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西日本の山に分布する稀産種
キレンゲショウマ

ユキノシタ科
Kirengeshoma palmata
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 キレンゲショウマは典型的なソハヤキ要素の植物として知られ、西日本の深山にまれに生える多年草。7〜8月に茎上部から黄色い花を2〜3個やや下向きにつける。ひと昔前までは専門家や植物通だけにしか知られていなかったと思うが、小説で取り上げられてからは一般にもかなり知られてきたようである。
 例えば自生地として知られる徳島県・剣山の山小屋では「剣山を代表する名花」としてキレンゲショウマをあしらったTシャツや絵はがきなどのグッズが販売されているほど。しかし、そんなキレンゲショウマも時代を遡れば未知の植物だった時代に行き着く。明治21年8月に発見されたときは専門家ですら何科の植物であるかもわからなかったという。その後、研究が進み、ユキノシタ科に属する新属新種の植物とわかり、和名をそのままローマ字読みにしたKirengeshomaという新しい属を創設して発表された経緯がある。
 のちに奈良、徳島、高知、大分、宮崎、熊本の各県のほか、朝鮮半島の南部や中国の一部にも分布することがわかり、昭和48年には広島県で、さらに続けてお隣の島根県でも発見されている。




知る人ぞ知るキレンゲショウマの大群生地。この写真では、わかりにくいが、群落は写真左手の斜面下方にまだまだ続いており、剣山のそれよりも、はるかに規模が大きいと思われる。島根県某山。



剣山登山道に群生するキレンゲショウマ



キレンゲショウマ。同じく剣山にて



島根県某山に咲くキレンゲショウマ(上・下とも)。





落ちていた花を分解してみた。徳島県・剣山にて(左)。果実には3つの角がある。栃木県藤原町の上三依水生植物園で撮影したもの(中・右)。



  
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植物記