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カラマツの葉を連想する花
カラマツソウのなかま

キンポウゲ科

Thalictrum aquilegifolium var. intermedium (カラマツソウの学名)
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 カラマツソウは北海道〜九州の山地帯〜亜高山帯に生えるキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草で、7〜9月に咲く花がカラマツの葉に様子が似ていることから「唐松草」と呼ばれる。花には花弁はなく、多数の白〜淡紅色の雄しべが球状にまとまっている。また小葉は広倒卵形で先が3〜5裂する。山ではよく見かける花のひとつだ。
 なかまのミヤマカラマツ(T. tuberiferum)もよく似ているが、こちらの葉は卵形で縁に大きな鈍鋸歯があるので見慣れるとすぐに区別がつく。またカラマツソウには葉柄基部に托葉があるが、ミヤマカラマツにはこれがないなどの違いもある。

 また晩夏〜初秋の山で見かけるアキカラマツ(T. minus var. hypoleucum)は淡黄色の葯が目立つ花を円錐状に多数つけるが、カラマツソウのように丸くまとまらないので印象は違って見える。ほかに6〜7月に咲くハルカラマツ(T. baicalense)、紅紫色の萼片が美しいシキンカラマツ(T. alpinum)、西日本に分布するシギンカラマツ(T. actaefolium)、高山に生えるコカラマツ(T. minus var. stipellatum)、屋久島の高山に生えるヤクシマカラマツ(T. yakusimense)などがある。一方、モミジカラマツはよく似ているが、モミジカラマツ属という別属に分けられている。花はカラマツソウやミヤマカラマツに似ているが、葉は名前の通りモミジの葉のように7〜9裂するので、区別は容易だ。


関連情報→本サイト植物記「シロカネカラマツ




カラマツソウ。白い花糸の先に淡黄色の葯が付く。北海道夕張市・夕張岳。



カラマツソウよりも少し早い時期に花を付けるハルカラマツ。栃木県日光市・光徳沼。


ミヤマカラマツ。カラマツソウとの葉の違いに注目。北アルプス・栂池自然園(左)。8月下旬の山梨県・三ツ峠山に咲くアキカラマツ(中)。礼文島で見かけたアキカラマツ(?)。小葉が長楕円形のものをレブンカラマツとして分ける見解もあるが、この個体は一部の小葉が長楕円形でアキカラマツなのかレブンカラマツなのかはっきりしない(左)。


萼片が鮮やかなシキンカラマツ。静岡県・植栽(左)。ヤクシマカラマツ。ほかのなかまに比べると小さくて華奢。でも花と葉を見ると近縁であることを伺わせる。鹿児島県・屋久島 宮之浦岳(中)。カラマツソウとは別属のモミジカラマツ。モミジにも似た大きな葉が特徴的。北アルプス・栂池自然園(右)。



  
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