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秩父地方の岩峰のみに生える
キバナコウリンカ
キク科
Senecio furusei
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 キバナコウリンカは、石灰岩の山にしか生えない好石灰岩植物のひとつで、秩父地方の二子山や叶山のみに特産するキク科キオン属の多年草。本州の高原などで見かけるコウリンカのなかまにあたり、橙色の花をつけるコウリンカに対して、黄色の花をつけるのでこの名前がある。6月下旬〜7月上旬ころ、険しい岩峰が連なる二子山を歩けば、黄色い花を咲かせた姿を目にできるが、一方、叶山の方は石灰岩採掘のために絶滅寸前。つまりキバナコウリンカは、かろうじて二子山だけで細々と生き永らえているという状況なのだ。

 セメントなどの原料となる石灰岩の山は当然、採掘の対象となる。だが、そこにはキバナコウリンカのような好石灰岩植物が生育しているわけで、自然保護か開発かという難しい問題が生じることになる。同じく秩父の武甲山でも、石灰岩採掘のためにチチブイワザクラなどの固有種が危機に瀕している。チチブイワザクラは地元の植物研究家により増殖技術が確立され、増やした苗を自生地に戻しているそうだが、武甲山の開発が続く限り状況が大きく好転するとは思えない。好石灰岩植物の憂鬱はまだまだ続きそうである。


関連情報→本サイト植物記「コウリンカ



二子山にひっそりと咲くキバナコウリンカ(上)と頭花(下)。




  
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