Nature

私が取材先で体験したこと、感じたことなどを好き勝手に書いたものです。

植物記
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料金概算を教えようとしないタクシー会社


 登山やハイキングのガイド記事では、登山口までのアクセス情報は必要不可欠。路線バスがあれば「○○駅から○○行きバスに乗り、○○バス停で下車」という具合に入れ、路線バスがない場合は代わりにタクシーの情報を入れておくわけだ。「○○駅からタクシーを利用する」だけでは不親切なので、私の場合はさらに「○○駅からタクシーで○分、料金概算○○円前後」などと書き、場合によっては、その駅前にタクシーが常駐しているか、あるいは電話で呼ばないと乗れないのか、ということまで書くことにしている。そこで、そんな情報を入手するため現地のタクシー会社に電話取材することになる。これまで全国の相当数のタクシー会社に電話して教えてもらったが、どこのタクシー会社も、おおむね丁寧に教えてくれる。電話番の人が知らないときはお得意の無線で運転手に聞いて答えてくれることもある。特に田舎のタクシー会社は親切なことが多い。
 だが一度だけ群馬県の某タクシー会社に電話した時、かたくなに拒否されたことがある。登山ガイド記事に載せるので、と説明しているにも関わらず「そんなことどうして知りたいのか」とか、概算でいいといっているのに「正確な料金はわからない」とか、とにかくごねるのである。NTTの番号通知サービスを受けているらしく、私の電話番号を読み上げて「こちらはおたくの電話番号も把握してるんだぞ」といわんばかりの脅しにもとれることまでするのだ。電話番号を知られても痛くもかゆくもないので無視したが、そこまでしてタクシーの料金概算をしゃべりたくない理由は一体なんだろうか。
 このタクシー会社は絶対に本当の理由をいわないだろうから代わりに私が答えておこう。つまりこういうことだ。客を乗せる時「○○登山口まで○○円です」とあらかじめ料金を提示し、客が納得すればメーターを倒さないで(作動させないで)送迎をし提示した金額を受け取る。その金額というのはメーターを倒した時よりも割高の設定になっていて正規の金額よりももうかる寸法なのだ。だが、このようなことはタクシーではしてはいけないらしい。何年か前に某県のタクシー会社が同じようなことをしていたので陸運局から処分を受けたことがあった(処分の程度は正確に覚えていない)。私自身、過去に登山口までタクシーを利用した時、先に料金を提示されたことが何度もある。その時は法律に違反しているということは知らなかったので、何の疑問もなく従ったのだが…。
 私が電話取材したこのタクシー会社では日頃からメーターによる料金幅よりもさらに高めの金額を提示することを繰り返していたのだろう。当然、メーターによる正規の料金概算も割高な方の料金も、どちらも雑誌に掲載されたくなかったのだ。だから散々ごねるしかなかったのだ。何らかの正当な理由があるのなら「これこれ、こういう理由でタクシーの料金概算は教えられない」と説明できるはずだ。何の説明もできないところを見ると、この理由をおいてほかには考えにくい。そもそも、ほかのすべてのタクシー会社は簡単に教えてくれるのに、この会社だけ教えられない正当な理由があるはずもないのだ。
 今度、どこかのタクシー会社で同じような対応をされたら「料金概算を教えたがらない変なタクシー会社があるけどって陸運局に電話しますよ」っていえばどんな反応するだろうな。あー楽しみ楽しみ。

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