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清楚で気品あふれる姿…
ヤマシャクヤク

ボタン科

Paeonia japonica

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 関東地方以西の本州〜九州に分布するボタン科ボタン属の多年草。山地の林床に生え、4〜6月、茎の頂に径4〜5センチの花を1個上向きにつける。花弁は全開にはならず、半開きなのも、どこか奥ゆかしさを感じさせ、余計にその姿に気品を感じるのかもしれない。名前は「山芍薬」で、山に生えシャクヤクに似ていることから。園芸用に植えられるシャクヤクは、チベットや中国を原産とする種類を品種改良したもの。またボタンも中国原産だが、こちらは落葉低木。シャクヤクもボタンも本種と同属である。
 ヤクシャクヤクを山で見かける機会は少ない。かつて広島県北東部の渓谷で見かけたことはあったが、それ以降ほとんど縁がなかった。先日(2010年5月)、久々に東京都檜原村の山中で、偶然、登山道沿いの斜面に1株だけひっそりと咲いているのに出会った。たまたまマイナーコースを選択したのが幸いしたようだ。

関連情報→本サイト植物記『ベニバナヤマシャクヤク



雨に濡れたヤマシャクヤク。山で美しい女性に出会ったような気分だ。東京都檜原村にて


花弁が落ちたところ。2本突き出しているのは雌しべ。3〜4個のことが多いようだが、この花にも上写真の花にも2本しかない。同じく東京都檜原村(左)。若い果実。袋果は、やがて赤く熟して裂開し、種子を出す。静岡県・植栽(右)

  
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