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私がBE-PALをゴミ雑誌と批判する理由/記事1

 私は2005年、自分の著書のコラム欄で、犬連れ登山には、野生動物の大量死や希少野生動物の絶滅にもつながりかねない重大な問題があることを、野生動物の感染症に詳しい岐阜大学大学院連合獣医学研究科の教授(記事の中で所属と名前を明記。所属は当時)に解説してもらいました。私が犬連れ登山に反対の立場をとるようになったのは、この専門家の意見が元になっていますが、とはいえ、いち専門家の意見だけ取り入れたわけでもありません。なぜ、その立場をとるようになったかについてはQ&Aで説明しています。


 さて、この本は、刊行直後に宣伝用として版元がBE-PAL編集部にも送っています。ところが、その翌月のことです。私はこれまでBE-PALに売り込みをしたことは一度もないにも関わらず、なぜか突然、BE-PALから仕事のオファーを受けたのです。連絡してきたのは、外部の編集プロダクションに所属する人物でしたが、BE-PALの記者を名乗り、これまで誌面上でも時折、名前を見かけた人でした。
 なぜオファーをしてきたのでしょうか。その本を見て、ぜひとも私を使いたくなったのでしょうか。私はそうじゃないと思っています。これまで、散々アウトドアに犬を連れ出そうという宣伝をしてきた
BE-PALにとって、犬から野生動物へ感染症が広がる危険が存在していることは、まさに「不都合な真実」だったからですよ。もしそれが広く知られるようになったら、BE-PALでそういう宣伝をして、少なくともBE-PAL読者から支持されているシェルパ斉藤 (斎藤政喜)や野田知佑のイメージダウンにつながり、当然、BE-PALという雑誌のイメージも信頼性も凋落して、雑誌が売れなくなるからです。だから、BE-PAL編集部や、その上にいる小学館の責任者にしてみれば、なんとしてもこの事実にはフタをしたいわけです。それには、とりあえず騒いでいる私を黙らせたいわけですが、私はそういう分野の仕事をしているわけですから、私の前にニンジンをぶら下げるのが一番効果があると考えたんじゃないですか。


 BE-PALが、本当に自然を大切にすることを第一に考え、しかも健全な議論ができるのなら、「なぜ感染症の危険は無視して、感染症のことも何も知らない読者に向けて犬連れ登山を宣言しても問題ないのか」、「犬連れ登山には犬と野生動物の双方にとってリスクがあることをどうして読者に伝えないのか」、きちんと説明できなくてはならないはずです。みなさんもぜひ編集部に電話して問い詰めてみられることをおすすめします。
BE-PAL編集部の電話番号→☎03-3230-5916


 本サイトの別ページでも書いていますが、私は一度BE-PAL編集部に電話しています。編集部の小林という女性(現在は異動)は、「どういう問題があるか把握していない」「こちらでも調べてみます」といってましたが、電話のやりとりの中で
ポロッと「犬にワクチンを接種していても(野生動物への感染は)防げないんですよね」と口をすべらせたんです。あれ? どういう問題があるか知らなかったんじゃないの? 犬連れ登山に問題があることを知らなかった人が、一般の人どころか日本アウトドア犬協会でさえ理解していない、そんな重要ポイントをどうして知ってるんでしょうか。専門家や読者から指摘されて知ってたけど、何も知らないことにしようと編集部内で口裏を合わせていたんでしょうか。
 私が「専門家が問題点を証言している資料をファックスで送りますよ」といったところ、なぜかファックスの番号をいいたがりませんでした。ようやく聞き出して送付しましたが、そういう本性の編集部である以上、資料を読めばリスクを理解してくれるだろうと期待しても無駄だったかもしれません。
 その後、改めて調査したのかしなかったのか、あるいは調査はしたけど都合が悪い結果だったので無視したのか、その結果が誌面に載ることはありませんでした。ひとつ、メール配信のair-bepalで、カエルツボかび症の問題を取り上げた際に専門家に確認したようにもとれる記事が載っていましたが、このライターもBE-PALの事情
に配慮したのか、実に遠回しの表現で専門家の否定的見解を書いただけで、そこに「犬連れ登山」という言葉は一切入ってませんでした。
 また、その数週間後、出版業界に長年いる私でも極めて稀に映った、ある事実を知りましたが、ここで詳しく書くのはやめておきましょう。


 実は同じようなことは、以前にもありました。読者から、犬連れ登山禁止をどう思うか、という質問があり、それにシェルパ斉藤がトンチンカンな答えをしていたのですが、その後、やはり反対意見が多数寄せられたため、「編集部でも調べてみます」と書いてありましたが、その結果が記事になることはありませんでした。


 
BE-PALにしてみれば、当然でしょう。とにかく無視したいんです。だってきちんと調べて真実が明らかになれば、BE-PALにとっては、とても都合が悪いんですから。


 以上の事実からわかること。それは、
BE-PALは口先では「自然を大切にしよう」ときれいごとを並べる一方、その本性は、野生動物が大量死したり絶滅したりすることより、はるかに雑誌販売やシェルパ斉藤 (斎藤政喜)・野田知佑の方が重要と考えているということにほかなりません。こんな極めつけの自己中・ゴミ雑誌に「ビーパルがみなさんにお伝えしたいコト」(以前、BE-PALには、そういう欄があったんです)みたいなノリで、偉そうに上から目線でいわれたくないって思いませんか。


