<<前のページ | 次のページ>>
ユーモラスだが、発熱する植物
ザゼンソウ

サトイモ科
Symplocarpus renifolius
…………………………………………………………………………………………………

 ザゼンソウは、ずんぐりした格好の赤紫色の仏炎苞を出すサトイモ科の植物。まだ雪が残る、春先の湿地帯で、ユーモラスな姿を見かける。そんなザゼンソウのまわりはなぜか雪が融けていることが多い。この原因は、意外なことにザゼンソウ自体の発熱にある。サトイモ科の植物では呼吸酵素の一部が欠損しているために仏炎苞が発熱することが知られており、ザゼンソウでは15〜35℃の温度を保っている。発熱する理由は、雪を融かして花をつけ、その花に温かい場所を好む昆虫を誘うためだと考えられている。しかし同じサトイモ科のミズバショウは、発熱のための代謝経路を持っているにもかかわらず、なぜか発熱しないという。
 この性質を1999年に発見した岩手大学では、ザゼンソウの発熱遺伝子をイネに組み込み、耐低温品種づくりを目指しているという。

関連情報→本サイト植物記「ナベクラザゼンソウ



4月、湿地帯に点々と顔を出したザゼンソウ。長野県大町市・居谷里湿原



どこかユーモラスで憎めない姿だ。長野県白馬村。


 
多雪地では開花と葉の展開が同時になることもある。秋田県・鳥海山中腹(左)。発熱によって、まわりの雪が融けている。3月の居谷里湿原にて(右)。




  
 CONTENTS 
 
   
 

Nature
植物記