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一生に一度しか開花結実しない
バイケイソウ

ユリ科
Veratrum
 grandiflorum
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 なかまのコバイケイソウは、大振りな白い花穂をつけて目立つのに、本種はやや地味なためか知名度も今ひとつ。しかし、名前は本種の方が先であり、それよりも小さいのでコ・バイケイソウになったわけだが、後輩にすっかり人気を奪われている。
 ユリ科シュロソウ属の多年草で、漢字では「梅尅吹vと書く。北海道と中部地方以北の本州に分布し、山地の林内などのやや湿った場所に生える。高さは1〜1.5メートルにもなり、7〜8月に直径約2センチの緑白色をした花を多数つける。全草に有毒成分を含み、特に若芽の時は、山菜のウルイ(ギボウシ類の若芽)に似るので注意が必要だ。見慣れれば間違うことはないが、過去には誤食事故も起きている。
 バイケイソウの花は、遠目に花序として見るよりも、ひとつの花に近づいて観賞した方がいいかもしれない。花弁には緑色のスジが無数に走り、黄色い葯とともになかなかの美しさである。しかも開花までに長い年月を要し、開花するとその株は枯れてしまう、つまり一生に一度しか結実しないという一果性の多年草である。目にする機会は比較的多いが、そんな経緯を経て花をつけているわけだから、暖かく見守ってほしい。

関連情報→本サイト植物記「コバイケイソウ



2013年、北海道はバイケイソウの当たり年だったようだ。野幌森林公園のほか、あちこちでバイケイソウの見事な群生を見かけた。写真は釧路市・釧路湿原東側の道道沿いで遭遇した、ものすごい規模のバイケイソウ群落。この左右にもずっと薄緑色の帯が広がっていた。



緑色のスジが入るバイケイソウの花。花被片の縁には突起毛がある。長野県山ノ内町・アワラ湿原



大きな円錐花序が目立つが、花序の枝分かれ方には変化がある。また葉は基部を抱く。宮城県鳴子町



バイケイソウの若芽。この段階でコバイケイソウと区別はできない。静岡県・長者ヶ岳

  
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