Nature

一種一種、植物を取り上げて、その植物にまつわる話題を写真とともに紹介します。

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植物記
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海浜植物のように思われているが、実は山にも生える
エゾスカシユリ
ユリ科
Lilium dauricum ( Lilium pensylvanicum )
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  ユリ科ユリ属の多年草で、本州北部(青森・秋田)と北海道に分布する。本州中部地方以北の海岸に分布するスカシユリは近いなかま。以前の図鑑では、命名規約に従ってスカシユリの変種(のちに亜種)扱いにしているものが多かったが、最近では独立種として扱われている。本種はシベリアやサハリン、カムチャッカ、内蒙古などの広大なエリアに分布し、そこから南下して日本で進化したのがスカシユリと考えられ、本種をスカシユリの変種や亜種にしたのでは進化の流れとは逆になってしまうこともあるのだろう。
 両種の区別点は、花柄や蕾に白い綿毛が密生するものが本種。白い綿毛が少ないか、あるいは無毛なのがスカシユリ…ということになるが、分布が重なる青森県や道南には中間型もあって紛らわしいようだ。

 北海道のオホーツク沿岸には規模の大きい本種の群落があり、斜里町の以久科原生花園、小清水町の小清水原生花園、北見市のワッカ原生花園などが有名で、こうした原生花園を代表する花というイメージから海浜植物と思われがちだが、意外にも夕張山系の崕山(きりぎしやま)やアポイ岳などの山地にも分布が見られ、内陸部の道路沿いに咲く姿を見かけることも多い。
 高さ30〜90センチ。花期は6月中旬〜8月上旬。茎頂に1〜5個の花を上向きに付ける。橙色の花被片の内側には多数の斑点が見られ、花被片どうしの間には隙間があり、これが「蝦夷透し百合」の名前の由来である。

関連情報→本サイト植物記「ヤマスカシユリ」「スカシユリ」・にっぽん全国 花めぐり「小清水原生花園



小清水原生花園の海岸草原を橙色に染めるエゾスカシユリ。2013年夏はエゾスカシユリの当たり年だった


満開となったエゾスカシユリ。花被片の間の隙間にも注目。小清水町・小清水原生花園。


写真のように蕾や花柄に白い綿毛が多いのが本種の特徴で、これがスカシユリとの区別点。北見市・ワッカ原生花園。

  
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