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国宝「玉虫厨子」の装飾にも使われた
タマムシ
Chrysochroa fulgidissima
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 タマムシ(ヤマトタマムシ)は、タマムシ科の甲虫。全体に金属光沢があり、緑色の地に赤色の縦縞が2本入るのが特徴だ。その美しい姿から古来より珍重され、法隆寺の国宝「玉虫厨子」は、本種の上翅が利用されていることは有名だ。

 昆虫採集少年だった子供の頃、昆虫図鑑を開いては、そこに必ず掲載されているタマムシの姿に憧れ、一度は見てみたいとずっと思っていたが、残念ながら願いが叶うことはなかった。

 ところが、それから40年以上も経った先日(2017年9月)。買い物から帰宅すると、実家のコンクリート階段の途中に金属光沢の甲虫が裏返しになってころがっていた。拾い上げてみると、なんとタマムシだった。すでに死んでいたが、実家でタマムシを見つけたのは、初めてなので結構ビックリ。死骸があるということは、実家周辺に生息しているのだろう。最近になって分布を広げたのか、それとも昔から生息していたのに遭遇しなかっただけなのか。いずれにしてもタマムシが生息しているとは、驚きだ。

 帰宅して、じっくり観察。見れば見るほど、その色鮮やかな輝きに魅了された。なんて美しいのだろう。構造色がなせる技といってしまえば、それまでだが、ハンミョウといい、タマムシといい、ちょっと人工的にも見える金属光沢が自然界に存在することに改めて不思議な印象を持たずにはいられない。

【追記】 
NEW
 5年後にあたる2022年夏。菜園に植えてあるイチジクの根元で、またタマムシの死骸を1体見つけ、さらにその後、家の周囲で、生きたタマムシに二度も遭遇(別個体)。自宅周辺に生息しているのは、ほぼ確実になった。うちにはタマムシが好きなケヤキもあるので、ひょっとすると庭の中で繁殖している可能性もありそうだ。

 2度目の遭遇は次のような状況だった。先日、菜園で水撒きをしていると、なにかの昆虫が私目がけて飛んできて、足元にとまった。なんだろうと目を落とすと、タマムシだったのでビックリした。これはどう考えても写真を撮ってほしかったとしか思えない(笑)。すぐに撮影したいが、夕方なので無理。うちには防虫ネットを張ったハウスがあるので、そこに入れておいて、翌朝、たっぷり時間をかけて撮影させてもらう。そのあとケヤキの幹に放してやった。

関連情報→本サイト動物記「ハンミョウ


NEW(以下3点)

2022年9月、菜園に飛来したタマムシ。以下2点も同様









腹部と胸部の背側には赤い縦縞が2本入る。主に地は緑色に見えるが、頭部は光の加減で青色に輝く。



この鮮やかすぎる発色と緻密な構造を見よ! なんかもう、スゴ過ぎて説明の言葉はいらないだろう。



腹部は光線の加減で赤みを帯びて見えることも。側面には微毛が多い。



 
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