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ペットの犬が野生化したもの
ノイヌ

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 ノイヌとは、人間が飼育を放棄して、ほぼ野生化した犬のこと。つまり、もともとはペットとして飼われていた犬が捨てられて野生化したものだ。市街地ではひと昔前まではそれほど珍しくもなく、私が小学生のころには結構よく見かけたものだが、最近は保健所の活動などもあってか見ることは少ない。しかし、都市近郊などでは、逆に増えているともいう。一方、丹沢や富士山麓などの山岳地でもノイヌが生息する場所があるようだ。私はこれまで山でノイヌを見たことは一度しかない。場所は栃木県那須・茶臼岳西側にある姥ヶ平でのこと。見かけたのは2頭の中型犬で、私を見ても尻尾を振るわけでもなく、かといって吠えたてるわけでもなかった。ただ餌を期待していたのか、うち一頭が、しばらくじっと私の方を見ていた。この犬の場合は温厚そうだったので怖くはなかったが、山の中で大型犬や性格の激しい犬と一対一で対面するのは大の大人でも怖い。こうした犬はペットを放棄したものや狩猟の際にはぐれた可能性が考えられるが、山岳地では「犬連れ登山を考える」でも指摘したように、環境上も好ましくない。地元保健所や環境省などが何らかの対策をとるべきではないのだろうか。

那須・茶臼岳・姥ヶ平にいた2頭のノイヌ



 
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Nature
動物記