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雌雄異株なのに雄株は未発見
ツチトリモチ
ツチトリモチ科
Balanophora japonica
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  一見するとキノコのなかまと間違えそうだが、ツチトリモチ科ツチトリモチ属に属する多年性寄生植物である。ハイノキなどのハイノキ属の樹木の根に寄生し、10〜12月に多肉質の花茎と花序を地上部に出す。花序は鮮やかな赤色をした卵状楕円形で、表面は細かい粒々に覆われている。この粒々のすき間に多数の雌花があるが、外側からは見えない。雌雄異株だが、不思議なことに雄株は未だに見つかっておらず、繁殖は単為生殖で行われる。
 三重県、和歌山県、四国、九州、南西諸島に分布するが、多くの県で絶滅危惧植物に指定されている。名前は、「土鳥黐」で、昔は根からトリモチを作ったことに由来する。
 
 なお、屋久島には、なかまのヤクシマツチトリモチ( B. yakushimensis )が分布。本種よりも小さく、花序は黄色がかった赤色で丸みがある。

 昨年(2014年)、宮崎市の山で偶然、ツチトリモチに遭遇。その後、屋久島に渡ったのだが、島内のある場所でやはり偶然、目にとまった。見てすぐにヤクシマツチトリモチだとわかったので、早速、撮影しようとしたが、付近にはごく少数の株が顔を出しているだけ。なんとか絵になるのは、写真の3株だけだった。



どう見てもキノコにしか見えない奇妙な植物だ。花序は、ヤマモモ果実のような粒々に覆われている。宮崎県宮崎市。


地上部に顔を出し始めた花序。芽生えたばかりなので丸っこいが、次第に上写真のように楕円形になる。左側の個体は花茎の鱗片葉が目立つ。同じく宮崎県宮崎市にて(左)。屋久島に分布するヤクシマツチトリモチ。本種よりも丸っこい形で、少し黄色がかって明るい色をしているのが特徴。鹿児島県・屋久島にて。



  
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植物記