もあるカキツバタ。長野県親海湿原(中)。花びらが4枚のカキツバタ・群馬県尾瀬ヶ原(右)。



雄しべが弁化し、本来は白い萼片も部分的に緑化したドクダミ。鳥取県・唐川湿原。


雄しべが弁化したヤマザクラの花。右写真は、左の黒枠内を拡大したもの。山梨県山梨市・乙女高原



頭花周縁部の筒状花が通常よりも大きくなり、舌状花のように広がったハンカイソウの奇形。この花の株では、すべて同様の奇形花を付けていた。岡山県新見市・鯉ヶ窪湿原。



キクザキイチゲの葉腋から出た花弁状のもの。最初、落ちた花弁かと思って、撮影に邪魔なので取り除こうとした。ところが、しっかりと葉腋に付いていて「落ちた花弁」ではなく「実際に葉腋から生えている」ことに気づいた。本来の花は、写真に写っているように白だが、この花弁状のものには、おもしろいことに赤い筋が入っている。それにしても葉腋から1枚だけ花弁状パーツが生じるのも随分、奇妙な光景だ。新潟県妙高市。




帯化したサワオグルマの花。長野県白馬村・親海湿原。ほかに帯化した花の写真は、ハクサンイチゲのページにもあります。



帯化したツワブキの茎と蕾。茎は根元から2本が合着し、ぐるっと反転するあたりで、一旦分かれるが、すぐ先で再び合着していた。特に写真中央では、茎が板状に広がり、複数の蕾が接するように並んで、なんとも異様な姿になっていた。広島市・植裁。



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