 もしBE-PAL編集部が、第3者からこの記事の感想を聞かれたら、当然、「オファーしたのは単なる偶然」などといって否定するでしょうが、本当にそれが事実で、自然を大切にする良識を持ち合わせているのであれば、犬連れ登山に問題があるといっている専門家に取材し、
「小誌では、これまで長年にわたり、主にシェルパ斉藤 (斎藤政喜)・野田知佑両氏の意向に沿ってアウトドアに犬を連れ出すことを推奨して参りましたが、感染症を専門とする獣医学者から野生動物に重大な影響が及ぶ可能性を指摘されましたので、これまで宣伝してきたことを訂正謝罪し、読者のみなさまにもなるべく控えていただくようお願い申し上げます」とする記事を出すべきです。
 それくらいの記事を出したら、BE-PAL編集部が少しはまともだということを評価してあげますが、でもそれは同時にシェルパ斉藤 (斎藤政喜)と野田知佑のイメージ悪化につながるのは必至ですから、金づるの彼らを守り抜きたいBE-PAL編集部としては、私の意見を無視するしか選択肢がないだろうと思っています。
 何度もいうようですが、糞を処理すれば問題ないというのは言い訳にはなりません。それを言い訳にするのであれば、なぜアウトドアに犬を連れ出す人全員が確実にそれを守るといえるのか、その根拠を示してください。確実に守られると断言できる根拠がなければ、野生動物に対するリスクを無視して、あたかも素晴らしいことであるかのように知識もマナーもバラバラな不特定多数の読者相手に宣伝するのは、どう考えてもダメでしょう。市街地でも犬の糞が道端に落ちていることが多いのに、どうしてアウトドアでは確実に糞を処理するといえるのか、またマナーを守ろうと呼びかけるだけで、なぜ全員が守るといえるのか、ぜひ説明して下さい。


 そもそもBE-PAL編集部に良識を期待しても無駄ですよ。せいぜい日本アウトドア犬協会と同レベルの、反論はできないにも関わらず都合が悪いことは無視して、それでも犬連れ登山記事を故意に出してきて「これでどうだ参ったか」と胸を張るレベルです。そんなものが反論のうちだと思っているのも、おバカ極まりないですが、そうでなければ「問題ない」とする専門家の意見を載せて反論するのがせいぜいでしょう。でも念のためいっておきますが、そんなものは反論には当たりませんね。
 アッパラパーなBE-PAL編集部のみなさん。自分たちに都合のいい専門家の意見を出すのであれば、犬連れ登山に問題があるといっている専門家の意見のどこがどう間違っているのか、なぜその専門家の意見は無視してもいいのか、またBE-PAL編集部は、なぜ「問題ない」という専門家の意見の方を取り入れたのか、そこまできちんと説明できなくてはなりません。「問題ない」といっているごく一部の専門家は、単に生態系の知識が希薄だからそういっているに過ぎません。専門家といっても、いろいろなんです。だから厳密な議論では、その主張を最後まで維持するのは極めて難しいだろうと私は考えています。まあ、科学知識も論理もカラッポなシェルパ斉藤やBE-PAL編集部がそのあたりのことを理解できるとは思えませんが。
 
こんな自然環境に悪影響を及ぼす勘違いゴミ雑誌が、勘違い記事を大量生産している実態にも気づかず、せっせせっせと金儲けさせて延命させている読者も同様に大いに困ったもんです。
 
シェルパ斉藤 (斎藤政喜)、野田知佑、BE-PAL編集部、加えてBE-PAL読者に共通するのは、実は自然(=科学)を基礎から勉強したことが一度もなく、自然に関する知識をちょろっとかじった程度にも関わらず、あちこちでチヤホヤされるうちに自分にはそれなりの知識があると勘違いしちゃったという点です。だから、本当の素人よりも百倍やっかいなんですよ。


 さて、BE-PALからのオファーをどうしたのか、というと実は受けてみたんです。別に仕事がほしかったわけでもありませんが、BE-PALが「どの程度」なのか、実態を知りたかったからです。BE-PALから仕事をもらったからといって、犬連れ登山の批判をやめる理由にはなりませんし、そのつもりは最初からまったくなかったので、相変わらず批判は続けようという前提の上で仕事を受けました(笑)。そんなの当然ですよ。私の仕事(=利益)はあくまで個人的なことですが、野生動物を守ることの方は公共性が高く、はるかに重要だからです。
仕事を出してくれるかもしれない雑誌に対しては、なるべく丸くおさめて批判しない方がいいんじゃないか、と思うような人は、個人的な事情によって判断が変わる警察官や検事みたいなもので、恥ずべき品性の持ち主と断罪するしかありません。その程度の人物から、どうこういわれたくないですね。
 それにです。私は、BE-
PALの雑誌生命にもかかわる事態を避けるべく批判しているわけですから、むしろ感謝してほしいですね。それくらいの器の大きさがあればですが、そもそもそれ以前の問題として何もピンときていないのが現実でしょう。そりぁそうです。理系でも分野によってはピンと来ない人もいるくらいですから、科学知識が欠落した上に徹底的に鈍感な作家や編集者では完全に無理に決まっています。さらに我欲の塊とくれば、もうモンスターと呼ぶしかありません。編集長からして、カラッポでミーハーですから。期待しても無駄なんです。


 BE-PALの仕事をした感想については、続く「記事2」に書きますが、「制作姿勢に呆れた」というのが正直なところです。念のためにいっておくと、私に連絡してきた男性記者は、礼儀正しく、おおおねきちんとした対応でしたし、私も普通に対応したので、彼との間に何らかのトラブルや行き違いが生じたわけではありません。







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専門家に犬連れ登山の問題点を記事にしてもらった翌月、なぜか突然、仕事のオファーをしてきたBE-PAL