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雄株はどこへ行った?
植物雑話2
雌株しか発見されていない植物


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 樹木の根に寄生するツチトリモチやミヤマツチトリモチと呼ばれる多年草がある。ツチトリモチ科という耳慣れない科に属し、見た目はまるでキノコのよう。だが、おもしろいのはその容姿だけじゃない。どちらも雌雄異株にも関わらず雌株しか発見されておらず、雄株は未発見のままなのだ。それでも殖えていけるのは単為生殖で種子ができるからだが、それにしても雄株はどこへ行ったのか。進化の過程で雄株は不要とされて、そもそも雄株を作る遺伝子からして消滅したのだろうか。

 そういえば動物でも昨年、私の母校の大学で、卵子だけを用いて人工的にメスのマウスを誕生させることに成功し、大きなニュースになったが、ひょっとして植物に限らず動物でもオスはそれほど重要じゃなかったりして。う〜む。女性は見た目では弱そうに見えるが、その実、男性よりもよほど逞しいんじゃないかと私は以前から感じていたが、そんな生物学的な背景があったとは!(笑)
 冗談はともかく、その一方、上高地で約70年前に発見されたカミコウチヤナギには雄株しか知られていなかったが、平成10年になってようやく雌株も見つかった。


関連情報→本サイト植物記「ツチトリモチ


  
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