Nature

一種一種、植物を取り上げて、その植物にまつわる話題を写真とともに紹介します。

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植物記
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どうしてこんな姿形に!?
ユニークな木の形

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 山を歩いていると、どうしてこんな形になってしまったんだろう、と目を見張る木に遭遇することがある。それぞれの種類に対して典型的な樹形というのがあるが、時にはいろいろな原因からそうなれなかった木も多いのだ。そんな木の一端を以前、本項植物記「木のコブ」でも紹介したことがあるが、今回も私が山で見つけた、おもしろい木の形…いや、木が見せる力強い「生」をお見せしよう。どんな困難がふりかかっても、それをものともせずに克服して精一杯生きようとする姿に元気づけられないだろうか。



木は同種どうしで枝や幹が接すると融合し合体することがある。こうした木を合体木と呼び、ヤクスギではよく見られ、あの縄文杉もそうではないかといわれていたが、近年、否定的な見解が示されている。左写真は山形県鶴岡市・高館山で見たブナで、おそらくもともと株立ちしていたものが、生長に従って合体したのだろう。そのため穴が開いているように見えるわけだが、さら生長するとこの穴も塞がってしまうかもしれない。次は長野県・志賀高原の岩から生えた「Uターンする木」。積雪などにより幹が地面に向けて折れかけたか、あるいは曲がってしまい、その後向き直して生長したのだろう。右の写真は、さらにすごい長野県・鍋倉山で撮影した「Z型のブナ」。折れかけた部分にコブを作って修復し、先端をぐるっと反転して天に向けてのびている。木が見せつける「生」に感服させられる。

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一体どうなっているのか、よくわからないほど奇妙に曲がったブナ。関田山脈・天水山。



岐阜県下呂市・巌立峡の三ツ滝付近の断崖に見られるスゴイ木。その経緯は不明だが、一旦、下向きにのびた幹が、途中から一気に上を目指して直立!! 近くには同様の木がほかにもある。



札幌市豊平区・西岡公園にある「なかよしの木」。まるで枝で手をつないでいるように見えるユニークな木だ。



屋久島・縄文杉登山道途中にある通称「メデゥーサ」と呼ばれる屋久杉。病気要因なのか物理要因かは不明だが、まるで根の方を上にしたように見える。ウィルソン株と縄文杉の間にあるが、往路は背後にあるため気づきにくい(左)。多雪地域のブナには、さまざまな物理的なストレスがかかりやすいのだろう。上のブナと同じような変な形になってしまった木をよく見かける。この木もおそらく雪崩か雪解け時に折れかけて、それをなんとか修復したのだろう。すごく逞しいものを感じる。青森県西目屋村・暗門の滝(右)。



屋久島・白谷雲水峡で見かけた他種の倒木の上で奇妙な形を描くヒメシャラ。複数の幹が融合しているというよりも倒木更新で芽生えたあと、地面に向けてのばした複数の根が成長して融合し、やがて幹のようになったと考える方が自然な気がするが、それにしても時間を巻き戻して本当のところはどうなのか確かめてみたいほどだ。ちなみに上にのびているのが、主幹である。



まず左写真。これもすごい。長野県・乗鞍高原にある通称「ねじねじの木」。成因は鍋倉山のブナと同じと思われる。ぐるっと回転して、それでも天を目指すアクロバットな木だ。以下、2点はオマケ。中写真は山口県・鬼ヶ城山で見つけた別の意味で「ねじねじの木」。これ、何の木だろう。撮影時、木の種類まで気にして見なかったのだが、日本産樹木に幹がねじれる木ってあったっけかなぁ。木はあまり得意じゃないから、よくわからない。樹木図鑑で調べてみたけど不明のままだ。右写真は中写真に似ているけど、スギ人工林で幹に絡みついたつる性植物を人為的に取り除いたあと。幹にはそのあとが、「ねじねじ」に残っていた。福井県・六呂師高原にて。

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上記「ねじねじの木」の枝バージョン。枝が折れるなどして生長の方向が反転。でも、途中で「どうもおかしい」と思って、また反転したのかどうか知らないけど、それにしても芸術的ですらある。長野県飯田市・秋葉街道 小川路峠道。



木にふりかかる障害は、何も雪や台風などの自然の力だけではない。人間が何気なく木に打ち付ける看板や標識などもそう。上の写真3点は、左から山形県・高館山、新潟県・白鳥山、山口県・鬼ヶ城山で撮影した金属板の標識をくわえこんだ木。設置されてから、かなり時間が経っているのだろう。いづれも手で標識を引っぱってみたが、ビクともしなかった。市街地でも傍のガードレールを取り込んで生長する街路樹を見かけることがあるが、木が生長することを前提に、その周囲に余裕を見てやるとか、なるべく生木に看板を打ち付けたり、看板を針金でくくったりしない方がいいのではないだろうか。それらを食い込ませた木は何とも苦しそうで、見ていて辛い。最近、公園などでは、木の名前プレートをバネのようなもので幹にくくってあるところもある(下の写真参照)。つまり生長しても、バネがのびることで木に負担がかからないように、という配慮だ。













木に食い込まないようにバネを使って取り付けられた標識の例。写真は長野-新潟両県境にのびる信越トレイルのものだが、こういう配慮が望ましい



同じく白鳥山で見かけた、標識の大半を飲み込んでしまった木(左)。木は堅そうに見えるが、実はアメーバのようなところもあると見える。おそらく最初は、上の写真のように一部をくわえ込んだだけだったのだろうが、さらに幹が生長していくに従い、標識の周囲からもじわじわと取り込んでいったに違いない。「何か邪魔なものがあるけど、生長できないから、このまま飲み込んじゃえ」なんて思ったかどうか知らないけど、何だかすごいなぁ。この標識も、あと十年か二十年もすれば完全に飲み込まれて見えなくなってしまうのだろうな。中写真は登山道の鎖をくわえ込んだ木。群馬県・榛名山にて。右写真は、黒い石をくわえ込んだ幹がおもしろい静岡県伊東市・城ヶ崎海岸にある「石ぐいのモチノキ」。



宮城県栗原市・大土ヶ森の登山道にある子生婦岩(こんぶいわ)。ケヤキが大きな岩を抱える姿から子孫繁栄の信仰の対象とされてきたそうだ(左)。やはり岩をくわえ込んだ木。これも窮屈そうだ。広島県安芸高田市・三段峡遊歩道(右)。

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栃木県日光市・庚申山登山道の石標を飲み込むように生長した木。撮影した時点では「九十三丁目」という文字がまだ見えるが、完全に取り込まれるのも時間の問題だろう。

  
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